2013年6月
残業手当の基になる賃金とは 2013.06.20
賃金の中には○○手当と細かく金額を決めて支給される場合があります。様々な名称がある賃金の中で、残業手当の基となる賃金は何でしょうか。
残業手当の基となる賃金は、以下7つ以外の賃金と法律で定められています。
①家族手当
②通勤手当
③別所手当
④住居手当
⑤子女教育手当
⑥臨時に支払われる賃金(賞与等)
⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(3が月に1度の皆勤手当て等)
この7つが残業代の基とならない理由は、労働との直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支払われるという理由からです。
残業代とならない賃金は7つに限定されています。したがって、この7つ以外を残業代の基としないことは違法となります。
逆に、上記7つと同じ名称がついていたとしても、実態が異なっていれば残業代の基となります。例えば、「家族手当」や「通勤手当」という名称であっても、家族の人数や通勤距離に関係なく一律に支給される場合は、残業代の基です。
残業代を計算する場合は、上記7つの賃金を除いた合計を所定労働時間で除して1時間当たりの単価を出しましょう。
例えば、1ヶ月の所定労働時間を160時間としましょう。賃金は、基本手当20万、職務手当3万、地域手当1万、家族手当2万、住宅手当2万、通勤手当2万です。
この場合、すべて合計すると30万になります。しかし、家族手当2万、住宅手当2万、通勤手当2万は残業代の基となりません。よって、6万円は除きましょう。
したがって、残業代の労働時間単価を出す計算は、以下のようになります。
(30万‐6万)÷160時間=1500円
残業代の基になるのか、ならないのか、改めて見直してみましょう。
「検索文化」が労使トラブルを助長しているのか 2013.06.11
最近の労務に関するトラブル増加の要因は何でしょうか。
要因として、スマートフォンなどインターネット検索を容易にする機器の普及により「労働法知識に関する情報が簡単に手に入るようになったこと」や、「個人の権利意識が強くなったこと」が挙げられるのではないでしょうか。
インターネット検索の容易さ:
今日では、インターネット(PCやスマートフォンなどの普及)を通じて、労働法に関する知識や、会社に権利主張するための方法などの情報が容易に入手できるようになりました。「未払い残業代 請求」「不当解雇」などの検索ワードでインターネット検索をすれば、それこそ数えきれないほどの情報が出てきます。
そしてインターネット経由で気軽に習得された(しかもそれはしばしば権利意識を強調した)情報により、少なからず権威意識の高まりは助長されるようになったのではないでしょうか。
法律違反は是正されるべきですが、労働法の条文の中には業種・企業規模の現状に合わない箇所もあるでしょう。「現在の労働事情と乖離した部分」についても杓子定規に行使できる権利を主張し始めたことで、昨今の労務トラブルは増加したと考えられます。
さらに、日本の終身雇用に対する公信力が弱まり、会社への忠誠心が減退したのも要因の一つだと考えられます。
いずれにせよ世の中や社員の意識は大きく変化しています。社員は「自分の身は自分で守らなければならない」という立場になっています。忠誠心も減退していることから、滅私奉公的な勤務意識や、「上から目線」の考えを許容する社員は少なくなっているのではないでしょうか。
しかしインターネット普及に逆行することはできません。
これからは、「個人の権利・自己防衛」でなく「会社全体の共通目的」をいかに共有していくかを会社は考えなければならないと思います。
裁判員となった時の取り扱い 2013.06.10
平成21年5月から、裁判員制度が始まりました。
裁判員に選ばれた場合、裁判所から「呼び出し状」が送付されます。呼び出し状が届いた場合、辞退が認められなければ、指定された期日に裁判所に行かなければなりません。理由もなく欠席した場合は、10万円以下の過料に処せられる場合があります。
つまり、出社日と呼び出し期日が重なれば、会社を休まなくてはなりません。そして、会社はこれを拒否できません。なぜなら、裁判員に選ばれて裁判所に行く時間というのは、選挙の投票と同じ、労働基準法7条の「公民権行使の時間」にあたるからです。
公民権行使の時間を、有給とするか、無給とするかは会社の就業規則等で定める方法によります。労働基準法では、公民権行使の時間に対する賃金の取り扱いは特に定められていません。統計によると、現状では裁判員として参加した場合「有給扱いとする」会社が8割を占めます。また、特別休暇制を導入している会社は6割です。
裁判員として公務に当たった日については日当が支給されますが、それに加えて有給で処理する予定のケースが多いようです。
社員のだれもが裁判員になる可能性があります。そのためにも、社員が気兼ねなく裁判所に行けるよう、裁判員に選ばれた場合の休暇等取り扱いを明確にした方が良いでしょう。そのために、裁判員等の休暇規定を作成してみてはいかがでしょうか。
休暇に関する規定を作成する場合、1日単位の付与でなくても、裁判員として要した時間分だけ休暇を与えても問題ありません。
同時に、慣れない裁判員の仕事について精神的に負担があるかもしれません。裁判員休暇明けの勤務には一定の配慮をできると尚いいのではないでしょうか。
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