2015年6月
フレックスタイム制とは 2015.06.30
フレックスタイム制とは、始業時刻と終業時刻の決定を社員自身に任せる制度です。
○フレックスタイム制のメリット
労働者が自由に出社や退社の時刻を決定することで、仕事と生活のバランスがとりやすくなったり、通勤ラッシュを避けられるなどのメリットがあります。使用者は、フレキシブルタイム(労働者がその選択により労働することができる時間帯)を定めたり、会議などのために従業員の出社を確保する必要に備えて、コアタイム(労働者が労働しなければならない時間帯)を設定することもできます。
○フレックスタイム制を採用するには
フレックスタイム制を採用するには、始業・終業時刻の決定を労働者に委ねる旨を就業規則で定める必要があります。これにより労働者は、労働契約上、始業・終業時刻の決定権を取得します。このほかに、使用者は事業場に過半数労働者を組織する労働組合があればその組合、そうした組合がない場合は過半数代表者と労使協定を締結し、フレックスタイム制の対象者範囲、1カ月以内の期間(フレックスタイム制導入の単位期間を「清算期間」といいます)、清算期間の総労働時間、および1日の標準労働時間を決めます。また、コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合はその時間帯を定めることが必要になります。
○フレックスタイム制における残業代
フレックスタイム制では1日・1週の労働時間ではなく、清算期間内の労働時間合計を超えたかどうかによって時間外労働の有無が判断されます。
1ヶ月単位の変形労働時間制とは 2015.06.30
1ヶ月単位の変形労働時間制とは1ヶ月を平均して1週間の労働時間が週40時間以下になっていれば、 労働時間が1日8時間、週40時間を超えても、時間外労働の扱いをしなくて済むという制度です。この制度は1ヶ月の中で繁閑に差がある場合に導入することが適しています。
○ 労使協定などに定めること
労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより、この制度に関する規定を設ける必要があります。
この際、各日および各週の労働時間を具体的に定めておく必要があります。つまり、勤務カレンダーなどで勤務日やその日ごとの勤務時間を毎月決めなければならなりません。会社が業務の都合によって自由に労働時間を変更することはできません。
○ 時間外労働となる場合
1日または1週の法定労働時間を超えて労働させることができますが、以下の場合には時間外労働となります。
① 労使協定などにより8時間を超える時間を定めた日はその時間を、それ以外の日は8時間を超えて労 働した時間。
② 労使協定などにより40時間を超える時間を定めた週はその時間を、それ以外の週は40時間を超えて 労働した時間。(①で時間外労働となる時間を除く)
③ 変形期間については、以下の式により計算される変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労 働した時間。(①または②で時間外労働となる時間を除く)
→40(時間)×変形期間の暦日数/7
介護休業制度 2015.06.18
家族を介護する必要がある場合、介護のための休業を取ることができます。この「介護休業制度」について解説します。
介護休業制度とは
労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。期間は通算して(のべ)93日までです。 2回目の介護休業ができるのは、要介護状態から回復した対象家族が、再び要介護状態に至った場合です。3回目以降も同様です。
介護休業の対象者
要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者です。日々雇用される者は対象になりません。
対象家族と介護の状態の定義
※要介護状態:負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のこと。
※対象家族:配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫。
しかし、法改正により、休業の取得によって
(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であり、
(2) 介護休業開始予定日から93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用
されることが見込まれる(93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)
上記2つを満たす一定の範囲の期間雇用者(いわゆる契約社員)も介護休業がとれるようになりました。
介護休業にかかる給付
介護休業を取得する雇用保険被保険者について、一定の要件を満たすことで「介護休業給付」が受け取れることがあります。
育児休業について 2015.06.17
■育児休業制度
労働者は、会社に申し出ることにより、子が1歳になるまでの間、育児休業をすることができます。育児休業は法律で権利を認められたものであるため、企業側は「ウチの会社には育児休業制度はない」ということができません。
育児休業の対象者
育児休業の対象者は、原則として1歳に満たない子を養育する男女の労働者です。日々雇用される方は対象になりません(男性も育児休業をとることができます)。今までは正規の社員が主な対象者でしたが、法改正により、休業の取得によって雇用の継続が見込まれる一定の範囲の期間雇用者も、育児休業がとれるようになりました。
※1.一定の範囲の期間雇用者とは、申出時点において、次の(1)、(2)すべてに該当する労働者です。
(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
(2) 子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)
育児休業は原則として子が1歳になるまでですが、次の事情がある場合は1歳6か月まで育児休業ができます。
(1) 保育所に入所を希望しているが、入所できない場合
(2) 子を養育する配偶者で、1歳以降も子を養育する予定であったものが、死亡、負傷、疾病等の事情により養育が困難となった場合。
育児休業中の給与
育児休業中は働いていないため、給与を支払う必要はありません。休業期間中については雇用保険から一定の要件のもと給付金が支給されます。
■申請時期など
○1歳までの育児休業については、休業開始予定日から希望通り休業するには、その1か月前までに申し出ます。その際、対象の子の氏名、生年月日、労働者との続柄、休業開始予定日及び休業終了予定日を明らかにします。
○ 1歳~1歳6か月までの育児休業については、休業開始予定日(1歳の誕生日)から希望通り休業するには、その2週間前までに申し出ます。
遅刻に対して時間相当分以上の賃金をカットしてもよいか? 2015.06.10
遅刻をした社員に対し、ペナルティとしてその分の賃金を給料からカットすることは多くの企業で行われていますが、実際どの程度までの給与カットなら法的に認められているのでしょうか。
1.ノーワーク・ノーペイの原則
賃金請求権については、民法に「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」という定めがあり、労務の提供がない(不就労の)場合には賃金請求権も発生しないこととしています。これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。
遅刻や早退だけでなく、「働かない時間」のパターンは多岐にわたるため、控除をする場合には、控除する賃金の範囲や時間、回数の単位などを就業規則等において詳細に定めておく必要があります。
いずれにせよ、まず「働かない時間について給与を支払わないこと」は問題ありません。
それ以上の給与カットをする上では、以下の法的制限があります。
2.労基法91条「制裁規定の制限」
「減給の制裁」とは、遅刻等の服務規律に違反したことへの制裁として、ペナルティとして本来支給すべき賃金の一部を控除することを指します。このペナルティについて、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。
つまり、働かない時間分の給与カットを超えてカットを行うのであれば、その部分については減給の制裁に該当し、制裁の制限に抵触しない範囲で就業規則等に規定化し、その規定に基づいて控除を行うことが必要となります。
なお、遅刻、早退が目立つ会社では、精皆勤手当等を設け、勤怠と給与との関連性を持たせたり、賞与の考課項目の一つとして勤怠評価を取り入れるなどの管理方法も有効かもしれません。
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