労務コラム

在宅勤務のみなし労働時間制度   2017.12.20

在宅勤務者は、プライベートな場所である家で仕事をするわけですから、労働時間を明確に区分する事が難しいでしょう。そんな時には「みなし労働時間制」による労務管理が適しているかもしれません。

 

労働基準法

法律では次のようにされています。

 

労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときには、所定労働時間労働したものとみなされます(労基法38条の2第1項)。ただし、その業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが通常必要になる場合には、その業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされることになります(同項但書)。

 

かつては営業や外回りの社員に対して適用されてきましたが、インターネット・スマートホンが普及した今では営業社員の労働時間を「算定し難い」場合ばかりでもなくなってきました。


みなし制の適用要件
①事業場の外、つまり会社でない場所で労働がなされることです。労働の一部が事業場外で行われ、残りが事業場内で行われる場合は、事業場外での労働についてのみ、みなし計算がなされます(昭63.3.14基発150号)。

 

②労働時間を算定しがたいことが第二の要件となります。労働時間を算定しがたいかどうかは、使用者の具体的な指揮監督や時間管理が及ぶか否かなどにより判断されます。行政解釈によれば、

 

a.業務を行うグループの中に時間管理者が含まれる場合

b.通信手段を用いて随時使用者の指示を受ける場合

c.訪問先や帰社時刻などにつき具体的な指示を受けてその指示どおりに業務を行い、その後事業場に戻る場合

 

会社の時間管理が及ばないとは言えないという事です。

在宅勤務については、前述のbに該当するか否かという点がポイントでしょう。在宅勤務のメリットは「子育てや家事などプライベートの用事と並行できる」ことですから、時間管理を厳格に行いすぎると在宅の良さを消してしまいます。労働量を計測して、ふさわしい労働時間を「みなし労働時間」として規定する事も一つの方法だと思います。

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