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2014年6月

人を募集する際に性別を限定しても良いか   2014.06.27

会社が人を募集する際、どのような人を雇い入れるかは会社の自由です。ただし、募集要項に「営業職は男性限定」などといった記載をすることは原則として認められていません。

これは、男女雇用機会均等法に「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と定められている為です。

 

具体的には、募集・採用にあたって身長・体重・体力要件をつけること、コース別雇用制の総合職の募集にあたって、転居を伴う転勤要件をつけることなどがこれにあたります。

 

ただし、下記のような合理的な理由がある場合は、募集する人を性別で限定しても認められます。

1、次のいずれかの職業に従事する社員を採用する場合

(ア)芸能・芸術の分野における表現の真実性などの要請から、男性または女性のいずれに従事させることが必要な職業

(イ)警備員など防犯上の要請から男性に従事させることが必要な職業

(ウ)その他の職業で、男性または女性のいずれかを従事させることについて、(ア)、(イ)の職業と同程度の必要性があると認められる職業

2、労働基準法上の規定により、女性の労働が制限または禁止されている場合

3、風俗、風習などの相違により、女性が能力を発揮しにくい海外での勤務が必要な場合

 

労働基準法上求められているのは、働く「機会を与える平等」であり、「結果として」雇用した社員が男性のみであっても、それが違法となるわけではありません。

こういう人を採用したいという考えが頭の中にあっても、採用の窓口は広くとり、どんな人物でも応募はできるようにしましょう。そうすることで、良い人材の採用へと繋がりやすくなることでしょう。

 

 

 

従業員を出向させるとき、本人の同意は必要か   2014.06.20

人事異動により関連会社等への出向をさせる場合、その出向命令の内容によっては対象従業員への説明や同意の取り付けを慎重に取り扱う必要があります。

 

原則として、出向には本人の同意が必要

従業員本人の同意がなければ、会社が強制的に出向させることはできません。

なぜなら、出向先は関連会社とは言えあくまで別の会社ですから、労働契約を結んだ元の会社でなく別の会社の指揮命令下で働いてもらうためには、従業員本人の同意を得る必要があるためです。

 

個人の同意が必要ない場合

ただし、必ずしも出向を命じる際に労働者本人の同意が必要でない場合があります。

それは、就業規則や労働協約等に「業務の都合により、従業員に出向を命じることがある」旨規定をしており、かつ「出向規程」などで出向の具体的条件を定めている場合です。これらが規定されていることで、出向に関し「包括的(ほうかつてき)な同意があった」と見なされ、個別の同意がなくても出向命令が可能となります。

過去にも「出向の諸条件が労働協約や就業規則で制度として明確にされている場合には、労働者その都度の個別の同意がなくても、使用者は労働者に出向を命じうる(松山地昭55.4.21)」という判例があります。

 

従業員を出向させる予定がある場合は、トラブル予防のため就業規則や諸規程の整備を進めましょう。

 

ただし、出向(とくに給与の減額、職種転換や転居を伴うもの)は従業員の生活環境を大きく変化させることになるため、規程整備をしたとしても、尚しっかりと説明をして同意をとる手順を踏む会社側の姿勢が肝心です。

 

 

経歴詐称が発覚した際、懲戒解雇はできるか。   2014.06.13

重要な経歴詐称は、懲戒解雇の対象

労務管理上の「重要な経歴詐称」とは、おもに「犯罪歴」と「最終学歴・保有資格の嘘」を言います。

この二つが重要な経歴詐称とされる理由は、それらが応募者などの採用の合否や、人員配置や処遇の決定に大きくかかわる要因であるためです。

たとえば、採用面接の段階では、個人の能力等についての判断材料が他にないことから、会社は応募者の最終学歴を知識・技能及び能力確認のための目安のひとつにせざるをえません。また、信頼第一の会社にとってみれば、犯罪歴がある人を採用すれば、会社の信頼が大きく揺らぐことにもなりかねません。

 

さらに、経歴詐称は入社後の給与処遇にも影響してきます。例えば最終学歴をもとに給与を決定する会社の場合、高卒の人が大卒と偽れば、大卒者に相当する給与を受け取ることができてしまいます。また、業務に必要な免許資格を持っていないのに、資格保有者として業務を行わせ、結果事故が発生してしまうと会社の社会的な責任の度合いも大きくなるでしょう。

このように、会社の労務管理上の判断を誤らせるような詐称は、経営に支障をきたすことになる恐れもあるため、過去の裁判例では「重要な経歴詐称は懲戒解雇の理由になる」としています。

 

具体的な企業秩序違反が生じない場合は注意

ただし、上記のような具体的な企業秩序違反が生じない詐称の場合(つまりその詐称がその実際に会社の秩序を大きく乱したとまでは言えない場合)、単に詐称の事実のみから懲戒解雇することは認められませんので注意してください。

 

採用し、入社させた従業員を解雇するには、手間も時間もかかります。それを未然に防ぐため、採用の段階での応募者とのコミュニケーション、どんな人物なのかの見極めが重要になってくるでしょう。

 

社員の意見を聴かずに作成した就業規則は有効か   2014.06.06

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、必ず就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。では、その就業規則を届け出する際に、社員の意見を聴く必要があるのでしょうか。

 

①労働者代表の意見を聴く必要あり

「労働者代表」とは、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその組合、ない場合には労働者の過半数を代表する者を指します。

就業規則を届け出する際には、「労働者代表」の意見を聴き、意見書を作成し添付する必要がある事が、労働基準法に明記されています。

「労働者代表」の同意を得る必要はないものの、意見を聴き、反対意見に関しては説明を行うことも大切です。

 

②意見は聴くだけでも良い

就業規則の作成、または変更する際は、あくまで労働者代表の「意見を聴くのみ」で足り、同意を求める必要はありません。反対意見があったとしても、就業規則の効力には影響はしないのです。また、労働者代表が意見聴取に協力せず、意見書を作成できないような場合には、その事実を客観的に証明すれば、意見書を提出する必要はありません。

 

就業規則は、会社で働く従業員にとってのルールであり、職場環境整備に役立てることができます。仮に、従業員側から反対意見が出てきたとしたら、無視をするのではなく、尊重し、意見に耳を傾ける姿勢を示せば、導入後もトラブルが起きる可能性は低いことでしょう。

 

懲戒とは何か   2014.06.05

親が悪さをした子供を叱るのと同じように、会社で「悪いこと」をした社員に対して叱ることを懲戒と言います。就業規則に違反するなど、労働者が労働契約上の義務を果たさない時、使用者側は労働者に対して罰を与える「懲戒」をすることができます。

 

ただし、懲戒はあくまでも社員に対する「教育的指導」であるとされています。ちょうど親が子供を教育目的で叱るように、会社の秩序を守らせ、社員の成長や更生を願ってする目的でなければなりません。その叱る行為が行き過ぎてしまうと、「体罰」や「虐待」のようになってしまうことがありますので注意が必要です。

 

懲戒の種類とは

懲戒には主に以下のような種類があります。

 

① けん責

口頭で叱り、始末書を提出させるなど

② 減給

給与を一定期間減らすなど。労働基準法上、減給幅には上限があります。

③ 降格

下の役職に格下げするなど。役職手当がなくなることにより結果的に減給を伴うことがあります。

④ 出勤停止

いわゆる自宅謹慎処分。

⑤ 諭旨退職

更生の見込みが低く、また社風に合わないなどの状況により、退職を勧告すること。

⑥ 懲戒解雇

最も重い処罰。懲らしめる意味で解雇すること。懲戒解雇の場合退職金の減額や不支給などを定めることが多い。よほどの悪事を働いた場合で、他の懲戒処分を重ねたにもかかわらず改善が見られない場合などに限られる。

 

懲戒処分で重要なのは、従業員の行為に見合った処分を段階的に行うことでしょう。あくまでも教育的指導の域を出ていないかを注意してください。

 

 

 

 

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