労務コラム

社会保険適用拡大について   2017.12.20

平成28年10月から、週に30時間以上働く方に加え、従業員501人以上の会社で週に20時間以上働く方などにも厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象が広がりました。

その内容について解説します。

1 社会保険の4分の3要件とは

社会保険の被保険者になる人は、原則として「通常の労働者」です。いわゆる正社員をイメージしてもらうと良いでしょう。

この通常の労働者と比べると短い時間や日数で働くパートが、それなりの時間働いている場合には社会保険被保険者にならなければなりません。その「それなりの時間」の基準が、「正社員と比べて4分の3以上の時間働くこと」と定められています。

 

労働日数または労働時間で比較します。

 

週40時間(正社員)× 4分の3 =30時間

月間22日(正社員)× 4分の3 =16.5日

 

このように「パートが社会保険に入る基準の労働時間(日数)が決められます。

 

2 大企業の社保適用拡大

平成28年10月から、まずは従業員規模が大きい企業から基準時間を「引き下げ」る事になりました。週20時間以上働くパートに対して社会保険加入が義務付けられてたという事です。

 

3 中小企業の選択適用

平成29年4月からは、さらに中小企業に対しても適用基準を引き下げました。ただし全企業に強制するのではなく、労使で合意があった時に週20時間の基準が適用されることとなりました。

 

4 加入するメリット

パートタイマーが社会保険に加入することのメリットとして次のようなものがあります。

 

①将来もらえる年金が増える

②医療保険(健康保険)の給付も充実する(第3号では受けれない給付もあります)

③障害がある状態になり、日常生活を送ることが困難になった場合なども、より多くの年金がもらえるようになる

④会社と労働者が半分ずつ保険料を支払うことになるため、労働者自身が国民年金保険料・国民健康保険料を払うより安くなることがある

 

会社側が労働者の年金や医療の給付を充実させ安心して就労できる環境を整えることは、雇用に伴う会社の責務であり、結果として労働者の健康保持や労働生産の増進につながりうると考えられます。さらに、短時間労働者への社会保険の適用が企業の魅力を向上させ、より長く働いてくれる人材も確保しやすくなるでしょう。

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