2012年6月
賃金支払いの5原則について 2012.06.18
労働基準法では賃金支払いについて5つのルールが定められています。
1、通貨払い賃金は(当たり前のことですが)通貨で支払わなければなりません。例えば、自社の商品や商品券などで支払うことは「労働の対価」としての適切性が確保されない可能性があるために認められません。
2、直接払い賃金は労働者に直接支払わなければなりません。これは必ずしも現金支給というわけではなく、銀行振込であっても大丈夫です(ただし、銀行振込の場合事前に労働者の同意が必要ですので、できれば書面で給与振込口座を申請してもらいましょう)。
3、全額払い賃金は、その計算期間に対応する全額を支払う必要があります。例えば、残業代の支払いに不足がある場合はこの全額払いの原則に違反していことになります。ただし、社会保険料や所得税などの法定控除や、労使で協定されたもの(家賃控除や互助会費など)を差し引いても全額払いの原則に違反しません。
4、毎月1回以上支払い賃金は毎月1回以上支払わなければなりません。労働者にとって賃金は生活の基本になるのでこのように決められています。これは年俸制であっても同様で、年俸額を12で割った額を(あるいは賞与も含め14~17などで割った額を)毎月支払う必要があります。
5、一定期支払い賃金は「毎月◯日」というように定期に支払わなければなりません。これも「毎月1回以上支払い」と同様に、労働者の生活の基本になる賃金は定期払いが求められています。
ただし、給与支給日が休日にあたる場合等は、その支給日を繰り上げ、または繰り下げてもよいとされます。
以上賃金支払いの5原則についてでした。
整理解雇の4要件について 2012.06.07
解雇のうち、主に会社の財務や戦略上の必要性から行うものを「整理解雇」といいます。
(俗に言う「リストラ」とほぼ同義です)
整理解雇が認められるのは、判例上以下の4つの要件を満たす場合とされています。
1、整理解雇の必要性があること財務上、または経営戦略上、当該解雇が「どの程度必要であったか」が問われます。例えばある部門の業績が著しく悪い場合などは、部門下の社員の解雇必要性が比較的高いと言えます。
2、解雇を回避する努力をしていること日本では特に解雇に対して高いハードルを設けていますので、整理解雇の是非を問う時は「解雇回避のために会社がした努力の程度」を加味されます。例えば、他の部門への配置転換を打診したか、希望退職を募ったか、などがこれにあたります。
3、人選に妥当性があること解雇対象となる労働者を選ぶ基準が公平であることも要件になります。例えば、高年齢者のみを解雇対象とすることは、人選の公平性をはかる上で会社にマイナスに働きます。
4、説明責任を果たしていること解雇にあたり事前に十分な説明を行っているかも重要です。唐突な解雇通告は労働者の生活を脅かしかねないため、この要件があるものと思われます。
整理解雇の是非を問う時、以上の4つの要件がどの程度みたされているかがポイントになります。リストラ事案に直面している会社の人事担当者の方は、上記の4要件に照らし合わせてみてください。
以上整理解雇についてでした。
解雇予告について② 2012.06.01
解雇予告の義務とは、労働者が解雇により急に職を失い、生活に窮することのないよう(または再就職への時間的猶予を確保できるよう)、使用者に課せられた30日以上前の予告義務のことを指します。
労働基準法では解雇予告が不要なケースも定めています(天災地変による場合や重大な労働者の悪事など)が、この場合も会社側の主観による判断だけでは足りず、「労働基準監督署の解雇予告除外認定」を受ける必要があります。
この「解雇予告除外認定」ですが、実際には労働関係実務を日々取り扱う専門家である社労士でもめったに取り扱わないレアケースです。「そんなヒドイ労働者は解雇予告不要だから、即時解雇して問題ない」とまで言える解雇事案はほとんどないと思うほうが、のちのトラブルリスクを考えると賢明でしょう。
では実際に巷で見聞きする「即時解雇」は解雇予告除外認定を受けているかというと、まずほとんどのケースで受けていないと思われます。ただし、解雇予告に代わる「解雇予告手当」の支払いをした上で即時解雇するケースはしばしばあります。
以上解雇予告について②でした。
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