2017年12月
障害者雇用率制度の概要 2017.12.20
1 障害者雇用率制度とは
身体障害者及び知的障害者について、一般的には雇用の機会が狭められます。障害者についても一般労働者と同じ水準において常用労働者となる機会を与えるために、各企業の規模ごとに「◯人の障害者を雇用しなさい」という数が決められています。
障害者雇用率とは、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を指します。
2 現行の障害者雇用率
現行の障害は雇用率は以下の通りです。平成30年4月からは改定になる予定です。
<民間企業>
一般の民間企業 = 法定雇用率 2.0%
特殊法人等 = 法定雇用率 2.3%
<国及び地方公共団体>
国、地方公共団体 = 法定雇用率 2.3%
都道府県等の教育委員会 = 法定雇用率 2.2%
つまり、民間企業であれば従業員100人に対して2人の障害者を雇用する義務が課せられています。
3 一般民間企業における雇用率設定基準、計算の方法
一般企業については以下の算定式による割合を基準として設定されています。
障害者雇用率 = ① ÷ ②
①身体障害者及び知的障害者である常用労働者の数+ 失業している身体障害者及び知的障害者の数
②常用労働者数 + 失業者数
※ 短時間労働者は、1人を0.5人としてカウント。
※ 重度身体障害者、重度知的障害者は1人を2人としてカウント。ただし、短時間
の重度身体障害者、重度知的障害者は1人としてカウント。
※ 精神障害者については、雇用義務の対象ではないが、各企業の実雇用率の算定時には障害者数に算入することができる。
→平成30年4月からは雇用義務の対象と変更になります。
労務関係の書類保管について 2017.12.20
1 労働基準法第109条
(記録の保存)
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければなりません。
この規定の目的は主に紛争の解決と監督です。やめた社員について紛争が起きたり、過去の労務管理を監督する上での必要性から会社の義務として定められているものです。
2 保管方法
保存方法については、必ずしも紙でなくても良いとされています。安全性の確保などの要件を充たしていれば電子媒体に保存することも認められています。
保存対象の書類
・労働者名簿
・賃金台帳
・(雇入れ通知書等)
・解雇予告通知書、その他解雇に関する書類
・災害補償及び賃金に関する書類
・業務災害等の災害に関する書類等
・賃金に関する書類
・その他労働関係に関する重要な書類
その他の書類として、出勤簿やタイムレコーダーの記録、使用者が自ら始業・終業時刻を記録した書類、残業命令書及びその報告書、労働者が記録した労働時間報告書など並びに労使協定書、各種許認可に係る書類等。
3 いつから起算するか
労働基準法関係の書類保管については、基本的には「終わった日」を基準にします。
労働者名簿→労働者の死亡、退職又は解雇の日
賃金台帳→最終の給与を払った日
雇入又は退職(解雇を含む)関係の書類→労働者の退職又は死亡の日
災害補償→災害補償がおわった日
賃金その他労働関係に関する重要な書類→完結した日
社内恋愛を禁止する正当性 2017.12.20
会社として、社員同士の恋愛を禁止としたい場合があります。社内恋愛によるデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
・付き合っていることでイチャイチャして周りの社員が不快に思う
・スタッフ同士の交流に公平性がなくなる
・痴話喧嘩が元で会社の運営に支障をきたす
・別れる時に片方または両方が退職する
・お客様が不快に思う
特に退職は重要な問題で、企業が多くの投資をして雇った社員が退職してしまうのは痛手です。会社は社内恋愛の禁止をすることができるでしょうか。
原則としては恋愛禁止はダメ
本来、恋愛は個人の自由で行われる私生活上のものであり、会社が過度に干渉することは許されません。個人間の恋愛は禁止したからといって抑止できるものではありません。
企業秩序の維持のために懲戒が認められることもある
ただし、社内恋愛行為が結果として会社に迷惑をかけていることが明らかであれば、何らかのペナルティーを与えることは可能でしょう。たとえば女性が接客をするサービス業においては、社内恋愛は女性の商品価値を貶めるかもしれません。また、社内恋愛関係にある二人がお互いを明らかにえこひいきして営業成績をよくするなどの行為も秩序を乱していると言えそうです。
社内恋愛による悪影響が客観的に見て相当重大である場合や、会社の信用を著しく失墜させた場合であれば、懲戒や配置転換も可能でしょう。
ただ、社内恋愛をしたから減給するとか、配置転換をするというのは、「よっぽどの悪影響がある」場合に限られます。その悪影響を立証することができない場合は、懲戒が不当となります。
業務外でトラブルが発生した社員の対応 2017.12.20
労働者と会社の契約上は、あくまで「所定労働時間内において会社の命令で働く」と決まっているだけですから、とたとえば社員が勤務時間外に飲酒運転し警察に捕まってしまったなどの場合、会社は何らかのペナルティーを与えることができるでしょうか。
1 原則としてはペナルティーを与えることができない
原則的には、従業員の業務外の非行に対して、会社が懲戒処分することはできません。
なぜなら、懲戒は、労働者と使用者(会社)との労働契約に基づき、当該労働契約に違反したときにのみ行うことができるものだからです。
労働契約とは双方に次の義務を負う約束です。
会社:給料を払う、労働基準法上の権利を保証する
労働者:会社の命令をきいて労務を提供する(働く)
例えば、「ギャンブルにハマる」「泥酔して街でトラブルを起こす」などの行為は社会通念(道徳)上好ましくない行為かもしれませんが、それらは前述の義務とは別の話なので、それらに対して、ただちに会社がペナルティーを課すことはできません。
2 会社に迷惑が及ぶ場合は懲戒できることも
しかし、業務外での行為でも、社会的に影響を与えるような行為であって、会社の信用を失墜させたり、名誉を著しく汚すような行為を行った場合にはその程度に応じて懲戒をすることができます。
近年は飲酒運転に対して大変厳しい世間の評価がありますから、特に車を運転する業務がある場合は厳しい対処も可能でしょう。また、就業規則などで 「社員が刑法上の犯罪を犯したときなどには、それが業務外の行為であっても、懲戒する」と規定しておくことで、場合によっては懲戒解雇などの厳しい処分に付することもできるでしょう。
アルバイトも有休を取れるのか 2017.12.20
時給で働く事が多いアルバイトやパートは、有給休暇が馴染みにくいと思われがちですが、パートアルバイトであってもにも有給休暇を付与しなければなりません。
有給休暇とは、以下の2つを満たす休暇のことを指します。
・心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される
・「有給」すなわち取得しても賃金が減額されない
パートアルバイトであっても心身の疲労を回復する必要はあるというわけです。
要件
①雇い入れの日から6か月以上経過していること
②全労働日数の8割以上出勤(出産・育児・労災・有給取得を除く)
②について、8割の算定は「本来働くべき日だったかどうか」が基準となります。パートアルバイトだと、労働条件通知書やシフトによって「働くべき日」を決めます。
週1日のアルバイトであれば、そのシフトの日をきちんと出ていれば、半年後には有給休暇の権利が発生するというわけです。
アルバイト・パートの有給休暇付与日数
有給休暇について、アルバイトとパートとは「週に30時間未満かつ、週4日以内又は年間216日以内で勤務している労働者」を指します。
週に30時間以上勤務する場合や、一日4時間勤務でも週5日又は217日以上勤務する場合は、フルタイムと同じ有給休暇が付与されます。
パート・アルバイトの有給休暇付与日数は、以下の表にまとめられます。
パートアルバイトの場合は、正社員と比べて少ない日数の有給休暇を与えるということです。
ちなみに、パートアルバイトへの有給休暇の表を見る上で、所定労働日数は「基準日直前の勤務実績を用いる」ということになります。例えば入社後半年が経過した時点の場合。勤務実績が80日だとすると、2倍して年換算した160日が1年間の所定労働日数になります。そのうち欠勤が2割以内であれば、有給休暇が5日付与されます。
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