労務コラム

従業員の健康診断について   2012.09.04

会社は従業員さんの健康にも配慮しなければなりません。自らの健康を測るため
の健康診断について、法律ではどのように決まっているのでしょうか。

(労働安全衛生法上の健康診断)
労働安全衛生法という法律では、以下の健康診断を実施することが義務付けられ
ています。

1、雇入れ時の健康診断
従業員を雇い入れる際、健康診断を受診させなければなりません。ただし、従業
員が入社日前3ヶ月以内に健康診断を受診している場合、その受診結果を証明す
る書面を提出すれば、当該項目については省略することができます。

2、定期健康診断
1年に1回、定期に健康診断を受診させなければなりません。この場合の健康診
断は原則として会社の負担で行わなければなりません。この健康診断は、従業員
の一般的な健康維持増進を目的にしているため、当該健康診断中の賃金支払いは
義務でなく、労使の話し合いに委ねられています。
必要な受診項目は以下の通りです。
① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力
をいう。)の検査
④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 血色素量及び赤血球数の検査(貧血検査)
⑦ 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清
グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミル
トランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(肝機能検査)
⑧ 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白
コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査
(血中脂質検査)
⑨ 血糖検査
⑩ 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(尿検査)
⑪ 心電図検査


3、特定業務(深夜業など)を含む勤務をしている従業員の健康診断
労働者が深夜業を含む勤務形態、又は坑内や著しい寒冷地や暑熱地で働いている
場合など特定の業務形態の場合は、その業務への配置換えの際、ならびに6ヵ月
に1回の頻度で健康診断を受けさせなければなりません。
この場合、前述の定期健康診断と違い、業務遂行のために特殊な環境下での労働
を求めている以上、その費用を会社が負担するのはもちろんのこと、健康診断中
の賃金も会社が負担するべきとされています。

4、有機溶剤や石綿などを取り扱う有害業務従事者に対する特殊健康診断
有機溶剤や石綿など特定の化学物質等を取り扱う業務に従事する労働者にはそれ
ぞれ特殊な項目による特殊健康診断を受診させなければなりません。この健康診
断についても、特定業務の健康診断と同様に会社費用負担、ならびに受診中の賃
金支払いが必要です。

以上、健康診断についてでした。

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