労務コラム

従業員を出向させるとき、本人の同意は必要か   2014.06.20

人事異動により関連会社等への出向をさせる場合、その出向命令の内容によっては対象従業員への説明や同意の取り付けを慎重に取り扱う必要があります。

 

原則として、出向には本人の同意が必要

従業員本人の同意がなければ、会社が強制的に出向させることはできません。

なぜなら、出向先は関連会社とは言えあくまで別の会社ですから、労働契約を結んだ元の会社でなく別の会社の指揮命令下で働いてもらうためには、従業員本人の同意を得る必要があるためです。

 

個人の同意が必要ない場合

ただし、必ずしも出向を命じる際に労働者本人の同意が必要でない場合があります。

それは、就業規則や労働協約等に「業務の都合により、従業員に出向を命じることがある」旨規定をしており、かつ「出向規程」などで出向の具体的条件を定めている場合です。これらが規定されていることで、出向に関し「包括的(ほうかつてき)な同意があった」と見なされ、個別の同意がなくても出向命令が可能となります。

過去にも「出向の諸条件が労働協約や就業規則で制度として明確にされている場合には、労働者その都度の個別の同意がなくても、使用者は労働者に出向を命じうる(松山地昭55.4.21)」という判例があります。

 

従業員を出向させる予定がある場合は、トラブル予防のため就業規則や諸規程の整備を進めましょう。

 

ただし、出向(とくに給与の減額、職種転換や転居を伴うもの)は従業員の生活環境を大きく変化させることになるため、規程整備をしたとしても、尚しっかりと説明をして同意をとる手順を踏む会社側の姿勢が肝心です。

 

 

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