労務コラム

36協定について   2017.05.31

36協定とは「時間外労働・休日労働に関する協定届」のことで労働基準法第36条に規定されていることからこのように呼ばれています。

 

何故、36協定が必要なのかですが、労働基準法では1日8時間及び1週40時間(一部44時間)の法定労働時間ならびに週1回の法定休日を定めており、法定労働時間を超えての労働や法定休日の労働は原則禁止されています。但し、36協定を結び労働基準監督署へ届け出ることを要件として法定労働時間を超える時間外労働や法定休日における休日労働を認めています。

 

つまり、36協定の届出をせずに法定労働時間を超える時間外労働や法定休日に労働させた場合は処罰の対象となります。

36協定は就業規則とは異なり、1人でも労働者がおり法定時間を超える時間外労働や法定休日に労働させる場合は届出が必要になります。

 

また、36協定は有効期間があり、更新をする場合は必ず届出が必要となりますので、期間を確認し毎回締結して届出を行いましょう。

 

36協定で必要な協定事項は下記の通りです。36協定は時間外労働や休日労働を無制限に認める趣旨のものではありませんので、労使間で十分協議して締結しましょう。

・時間外労働をさせる必要のある具体的な事由

・時間外労働をさせる必要のある業種の種類

・時間外労働をさせる必要のある労働者の数

・1日について延長することができる時間

・1日を超える一定の期間について延長することができる時間

・有効期間

 

尚、36協定を届出ている場合でも時間外割増賃金や休日割増賃金の支払い義務は発生します。

平成29年10月施行 育児・介護休業法改正について   2017.05.29

厚生労働省より「平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタート」のリーフレットが公表されました。

 

改正内容は下記の通りです。

 

①    最長2歳まで育児休業の再延長が可能になります。

1歳6ヶ月以後も保育園等に入れない場合には会社に申し出ることにより最長2歳まで再延長可能となり、育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。

 

②    子どもが生まれる予定の方などに育児休業等の制度のお知らせ

事業主は、働く方やその配偶者が妊娠・出産したこと等を知った場合、その方に個別に育児休業等に関する制度を知らせる努力義務が創設されます。

 

③    育児目的休暇の導入を促進

未就学児を育てながら働く子が子育てしやすいよう、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務が創設されます。

 

育児休業が最長2年となると産前休業と合せておおよそ2年1ヵ月半の休暇を取得する方も出てきます。

その際、会社としては従業員が円滑に復帰できるよう職場復帰支援プランや休業中の代替要員の確保等、これまで以上に対策を立てることが必要となってきますので、社会保険労務士やキャリアコンサルタント等の専門分野に相談されるのも一つの方法かと思います。

産業医制度見直しについて   2017.05.08

産業医とは事業場において労働者の健康管理を行う医師であり、労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場に対して産業医を選任することとなっています。

 

この産業医制度について改正の審議がされており順調に進めば平成29年6月に改正予定です。

 

主な改正点

 

◎産業医の巡視頻度

少なくとも毎月1回行うこととされている産業医による作業場等の巡視について、事業者から毎月1回以上産業医に所定の情報が提供されている場合であって、事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2月に1回とすることを可能とする。

 

◎長時間労働者に関する情報の産業医への提供

事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、その超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないものとする。

 

◎健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供

事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならないこととする。

 

改正の背景には過労死対策、メンタルヘルス対策、疾病・障害がある等の多様化する労働者の健康確保対策の重要性増す中、産業医に求められる役割等が変化し、産業医が対応すべき業務が増加していることからの様です。正式に改正が決まりましたら産業医の先生と巡視回数の相談をされてはいかがでしょうか。

健康保険の給付について   2017.04.24

健康保険というと一般的には病院にかかった際に健康保険証を持っていくと3割負担で受けられるだけものといったイメージが強く、病院に縁がない方ですと高い保険料を払っているのがもったいないと感じていらっしゃるかと思います。

 

健康保険は「保険」というだけに、いざという時に役立つ給付もたくさんあります。今回はその中から傷病手当金をご紹介します。

 

傷病手当金は生活保障のための給付金で、被保険者が業務外の病気やケガでお休みをして、賃金が支給されなかった場合に支給されるものです。

 

会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。

 

1日当たりの支給額の計算方法は下記の通りです。

 

支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)

*支給開始日の以前の健康保険加入期間が12ヵ月に満たない場合は別途算出方法あり。

 

支給期間は支給開始日から1年6カ月の範囲です。

 

つまり、簡単に言ってしまうと月給30万円の人が病気により長期休暇をしてお給料をもらえない場合は月々20万円の傷病手当金が最長で1年6カ月間も給付されることになります。(支給要件に該当した場合)

 

民間の生命保険等でも給与額を保障してくれる商品も出ているようですが、そのような保険に加入していなくても健康保険給付で生活保障があるのはとても助かりますね。

 

尚、傷病手当金は原則として申請を行わないと給付されません。該当した場合には忘れずに給付手続きを行いましょう。

 

注)被扶養者の方及び国民健康保険加入の場合、傷病手当金の給付はありません。

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大について   2017.04.07

平成28年10月1日から501人以上の企業で、一定の要件(*)を全て満たす短時間労働者の方も、社会保険に加入できるようになっておりますが、平成29年4月1日から更に適用範囲が拡大されました。

 

次のア又はイに該当する、 被保険者が常時 500 人以下の事業所が適用拡大の対象となります。

 

ア.労使合意 (働いてる方々の2分1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること) に基づき申出をする法人・個人の事業所

イ.地方公共団体に属する事業所

 

加入に当たっては、事業主の方が管轄の年金事務所(健康保険組合に加入している企業については、健康保険組合にも申出を行っていただくことが必要です。以下同じ。)に対して、労使合意を行っている旨の同意書を添えて、申出を行っていただくことが必要です。

年金事務所等が事業主の方からの申出を受理した日に、一定の要件(*)を全て満たす短時間労働者の方は社会保険に加入することになります。

 

短時間労働者が1名でも社会保険の加入を希望した場合、合意に向けての労使の協議を行う義務はありませんが、社会保険の適用に向けて、労使の協議が適切に行われるよう努めてください。

 

申出を行った後は一定の要件(*)を満たす短時間労働者は全て加入対象者となりますので、労使間で十分な協議をされることをお勧めします。

 

(*)一定の要件(下記①~④のすべてにおいて該当するもの)

①週の所定労働時間が20時間以上であること(残業時間等は含めません。)

②1月の所定内賃金が月額88,000円以上であること(賞与、残業代、通勤手当等は含めません。)

③雇用期間が1年以上見込まれること

④学生(夜間、通信、定時制の方は除きます。)でないこと

新着エントリー

カテゴリ別エントリー

月別エントリー

  • 社会保険労務士やなばら事務所 03-6272-5318(9:00~18:00)

サービス一覧

代表やなばらのブログ

労務コラム

SRP認証事務所です

SRP認証マーク

当事務所はSRP認証事務所です。個人情報保護の基準を満たしていることを全国社会保険労務士会連合会より認証されています。(認証番号:131535)