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2013年9月

労働基準監督署の臨検の種類   2013.09.26

「労働基準法などの労働関係諸法令を守っているかをチェックするために、労働基準監督官が会社に立ち入り調査をすることがあります。この調査を「臨検」といいます。この臨検には主に3つの種類があります。

 

1、 定期調査

最も一般的な調査で、臨検のほとんどはこの定期監督に該当します。

年度ごとに重点的に調査する業種等を決めて行われるようです。

定期調査で調べられる項目の相場は大抵決まっていて、

①労働時間は多すぎないか、休日数は適法か

②残業など割増賃金の計算方法は適正か

③36協定(時間外協定)を届出しているか

④就業規則は適法に整備されているか

⑤労働者名簿、出勤簿、賃金台帳は適法なものが備え付けられているか

⑥健康診断を毎年実地しているか

のような労働基準法や労働安全衛生法の違反はないかを調査します。調査の対象となる会社は、ある意味ランダムに決められます。特に法違反の事実を掴んで調査されるものではありませんので、必要以上に心配しなくてもよいものです。

 

2、 申告調査

従業員や退職者が「会社は労働基準法違反をしている」など直接労働基準監督署に申告(内部告発)したときにその内部に基づいて調査をします。従業員や退職者が会社に改善を求めるために労働基準監督署へ申告し、その内容を確認するための調査をします。

労働基準監督署へ申告する人は、在職者より退職者のほうが多いようです。労働基準監督署に申告があった場合はほぼ100%の確率で臨検されます。

 

3、 災害時調査

労災が起こった場合に、その災害の実態確認や原因究明、再発防止のために調査します。

 

 

臨検の連絡があった場合も慌てずに、社会保険労務士等専門家に相談し、善後策を検討しましょう。

派遣と請負の違い   2013.09.21

〈派遣〉

派遣とは、派遣元会社自身が雇用している従業員に、派遣先で働いてもらう仕組です。派遣社員の雇用主は派遣元会社となります。しかし、実際に働いてもらう場合には、派遣先での指示に従います。

つまり、派遣元会社と派遣社員が雇用契約を結び、指揮命令は派遣先(受け入れ側)が行う、派遣会社と派遣先は派遣契約を結ぶ、という三角関係になります。

 

〈請負〉

請負は派遣と似ていますが、指揮命令の部分で異なります。

請負は、仕事を完成させることを約束し、仕事の結果に対して報酬をもらう契約です。ですので、仕事を依頼する発注者と請負会社があった場合、発注者はどのような方法で仕事を完成させるか一切指示してはいけません。あくまでも仕事の完成だけです。

仕事のスケジュールを発注者が管理していたり、仕事の報告を発注者に行うことが義務付けられたりした場合などは、請負ではなくなります。途中で指示を行った場合は、「派遣」になってしまいます。

 

派遣社員の給与や労働保険料、社会保険料は派遣元会社の負担となります。従って、派遣先で時間外労働をしたとしても、割増賃金の支払い義務は派遣元会社にあります。派遣社員は派遣元会社と雇用契約を結んでいるためです。派遣先の会社は、派遣社員の働いた時間分の料金を派遣元会社に支払うだけとなります。

 

 

派遣を依頼する場合、下記業務は派遣が禁止されているので、注意が必要です。

①    建設業務

②    港湾運送業務

③    警備業務

④    病院・診療所での医療業務

⑤    人事労務関連の一定業務

⑥    弁護士・税理士・社会保険労務士等の士業の一部

⑦    管理栄養士の業務

 

セクシュアル・ハラスメントの境界線とは   2013.09.20

セクシャルハラスメント、いわゆるセクハラは、その境界が極めてあいまいで、正確な答えはありません。

大きく言うと、性的な意味合いを持つ言動を「相手が望まなければ」セクハラとなります。

Aさんに言われたらセクハラだけれども、Bさんなら問題ないというケースも当然の様にあります。

 

 

セクハラには2種類あります。

 

1、 対価型セクハラ

セクハラ被害者が、それを拒否したために解雇、降格、減給といった不利益を受けること。

 

2、 環境型セクハラ

セクハラ被害者の就業環境が不快なものとなり、仕事に支障が出ること。

 

セクハラというと、男性が加害者、女性が被害者というイメージですが、実際はどちらが加害者であってもセクハラとなります。男性が女性の言動を不快に思えばセクハラになります。年上の女性が、若手男性社員の男女交際関係をしつこく聞き、男性側が不快に思えばそれもセクハラでしょう。

 

その他、「髪の毛切った?」「最近太った?」「女のくせに」「男のくせに」「キレイだね」などの言葉も、受けて手の気持ちによってセクハラになりえます。

 

セクハラの責任はどこにあるか

会社には、「従業員が働きやすい環境を維持する義務」があります。セクハラの発生を知りながらそれを放置する行為があるとすればそこには会社の責任を追及される可能性があります。

セクハラについての職場環境整備の具体的方法としては、例えば相談窓口の設置があります。セクハラの受け手が正直に事実を相談できる仕組みを備えた相談窓口にすることで、実態確認とセクハラ発生予防に努める姿勢が企業には求められています。

 

 

労働基準法における休憩時間の考え方   2013.09.10

労働基準法では、1日6時間を超えて働く場合には、休憩時間は必ず取らなくてはならないと定められています。1日6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩が義務づけられています。6時間を超えない場合には、休憩時間を付与する必要はありません。

この休憩時間は、1日の合計数なので、例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社で、30分と15分と分割して休憩しても問題ありません。

 

さらに、休憩の与え方には、以下の3つの原則があります。

 

1、途中付与の原則

ですから、勤務終了時間前にまとめて休憩を取り、1時間早く退社する、ということは出来ません。休憩時間は、休憩後の仕事も頑張ってこなせるようにリフレッシュするための時間ですので、途中に取らなければなりません。

 

2、一斉付与の原則

周りの人が休んでいないと、休憩を取りにくくなってしまいます。周りに気を使わないで休憩出来るよう、休憩は一斉に付与しなければなりません。しかし、接客業などでは、一斉に休憩をとってしまうと、接客が出来なくなってしまいます。下記の業種は、例外的に一斉に休憩を与えなくてもいい業種とされています。

 

①    運輸交通業

②    商業

③    金融・広告業

④    映画・演劇業

⑤    通信業

⑥    保険衛生業

⑦    接客・娯楽業

⑧    官公署の事業

他の業種でも労使協定を結ぶことで一斉に休憩を取らなくても良いことになっています。

 

3、自由利用の原則

休憩時間は自由に利用させなければなりません。つまり、電話番や接客応対を休憩時間にさせる場合、厳密には休憩の自由利用の原則に反することになります。

ただし、自由利用の原則があるからといって何をしても良いというわけではありません。周囲に迷惑のかかる行為や、休憩後に支障の出る行為は行ってはなりません。

よく似た言葉:退職願と退職届の違い   2013.09.09

自己都合退職をする場合、退職を申し出る書面を会社に提出することが日本の雇用関係上慣例となっていますが、その書面の名称は「退職願」「退職届」のふたパターンあります。

この両者はどのように異なるのでしょうか。

 

退職願:

退職願は文字通り、従業員が会社に「退職させて下さい」とお伺いを立てる(お願いする)物です。従業員からお願いされたことに対して、会社がわかりました、退職意思を受け入れます。と受理した時点で退職することが成立します。

 

では、会社が退職願を認めない場合は、退職できないかと言うとそういうわけでもありません。会社が認めない場合であっても、民法上は「従業員が退職したいという意思表示をしてから2週間たてば退職できる」となっています。

 

この退職願の場合、会社が正式に受理するまでは、従業員側からの退職願の撤回や、退職日が変更できます。

 

退職届:

退職届は従業員が会社に「退職します」と断言する物です。

ここに会社の受理というプロセスはなく、あくまでも従業員の意思のみで退職を決めます。

退職届の場合、退職することは一般に「届出をした日」に確定となりますので、会社が変更しても構わないと言わない限り、従業員が退職届の撤回や日付を変更できないことになります。

 

ただし、現実的には退職前に当然行うべき引継ぎがあるはずですから、相当の期間をおいて退職するよう日付を設定することが常識でしょう。慣例ではすくなくとも1か月前には届け出ることが多いでしょう。

 

トラブルに発展しそうなときは書面で確認を:

退職について意見が労使間で食い違い、トラブルに発展しそうなときは、退職願の正式な受理を証明する資料として書面で「退職願受理承諾書」を発行したほうがよいでしょう。

これによって会社が正式に退職願を受理したか証拠として残すことが出来ます。

 

 

 

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