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ユースエール認定制度の認定基準変更について 2017.04.03
ユースエール認定制度の認定基準が平成29年4月1日から変更になりました。
ユースエール認定制度とは若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
「労働時間」、「離職率」、「有給休暇」の3つの基準が変更予定です。
◎労働時間
変更前(旧基準)⇒直近事業年度の①正社員の所定外労働時間月平均が20時間以下又は➁正社員のうち、週平均の労働時間が60時間以上の者の割合が5%以下
変更後(新基準)⇒直近事業年度の①正社員の所定外労働時間月平均が20時間以下かつ➁月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員ゼロ
◎離職率
変更前(旧基準)⇒直近3事業年度の正社員の新規学卒等採用者の離職率が20%以下
変更後(新基準)⇒直近3事業年度の正社員の新規学卒等採用者の離職率が20%以下
ただし、採用者が3人又は4人の場合は、離職者数が1人以下
◎有給休暇
変更前(旧基準)⇒直近の事業年度の正社員の有給休暇の①平均取得率が70%以上又は②平均取得日数が10日以上
変更後(新基準)⇒直近の事業年度の正社員の有給休暇の①平均取得率が70%以上又は②平均取得日数が10日以上(有給休暇に準ずる休暇として職業安定局長が定めるものを含み、その日数は労働者1人当たり5日が上限)
今回の変更では労働時間の基準において特に厳しくなっておりますが、その背景には大手広告代理店の
社員が過労自した件の影響もあるようです。
過労死と会社の責任について 2017.02.13
過労死に限ったことではありませんが、労働者の健康に対する注意を怠った場合、損害賠償の支払い義務が生じることがあります。なぜなら、会社は労働者の生命や体を危険から保護するよう配慮する義務を負っているためです。
過労死とは
過重労働などが原因で脳梗塞や、心筋梗塞などを起こして死亡に至ることを言います。過労死の認定基準は平成7年に設けられ、平成13年に改正がなされています。
具体的な認定基準は、以下の通りです。
(1)発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的および場所的に明確にしうる異常な出来事に遭遇したこと
(2)発症前おおむね1週間で特に過重な業務に就労したこと
(3)発症前おおむね6ヵ月にわたり著しい疲労蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと
また、(3)については
・発症前1ヵ月ないし6ヵ月にわたり概ね45時間を超える時間外労働がある場合は業務と発症との関連性が強まる
・発症前1ヵ月間に概ね100時間を超える時間外労働が認められる場合、発症前2ヵ月ないし6ヵ月間にわたり1ヵ月あたり概ね80時間を超える時間外労働が認められる場合は業務と発症との関連性が強い
等の目安が示されています。
会社の責任
社員の死亡が過労死とされ業務上災害と認められた場合、会社が「過労死の防止措置」をとっていたかが問題となります。 会社は、法で定められた健康診断を行わなければなりません。異常が発見された場合は再検査を行わせたり、業務量を減らしたりなど、社員の健康状態に注意を払う必要があります。
もし、健康診断を適法に受診させていない場合や異常発見の場合に何の措置も講じていなければ、遺族から損害賠償を請求された場合、拒むことが難しくなります。
健康上の異常が発見されない場合でも、長時間労働が慢性化している場合は注意が必要です。業務の省力化など、できる限りの対策を講じましょう。
年次有給休暇の比例付与について 2017.02.13
年次有給休暇(以下:有給)の比例付与とは
所定労働日数が通常の労働者に比べて少ないパートタイム労働者などについて、通常の労働者との均衝を図るため、その所定労働日数に応じて別の有給付与に関する基準があります。これを有給の比例付与と言います。
対象労働者
週所定労働者が30時間未満であり、かつ、下記①、②のいずれかに該当する者。
① 週所定労働日数4日以下の者
② 週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合には、年間所定労働日数が216日以下である者
付与要件
通常の労働者と同じく、労働者から請求があった場合
付与日数
所定労働日数に応じて、最低1日から最高15日までの日数が以下のように定められております。
週所定労働 日数 |
1年間の所定労働日数 |
6箇月 |
1年 6箇月 |
2年 6箇月 |
3年 6箇月 |
4年 6箇月 |
5年 6箇月 |
6年 6箇月以上 |
4日 |
169~216日 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3日 |
121~168日 |
5日 |
6日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
2日 |
73~120日 |
3日 |
4日 |
4日 |
5日 |
6日 |
6日 |
7日 |
1日 |
48~72日 |
1日 |
2日 |
2日 |
2日 |
3日 |
3日 |
3日 |
「パートやアルバイトならば有給を与えなくて良い」と言う誤解をなさっている方も多いと思いますが、上記表に当てはまる働き方をしている労働者がいた場合は有給を与えなければなりません。
また、1日の勤務時間数が短い労働者であっても週5日以上働くようなら通常の有給規程が適用されますので注意が必要です。
休職制度について 2017.01.27
休職制度とは、一般に病気やけが、出向などをするため一定期間仕事をすることができないときに、在籍のまま仕事の中止を命ずる制度です。法律で義務付けられているわけではありませんので、まったく休職制度を設けないことも可能ですが、現実的には「病気で働けないのであれば即時に解雇」という取扱いをすることも難しいため、退職までの猶予期間として設けている会社が多いでしょう。
休職は会社に決定権がある:
よく勘違いされますが、休職は労働者の当然の権利ではありません。そもそも病気で休みがちな人を積極的に会社が採用することは通常ありえないことで、決められた日数を健康な状態で働くことを期待して雇っているはずです。言い換えると、労働契約は会社の「給料を支払う義務」と労働者の「健康に働く義務」を交換し合っているものですから、「健康に労働ができない」ということは本来契約違反であり解雇の理由にもなりえます。
そこに特例として病気などの事情を考慮して「すぐに解雇などはしないが、今はパフォーマンスが低い状態だから休むこと」と会社から命令をするのが休職命令です。
つまり、休職開始の手続きの順序は以下の流れが適切でしょう。
1、本人が病気などの事情を理由に休職願を申し出る。
2、会社が休職理由や状態などを考慮し、休職の命令をする。
病気療養中の休職者には治療に専念する義務がある:
休職者には当然「しっかり治療に専念する義務」があります。精神疾患による休職の場合など、休職中に会社から連絡を取ることをためらうこともありますが、「治療に専念する義務」を果たしているかを確認するという目的の範囲内であれば、会社は休職者に容体の報告をさせることができます。
復職の決定権も会社にある:
一方で復職の際の決定権も会社にあります。本人が復帰できると主張しても、「元の業務に戻れるか、配置転換が必要か」「もとの勤務時間で働けるか」「主治医以外の医師の意見はどうか」など、会社側の基準に従って慎重に復職の可否を判断するようにしましょう。
就業規則が有効であるための条件 2017.01.27
作成した就業規則が有効であると会社が主張するためには、以下の点に特に注意する必要があります。
1、従業員に周知をしていること
2、その内容が合理的であること
「周知」という言葉の定義については「従業員が見ようと思ったら見ることができること」とされています。例えば次のような状態を指します。
・常時事業場の見やすい場所に掲示してある、または誰もが手に取れる書棚に保管してある。
・コピーが従業員に配布されている
・会社のパソコンのデスクトップなどにワードデータが保存されている
「就業規則は②のように全従業員に配布しなければならないのか」という質問がありますが、労働基準法上の「周知」は配布までは義務付けていません。
ただし、「周知がちゃんとされていたか否か」ということは労働問題が起きた時に争点になりやすいことも確かです。後になって「就業規則があることを知らなかった」という言い分に対抗できるように、会社としては慎重に就業規則周知方法を選択しなければなりません。
次に「合理的な内容であるか否か」についてですが、こちらは裁判所において判断することになります。内容が労働基準法を下回る場合は無効となりますが、そうでなければ合理性は争っている事案ごとにケースバイケースで決定されます。
例えば、時代の流れに合わせて出張の日当を減額する就業規則変更を行った場合、その日当減額が「会社側の論理としては合理的」でも「客観的な財務状態や労働者の不利益の程度の面からみて合理性がない」と裁判所で判断されることもあります。
なお、事業所の労働者数が10人以上の場合は就業規則を労働基準監督署へ届出する義務がありますので注意しましょう。
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