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身だしなみに問題がある社員への対応策 2016.11.22
化粧が派手すぎる、服装が華美すぎる、衣服が整っていない、清潔感がない、ヒゲなどを伸ばしっぱなしにしている等の身だしなみについて、会社が注意指導できるでしょうか。
身だしなみについては、会社は一定の規律を定め、守らせる権限があると解されるでしょう。ただし、その規律に職務上の合理性がさほどなく、個人の自由を侵害している場合は話が変わってきます。会社が従業員を絶対的に支配するような指示や命令が許されるわけではないので、その範囲は「会社の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内」にとどまるべきと言えます。
ドレスコード制定
身だしなみについての規律を定める上では、就業規則その他社内規定にドレスコードを規定する方法があります。髪の毛の明るさの範囲や、ヒゲの許容範囲、衣服の色や履物の範囲、装飾品や刺青など、望ましい格好の基準を作り、周知してはいかがでしょうか。
その際に、企業理念や目指すサービスレベルなどを根拠とし、「このサービスを行うためにはこのようなドレスコードがあったほうが良い」と従業員が納得できるように工夫しても良いかもしれません。
化粧や服装等の身だしなみの問題は、基本的には注意や指導をして改善させるべき問題です。その際には、業務遂行にどのような支障が生じるのかを説明して指導する必要があります。
ちなみに、男性の上司が女性の(あるいは女性上司が男性の)身だしなみについて指導した場合、指導をセクハラだと言われることがありますが、職種や業務内容に照らして必要かつ合理的な身だしなみの指導はセクハラではないでしょう。そもそも、セクハラ云々ではなく、企業理念を軸に相応しい格好であるか否かを論じることができる組織作りをしたいものです。
賃金支払いの際の注意点 2016.11.20
賃金は多くの労働者にとって唯一の生活の糧であるため、払い方や金額について様々な法律上のルールがあります。以下、代表的なものをご紹介します。
1、 最低賃金
まず、毎年定められる地域別または職種別の最低賃金以上を支払う必要があります。例えば、「著名な作家の下でアシスタントとして働けるなら、時給10円でいいです」と労働者が申し出たとしても、その労働契約は最低賃金法違反となり、少なくとも最低賃金で契約を結んだとみなされます。
2、 支払いの5原則
賃金は①通貨払いの原則があり、現物で支払うことは基本的に認められていません。②また、直接働いた本人に支払う必要があります。さらに③その月分の全額を支払わなければなりません。勝手に給与から費用を天引きしてはいけないことになっています(労使協定により天引きが認められることがあります)。④毎月1回以上支払う必要があります。⑤一定期日に支払う必要があります。先月は15日に、今月は月末に支払うと言う支払い方は許されません。
3、 減給の制裁
何か悪いことをした社員に制裁(ペナルティー)の意味で減給をする場合でも、その減給額は平均賃金の半額まで、1か月単位で見ても給与の10%までと決まっています。※減給という懲戒処分をするためには、就業規則などの根拠を必要とします。
4、 休業手当
会社の都合で労働者を休ませた場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。会社都合の休業とは、生産調整のために工場を休業する場合などを指します。
注意するとパワハラだなどと言って,上司の指導を聞こうとしない部下への対応 2016.11.19
労働者の権利意識の高まりから、パワハラという言葉をよく聞くようになりました。しかし当然ながら部下への指導の全てがパワハラになるわけではありませんし、パワハラと言われることに過敏になるあまり、上司が部下に対して何も指導できなくなってしまうことも組織運営上の問題があります。
厚生労働省においてパワハラは次のように定義されています。
1、 同じ職場で働くものに対して
2、 職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に
3、 業務の適正な範囲を超えて
4、 精神的・身体的苦痛を与える
5、 または職場環境を悪化させる行為
ポイントとなるのは3「業務の適正な範囲を超えて」という箇所でしょう。
業務上必要な範囲とは、例えば「放置すると重大なクレームを招く行動」「社会通念上当然に守るべき規律を守らない言動」「同様の職務にあたっている他の従業員と比べて著しく仕事の手段及び方法が適切でなく、能率が低い業務遂行」という事実に対してであれば、適正な範囲内と主張できるのではないでしょうか。
ただし、それがあまりに長くの時間にわたる執拗な叱責であったり、暴力を伴うものであったりした場合、4「精神的・身体的苦痛」に該当するとみなされる可能性はあります。
上司としては、できるだけ客観的事実に基づいて冷静に部下の芳しくない行動を指摘し、改善を促すようにしたいものです。
遅刻や無断欠勤が多い従業員への対処 2016.11.18
遅刻や急な欠勤、または無断欠勤が多い従業員は、組織に一定の割合で存在します。彼らの行動は、時間を「自分中心」に捉えており、人へ与える迷惑を考えていない点で問題があります。業種・業態によっては柔軟な働き方がふさわしく、厳格な時間管理が馴染まないものもありますが、それでも対外的な印象や、社内で時間をちゃんと守っている従業員とのバランスを考えると、注意指導する必要があるでしょう。
① 記録:
当然ながら、遅刻や無断欠勤の事実を記録しておくことが重要です。タイムカードその他の方法で不正打刻ができない環境を整え、遅刻や無断欠勤の事実を明らかにし、記録しておきましょう。
② 本人の言い分を聞く:
次に、遅刻や欠勤について本人から理由をヒアリングします。病気が原因である場合などやむをえない理由がある時は、状況に応じて特別な対応をすることがあるかもしれません。
③ 再発防止策を指導する:
それから、遅刻や無断欠勤などをしないようにするための「再発防止策」を本人から出させて、指導書などに記録をすると良いでしょう。会社の対応として書面記録をするすることは、本人への自覚をより一層促す意味でも効果があるといえます。ただし、始末書の提出については、会社が作成した雛形を「強要」することは避けてください。
それでも態度が改まらず、無意味な遅刻を繰り返してしまう場合、さらに重い退職勧奨、あるいは懲戒処分として一番重い懲戒解雇といった処分も段階的に検討すべきかもしれません。
年末調整について 2016.11.17
年末調整とは
会社が従業員の1年間の給与(1月から12月)を基に所得税の額を計算し、毎月の給与から引いていた所得税との過不足精算をすることを言います。所得税は、給与ではなく所得(収入―必要経費)にかかる税金ですので、従業員の必要経費を把握する必要があります。
年末調整の対象となる人、ならない人は主に以下の通りです。
(1)対象者となる人
・1年間を通じて勤務している人
・年の途中で就職し、年末まで勤務している人
・12月中に給与の支払を受けた後に退職した人
・年の途中の海外転勤等により、日本に住んでいない人
(2)対象とならない人
・1年間の給与収入が2,000万円を超える人
・年の途中で退職した人(死亡や心身の障害による退職者は除く)
・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してない人
・2か所勤務者で、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を他の会社に提出している人
年末調整ができない項目
会社で年末調整を行っていても、以下に該当する人は自身で確定申告をする必要があります。
・1つの会社から給与を受けていて給与や退職金以外の所得合計が20万円を超える人
・2つの会社から給与を受けている人
・高額な医療費を払っている人
・寄付をしている人
・住宅ローンを受けた最初の人。
会社が従業員から集めるべき書類
年末調整を行うためには、主に以下の書類を集める必要があります。
①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
②給与所得者の配偶者特別控除申告書
③給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)
④給与所得の源泉徴収票(途中入社で前職がある人)
年末調整時の過不足精算を12月給与で行う会社が多いと思います。従業員からの書類は11月中を目途に配布及び収集をし、余裕を持って計算するようにしましょう。
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