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2012年9月

休日と休暇の違いについて   2012.09.28

休日と休暇、どちらも「働かない日」という点では共通していますが、法律上ど
のような違いがあるのでしょうか。



【休日の定義】

休日とは、就業規則等においてあらかじめ「労働義務がない日」と定められてい
る日のことを指します。つまり、非労働日です。非労働日ですので、所定労働時
間(〇時間働くという時間)が決められていません。

休日については

・週1日

・または4週に4日

という最低ラインが定められています。



【休暇の定義】

休暇とは、労働義務のある労働日について「労働義務の免除」を労働者側の申し
出(意思表示)等によって得た日を指します。この場合、休日と違い「所定労働
時間」があることが前提となります。

この休暇を労働者がとることができる法的根拠については、法律の定めによって
発生する法定休暇と、就業規則等の定めによって発生するその会社独自の会社休
暇の二種類があります。

①法定休暇(法律で与えないといけないとなっているもの)

・年次有給休暇(いわゆる有休)

・産前・産後休暇(いわゆる産休)

・生理休暇

・看護休暇(子どもの傷病等の世話)



②会社休暇(会社独自の休暇)

・慶弔休暇

・病気休暇

・特別休暇

・リフレッシュ休暇等



法定の休暇については、労働者の意思表示によって休暇が成立するという厳格さ
がありますので、原則として会社はその休暇取得を拒むことができません(有給
については「時季を変えてくれという権利≒時季変更権」がある)。

一方で会社休暇については、会社独自のルールによって与えても差し支えありま
せん。例えば、繁忙を理由にリフレッシュ休暇を承認しないことがあるという
ルールを定めてもいいということです。



休日と休暇、さらに休暇の中でも法定休暇と会社休暇について、会社は区別して
取り扱うことでトラブルを防ぎましょう。

以上、休日と休暇の違いについてでした。

休憩の自由利用の原則と例外について   2012.09.28

休憩時間とは、「労働しなくてもよい時間帯」を指しますが、実際には電話番や
その他の仕事をお願いせざるをえないことがあります。

休憩を自由に利用することの原則と例外について説明します。



【休憩の自由利用の原則とは】

休憩の自由利用の考え方は、労働基準法に「使用者は、休憩時間を自由に利用さ
せなければならない」と規定されていることに依ります。

自由利用の原則を法律上明確にしたのは、かつて戦時中の就業規則に、休憩時間
中、指揮者の定めるところに従い体操を行うべしと規定する者が多かったことな
どの事情があったそうです。

したがって、休憩時間中に職場体操を義務付けたり、来客の対応のために居残
り・待機を強制させることはこの自由利用の原則に違反することになります。



【自由利用はどこまで許すべきか】

ただ、自由利用とはいえ拘束時間の間にありますので、会社の秩序を乱すような
こと、職場の安全を脅かすようなことまでを許す必要はありません。

休憩は、本来次の労働再開に備えて休息を取る目的のものですから、そのあとの
労働が出来ないような飲酒等を規制することはむしろ当然のことでしょう。



【自由利用の例外】

一定の職種には、自由利用の例外があります。

・警察官、消防官、乳児院、養護施設その他施設に勤務し児童と起居を共にする
もの等



【昼休みに電話当番を命じてもよいか】

原則としては自由利用の原則に反するのでダメということになります。その時間
は労働時間となります。

ただし、その頻度が多くなく、ほとんど負荷のかからない電話番であれば、労使
で話し合ってお願いする、場合によっては少し手当を支給して納得してもらうな
ど、柔軟な対応をすることが得策でしょう。



以上休憩の自由利用の原則と例外についてでした。

問題社員の解雇について②   2012.09.19

問題社員の解雇、特に能力不足の社員を解雇する場合には、問題点の改善のため
の教育・研修をしているかどうかが重要になります。

また、問題社員の「問題」とは何かを客観的に証明できるかも重要です。

以下、問題社員の解雇事案の際に裁判所が重視する点について説明します。



(問題の程度)

1、勤務態度不良の程度

お客様からのクレーム事実が、「日付」「状況」「クレーム内容」など詳細に記
録されているでしょうか。

たとえばクレームがあった場合には、「クレーム報告書」などの所内書式に基づ
いて本人から報告をさせることでそのクレーム事実を証明しやすくなります。



2、問題発生の回数

何回も同様の種類のトラブルを繰り返していることは解雇しやすい方向の要素に
なります。

「何回も指導したのだけど改まらなかった」という状態であることです。



3、問題点、問題行動について会社の指導があったのか

解雇する前に十分な注意、指導、教育を行っているかが大事です。長期間複数回
にわたってきっちりとした注意指導をするほど解雇しやすい方向になります。

指導の事実は「指導書」などの書面化するほか、口頭や電話、メールなどでの指
導も「〇月〇日に〇〇という事案について△△という方法でこのように指導し、改
善の意思を確認した」などの記録しておくべきでしょう。



4、改善指導について、本人の態度はどうだったか

改善指導、いわゆるイエローカードに対して本人がどのようにリアクションした
かも重要です。



5、他の社員との公平性はあるか

同じような問題行動・ミスをした他の社員はどんな処分を受けていたかも重要で
す。そこに不公平がある場合は解雇しにくくなります。



以上のことから、「教育指導をしつつ、その指導事実を記録しておくこと」が、
解雇の有効性を考える上で重要になるでしょう。



以上、問題社員の解雇について②でした。

問題社員の解雇について①   2012.09.19

問題社員の解雇については、ご存知のようにかなり高いハードルがあると言えます。



日本では、終身雇用制度を前提とした労働理論が発展しており、社員を一人前に
育てて、その能力を高めるのは採用した会社の責任であるという考え方がベース
になっています。

つまり、問題社員(特にその能力不足による)の解雇については、「会社側がそ
の問題点を注意・指導する段階があるかないか」が重要になってきます。

以下、問題社員の解雇事案について裁判所で重視される要素を示します。



1、解雇する前に、配置転換や職種の変更などで様子をみたか?

他の上司のもとで異なる職務をさせると、能力を発揮しだすこともある。その
チャンスを与えているのかを見られます。環境か仕事内容を変えてみたか、とい
うことです。



2、会社側に落ち度はないのか?

問題社員の問題について、会社の制度や体制に落ち度がないかを見られます。会
社にも原因がある場合、一方的な解雇は不公平とされる可能性があります。

例えば、教育や研修が不十分である、上司の指示が明確でない、不適切であるなど。



3、即戦力として中途採用された者か、新卒か?

新卒であれば、とくに会社の教育責任の度合いは高いでしょう。単に期待された
能力がないことだけで解雇をすることは難しくなります。一方、即戦力として中
途採用された者について、その採用面接で「即戦力として求めている能力」を
はっきりとさせ、かつ、それが一定の常識的な条件下で出来ないときには解雇等
もあり得ると伝えている場合は、解雇の有効性が高くなるでしょう。



4、勤続年数はどのくらいか?

勤続年数が長ければ、基本的な能力には問題がないはずだという推定が働きま
す。つまり、「基本的な能力が足りないならばもっと早い段階で処分や再教育が
あったはず」という考えが出てきます。



これらを考えると、経営者は雇入れの段階から「教育コストはかかるもの」とい
う認識でいたほうがよさそうです。

以上、問題社員の解雇について①でした。

社会保険の被保険者について   2012.09.04

社会保険の被保険者とは、どのような働き方をする従業員を指すのでしょうか。
なお、社会保険とは【健康保険(介護保険)・厚生年金保険】のことです。

社会保険の被保険者となるには、以下の要件があります。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------
【原則】

適用事業所に使用される者は、適用除外の者を除き、法律上当然に被保険者となる
この場合、法人の理事・監事・取締役・代表社員・無限責任社員など、法人の代
表者または業務執行者であっても、法人から労働の対償として報酬を受けている
者は、その法人に使用される者として被保険者の資格を取得します。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
【適用除外】

以下の従業員は適用除外となります。

正社員と比べて、労働時間か労働日数が3/4未満の者
いわゆるパートさん・アルバイトさんが社会保険適用除外となるには、上記の条
件を満たす必要があります。
臨時に使用される者
・日雇いの者
・2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
季節的に使用される者
ただし継続して4ヶ月を超えて使用されるべき場合には、初めから被保険者とな
ります。
臨時的事業の事業所に使用される者
ただし、継続して6ヶ月を超えて使用されるべき場合には、初めから被保険者と
なります。
国民健康保険組合など、他の保険制度に該当している者
-----------------------------------------------------------------------------------------------------

社会保険の調査がある場合、主に「加入すべき人がきちんと被保険者になってい
るか」を確認されます。その際、上記の適用除外項目に該当していないにもかか
わらず加入していない場合、加入するよう指導されることになります。

多くは、以下のケースが問題になります。

勤務時間の長いパートアルバイトで社会保険に加入していない
正社員で「入社から〇ヶ月経ってから社会保険に入れる」というルールで
社内処理をしている
自社の条件を改めて確認してみましょう。

以上、社会保険の被保険者についてでした。

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