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2016年8月

健康診断の費用負担とその間の賃金の取扱い   2016.08.30

会社は、常時使用する労働者に対し、健康診断を実施する義務を負っています。パートやアルバイトなどの雇用形態によらず、この条件に当てはまる場合は、受診させなくてはなりません。

 

健康診断には大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時と、雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。特殊健康診断とは、法定の有害業務に従事する労働者が受ける健康診断です。

 

労働者にとっても、健康診断を受けることは、労働者自身の権利ではなく義務といえます。

 

では、健康診断にかかる費用は、労使のどちらが負担すべきなのでしょうか。行政通達によれば、「健康診断の費用については法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然会社が負担すべきもの」と解釈されています。また、ここでいう費用には、労働者が健診の医療機関へ移動する交通費も含まれると考えられています。

 

 

受診する間の賃金についても、整理しておきましょう。

 

定期健康診断は、通常の業務とは関係なく受けるものですから、その間は労働していないと考えられます。よって、その間の賃金について払わない、あるいは有給休暇扱いとすることは違法ではありません。ただし、円滑な受診を目指すことを考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいでしょう。

 

一方、特殊健康診断は業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断です。特殊健康診断の受診に要した時間は、労働時間であり、賃金の支払いが必要とされています。注意しましょう。

会社が行うべき一般健康診断の種類について   2016.08.12

会社は労働安全衛生法に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施させなければなりません。また、労働者は健康診断を受けなければならない義務があります。ここでは一般健康診断について紹介します。

 

一般健康診断は主に5種類あります。

法律上規定されている一般健康診断は以下の通りです。

1、雇入れ時の健康診断

2、定期健康診断

3、特定業務従事者の健康診断

4、海外派遣労働者の健康診断

5、給食従業員の検便

 

1、雇入れ時の健康診断

いわゆる新入社員が受診対象となるものです。労働安全衛生規則43条「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならない。」に基づき、雇入時の健康診断の実施を義務付けています。

 

2、定期健康診断

毎年定期的に行っている診断です。労働安全衛生規則43条「事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、医師による健康診断を行わなければならない。」に基づき、雇入時の健康診断の実施を義務付けています。

※パートやアルバイトであっても、継続1年以上雇用する場合は定期健康診断を行なう必要があります。

 

3、特定業務従事者の健康診断

深夜業務などの特定業務に従事する労働者に対して、当該業務への配置替えの際及び6ヶ月以内ごとに1回、定期的に、定期健康診断と同じ項目の健康診断を行わなければなりません。

 

4、海外派遣労働者の健康診断

労働者を日本国外の地域に、6か月以上派遣しようとするとき、ならびに6か月以上派遣した労働者を日本国内における業務に就かせるときは、その労働者に対して、医師による健康診断を行わなければなりません。

 

5、給食従業員の検便

事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければなりませn。

 

健康診断を実施しない場合、会社は労働安全衛生法違反によるペナルティーを科せられるほか、健診を受けさせなかった労働者が病気になった場合、損害賠償責任が生じる可能性があります。

そのようなリスクを避けるため、また従業員に健康上の不安なく働いてもらうためにも、実施を忘れないようにしましょう。

雇入れ時の健康診断とは   2016.08.09

新しく人を雇い入れる場合、健康診断を実施することが労働安全衛生法上義務付けられています。どのような人にどんな健診を受けさせなければならないか確認していきましょう。

 

対象者

常時使用する労働者を対象としており、正社員のみでなくパートやアルバイトであっても以下要件のいずれにも該当する場合は実施する必要があります。

 

①期間の定めのない者や、契約期間が1年以上である者、契約の更新により1年以上使用されることが予定されている者、既に1年以上引き続き使用されている者

②1週間の労働時間数が、その事業場の通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上である者

 

雇い入れ時とは、雇い入れの直前または直後を指していますので、入社前に受診させることのほか、入社直後に受診させることも可能です。

 

健診項目

健康診断の実施項目については定期健康診断の項目とほぼ同じで、以下のとおりとされています。

 

①既往歴及び業務歴の調査

②自覚症状及び他覚症状の有無の検査

③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

④胸部エックス線検査

⑤血圧の測定

⑥貧血検査

⑦肝機能検査

⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)

⑨血糖検査

⑩尿検査

⑪心電図検査

 

 

雇い入れ時の健康診断については上記すべての項目を実施する必要があります。ただし、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者がその健康診断の結果を証明する書類を提出したときは、その項目については省略することが可能です

 

健診費用について

行政通達によると、「法で事業者に健康診断の実施義務を課している以上、当然事業主が負担すべきものである」とされています。事業主が支払うのが無難でしょう。

 

心身の健康状態が仕事に影響を与えることは言うまでもありません。健康状態が悪い時は仕事も捗らないことがほとんどですので、会社にとっては痛手でしょう。そのような観点からも健康状態の管理を個人の責任とせず、会社も負うべきです。その第一歩として入社時の健康診断は実施するようにしましょう。

 

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