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2015年12月

すぐ辞めた社員について、離職証明書(いわゆる離職票)を作らなければならないか   2015.12.11

 

 

雇用保険法上の手続きである「離職証明書」は、在職中の賃金額や退職理由などをいちいち記載しなければならず、手続きが多少面倒です。入社してすぐ辞めてしまった社員についても「離職証明書」を作成し、届出をしなければならないのでしょうか。

 

失業保険のルール:

自己都合で会社を辞める場合、基本手当(いわゆる失業保険)を受給するためには要件があります。被保険者期間が離職日以前2年間に12ヵ月以上なければ基本手当の受給要件に該当しません。つまり概ね1年以上勤めていない場合、せっかく離職票を作っても失業保険はもらえないように見えます。

 

離職証明書作成届出の基準:

原則論からすれば、資格喪失届に離職証明書を添付することになっており、基本手当を受給できるかどうか?は関係ありません。ですから、例えば被保険者期間が1ヵ月未満であっても交付義務はあります。

 

ただし、本人が離職票の交付を希望しないときは省略することが可能です。

(離職時の年齢が59歳以上のときは高年齢雇用継続給付との関連があるので、交付する必要があります。)

 

つまり、退職社員に作成希望の有無を確認し、必要ないと言われれば省略、ただし59歳以上だった場合は希望に関わらず作成するようにしてください。

 

基本手当がもらえないとは限らない:

ちなみに、1つの会社での在籍期間が1年未満でも、その前の雇用保険期間と合算できることがあります。直近の会社を1ヶ月で辞め、その前の会社を11か月で辞めた場合などは、二つの社歴を合算して基本手当がもらえることがあります。

 

 

子の看護休暇   2015.12.11

 

子供が急に体調を崩すなどし、看護が必要な場合、法律上看護休暇を取らせる必要があります。

 

制度の概要

小学校就学前までの子を養育する従業員は、事業主に申し出ることにより、小学校就学前までの子が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。子の看護休暇は、病気やけがをした子の看護を行うためや、子に予防接種または健康診断を受けさせるために利用することができます。

 

対象となる従業員

 原則として、小学校就学前までの子を養育する全ての男女労働者(日々雇用者を除く。)が対象となります。ただし、勤続年数6か月未満の従業員と週の所定労働日数が2日以下の従業員については、労使協定がある場合には、対象となりません。

 

看護休暇中の給与支払い

看護休暇中の給与について、法律上定めは有りませんので、給与を支払っても支払わなくても構いません。ただし、実態としてはこの「看護休暇」を取得するというよりも、本人が付与された年次有給休暇を使用して休むことが多いでしょう。

 

 

手続き方法

 子の看護休暇の申出は、休暇を取得する日や理由等を明らかにして、事業主に申し出る必要があります。子の看護休暇の利用については緊急を要することが多いことから、当日の電話等の口頭の申出でも取得を認め、書面の提出等を求める場合は、事後となっても差し支えないこととするほうがよいでしょう。

 

ちなみに似た休暇制度で「介護休暇」というものもあります。こちらも使用実態は少なく、有給休暇を使用して休むことの方が多いでしょう。

 

育児のため、短時間勤務をしたい場合   2015.12.11

 

 

3歳未満の子どもを育てる従業員は、育児介護休業法により所定労働時間を短縮する制度(原則として1日6時間)を利用できます。所定労働時間とは、就業規則等で定められた勤務時間のことです。

 

対象者:

3歳未満の子どもを育てる男女従業員

※期間を定めて雇用されている従業員も利用できます。※配偶者が専業主婦(夫)であっても利用できます。

 

ただし、日雇いの従業員や、そもそも1日の所定労働時間が6時間以下の従業員は対象になりません。また、勤続年数1年未満の従業員など一定の従業員については、労使協定などで対象外となることがあります。

 

短縮時間や利用できる期間:

短時間勤務の時間については、会社は必ず1日の所定労働時間を5時間45分~6時間 とする制度を作らなければならないとされています。それより長くても短くても(たとえば所定労働時間を5時間、7時間と定めること)法的な基準を満たしたことになりません。ただし、所定労働時間を6時間とする措置に加えて、5時間あるいは7時間とする選択肢を設け、労働者に選択させるのであれば問題ありません。

 

利用できる期間は子どもが3歳になるまでの間で従業員の申し出る期間となります。

 

社会保険適用:

社会保険の適用については、常用的使用関係にあり、労働時間と労働日数が、それぞれ一般社員の4分の3以上であるときは、原則として被保険者となります。逆に言うと、原則として一般の社員の4分の3未満であれば社会保険は加入しません。

ただし、短時間勤務者が正社員の場合は、上記とは別に、下記の事項を満たしている場合に社会保険の被保険者となる可能性があります。

ア.労働契約、就業規則、給与規程等に、短時間正社員に係る規定がある

イ.期間の定めのない労働契約が締結されている

ウ.給与規程等における時間当たりの基本給・賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に

  雇用されるフルタイム正社員と同等で、かつ就労実態も諸規程に則している

通勤手当の非課税限度額について   2015.12.11

 

通勤手当は実否弁償的な意味合いが強いため、本人の所得を計算する上では非課税となります。ただし、近所から通勤する社員に多額の通勤手当を支払うなど、本来かかるであろう実費を超えて支給している場合は、名前が通勤手当であっても全額非課税とされないことがあります。

 

通勤手当の非課税限度額については通勤方法別に以下のような基準が決まっています。

 

 

1、交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

 

2、自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当

通勤距離が片道55キロメートル以上である場合         31,600            

通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合   28,000

通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合   24,400

通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合   18,700

通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合   12,900

通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合   7,100

通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合     4,200

通勤距離が片道2キロメートル未満である場合           (全額課税)      

 

3、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券   

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

 

4、交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券      

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額と2の金額との合計額(最高限度 100,000円)

 

つまり、電車やバスの定期券や定期代は10万円までは非課税ですが、車やバイク、自転車などを使用する通勤については「距離によって」非課税限度額が設定されています。

 

労災または通勤災害による休業補償(最初の3日)について   2015.12.11

 

 

業務上の事由または通勤により怪我をして仕事が出来なくなった場合、休業の第4日目以降は労災保険から休業に対する補償(概ね給与の8割)があります。

別の言い方をすると、休業初日から3日間は労災保険から休業補償されないことになります。この3日間に関するケアについて、業務(仕事中の)災害と通勤(途中の)災害とで、取り扱いが違います。

 

◆業務災害の場合

 

休業初日から3日目については、労働基準法により「会社が」平均賃金の60%の補償をしなければなりません。

 

そもそも、労働基準法では労災で仕事が出来ないために賃金を受けない場合、会社が休業補償をしなければならないのですが、休業4日目からは、労災保険がその補償を行うので、3日目までは会社が支払い、4日目以降は会社からの休業補償は労災保険からされる、という関係になっています。

 

 

◆通勤災害の場合

 

通勤災害は労災ではないので、労働基準法上、事業主には休業に対する補償責任がありません。よって、業務災害と異なり休業初日から3日目までの休業に対する補償を事業主がする必要はありません。

 

ちなみに、この3日分の休業補償について所得税法上は非課税となっています(一方で、会社の都合で休ませた場合に市はらう「休業手当」については課税対象となります)。また、労働保険の年度更新をするときには賃金とはみなされません。

 

 

休業補償を支給する場合の給与計算については専門家に相談しましょう。

 

 

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