労務コラム

通勤手当の不正受給への対応   2017.12.20

通勤手当の不正受給とは、電車やバスで通勤すると申告しておきながら、実際には自転車や徒歩で通勤して、交通費を浮かしたり、 転居して会社までの距離が近くなった(交通費が安くなった)にもかかわらず、従前の遠い距離のままの交通費をもらうなどの労働者の行為を指します。給与総額が低い場合にこのような不正申告がおこる可能性が高まると言われています。この不正に対してどのように会社は対応すべきでしょうか。

 

通勤手当は義務か

そもそも、法律上、会社は必ず従業員に通勤手当を支払う必要はありません。通勤手当はゼロであっても問題ありません。ただし実際は、「通勤手当は当然払うもの」という慣習に従っている会社が多く、就業規則や給与規定などで通勤手当を支払う旨を規定しているから、通勤手当を支給する義務が生じているのです。

 

不正への対応

1 実費を超える金銭を返還させる

会社の規則で「実費を支給」といっている場合、実際には電車を利用せずに費用がかかっていないなら、電車代を支給する必要はありません。すでに支給してしまったものは、民法703条の「不当利得の返還義務」により、返還させることができ、民法167条「債権等の消滅時効」により、時効は10年ですから会社は、10年前までさかのぼって返還させることができます。

 

2 懲戒処分

徒歩や自転車で通勤していながら、会社には電車通勤と申請して電車代をもらうのは、故意に会社に金銭的損害を与えることになりますから、就業規則などに明確に記入してあれば、規定に従って懲戒処分(ペナルティーを与えること)できます。不正な通勤手当受給を「なあなあ」にして懲戒をしないでいると、いざ悪質な不正があった時に「過去には懲戒をしなかった事」が会社にとって不利になる事があります。しっかりと懲戒し、戒める方が良いでしょう。

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