2016年5月
研修中の安全配慮について 2016.05.09
企業研修において、歩行、アウトドアなどの運動や、大声を出させるなどのいわゆる「体育会系」なものを行う場合、社員のキャラクターを見極めながら、健康と安全について注意をしたほうがよいかもしれません。
企業には労働者の安全に配慮する義務=安全配慮義務があり、受講者の体力を鑑みることなく過酷な研修を行った結果心身に不調をもたらした場合、企業側が「安全配慮義務違反」を問われる可能性があります。
会社の安全配慮義務違反に問われる条件とは、①社員が心身の健康を害することを会社が予測できた可能性(予見可能性)があり、②それを会社が回避する手段があったにもかかわらず(結果回避可能性)、何らの手段を講じなかった場合です。この場合に安全配慮義務違反となり、場合によっては損害賠償責任を負うことになります。
いわゆる体育会系の研修における安全配慮という観点で考えると、例えば「持病を持っている、体力が弱いなどの理由により過酷な研修はできないと当人から訴えられたにもかかわらず、」「別メニューを用意するなどの配慮をする余地があったのに」何も対策を打たなければ、労働安全衛生法上の問題が出てくる可能性があるでしょう。
チームビルディングのために多少は過酷な時間を共有することも大切でしょう。しかし近年はそういった体育会系の雰囲気について来れない新入社員も増えているため、何事もやり過ぎには注意が必要でしょう。
出勤中にケガをしたら 2016.05.06
「通勤災害」という言葉を聞いたことがありますか?
通勤災害とは、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡」をいい、通勤災害と認められると、労災保険の補償対象として、一定の保険給付が受けられます。
たとえば、いつもの利用している駅で、たまたま階段を踏み外してケガをしてしまった場合は、通勤災害として考えられます。
では、会社に行く途中であれば何でも通勤災害になるか?といえば、そういうわけではありません。
ここでいう「通勤」とは、原則として「住居」と就業の場所との往復の移動を、合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質があるもの(出張など)を除くものとされています。 「住居」は、就業にあたり、日常生活の拠点となっている場所をさします。
冒頭の駅でケガをした例は、「住居」から出発して、就業場所へ向かう途中の駅でのアクシデントでした。
では、「住居」から出発してすぐにケガをした場合はどうなるのでしょうか。
通勤経路は、一般の人が自由に通行できるかどうかにより区分されることになっているので、通常は門や扉または戸外が境界となります。このため、家を出てから、自宅の庭を通る際にケガをした場合は、認められないケースがほとんどとなります。マンションの廊下で転んだ場合は、共用スペース(=自由に通行できる)にあたるため、通勤災害となるでしょう。
新入社員や春の人事で異動となった社員も、毎日の通勤に慣れてきた頃でしょうか。同じように通勤しているつもりでも、どこでケガをしたのかで、扱いが大きく異なる点に、注意してください。
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