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2015年8月

最低賃金制度について   2015.08.31

 最低賃金制度とは、国が賃金の最低限度を決め、会社はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。つまり、会社が労働者に支払わなければならない、賃金額の最低限値を定めているのです。

 

最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

 

・地域別最低賃金→産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその会社に対して適用される最低賃金です。

 

・特定(産業別)最低賃金→「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されています。

 

○最低賃金額より低い賃金で契約した場合

最低賃金額より低い賃金を労働者と会社の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額で契約したものとみなします。

 

○会社が最低賃金を支払っていない場合

会社が労働者に最低賃金額を下回る額の賃金しか支払っていない場合には、会社は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。差額を支払わない場合、50万円以下の罰金に処される恐れがあります。

 

○最低賃金計算時に除外する項目

①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

 ②1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

 ③会社で決められた労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃

金など)

 ④会社で決められた労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

 ⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時

間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)

 ⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

36協定について   2015.08.31

1週40時間、又は、1日8時間(これらを「法定労働時間」と言います)を超えて勤務させることは、法律により禁止されています。従いまして、法定労働時間を超えて勤務させると、労働基準法違反として6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることになっています。

 

法定労働時間を超えて勤務させる場合は、書面による協定、いわゆる36協定(サブロク協定)というものが必要で、これを作成して、労働基準監督署に届け出ないといけません。

36協定を労働基準監督署に届け出ることによって、この罰則が免除されます。

 つまり、本来は労働基準法違反だけど、この協定を届け出れば、労働基準法違違反でなくなるということです。このことについて、労働基準法第36条に規定されていることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。

 

○36協定の限度時間

36協定では、法定労働時間を超えて勤務させることができる時間を決めるのですが、その上限の時間が次のように定められています。

 

1週間→15時間

2週間→27時間

4週間→40時間

1ヶ月→45時間

2ヶ月→81時間

3ヶ月→120時間

1年→360時間

 

なお、これらの限度時間は、法定労働時間を超えて勤務させることができる時間のことで、会社で定めた労働時間を超えて勤務させる時間ではありません。

 

この規定は働き過ぎの防止、健康確保を目的としたものですので、どこの会社でも共通する「法定労働時間」を基準として決められています。

 

○36協定で決めた時間を超えて勤務させてしまった場合

36協定で協定した時間を超えて勤務させると違法になります。また、超えた時間に対する残業手当はきちんと支払わないといけません。もし、超えた時間に対する残業手当を支払わないと、二重で労働基準法違反になってしまいます。

会社は社員に健康診断を受けさせなければならないか   2015.08.20

 職場における健康診断は、有害物質などによる健康被害を早期に発見することや社員の総合的な健康状況を把握するために行うものです。この健康診断は労働安全衛生法上実施しなければなりません。

 

代表的な健康診断は主に2つあります。

 

  1. 雇入時の健康診断

会社は、常時使用する社員を雇ったときは、その社員に対して、医師による健康診断を受けさせなければなりません。

 

  1. 定期的な健康診断

会社は、常時使用する社員(満15歳以下の社員を除く。)に対して、1年以内ごとに1回、医師による健康診断を受けさせなければなりません。

 

 

○健康診断を受ける義務はあるか

社員(一部のパート社員等を除く)は、会社が行なう健康診断を受けなければなりません。ただし、会社が指定した医療機関での健康診断を希望しない場合、その他の医療機関で健康診断を受け、診断を受けるべき項目をきちんとやり、その結果を証明する書面を会社に提出することができれば問題ありません。

 

 

○健康診断結果の通知と記録について

会社は、遅滞なく診断結果を社員に通知し、健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければなりません。

 

 

○健康診断実施後に会社がやるべきこと

 会社は、健康診断の結果についての医師の意見を聴き、その必要があるときは、その社員の実情を考慮して、就業場所・業務の変更や、労働時間の短縮を行わねばなりません。また、特に必要な場合は医師や保健師による指導を社員に受けさせねばなりません。

 

 

○健康診断結果報告義務

定期的な健康診断を実施した際、常時50人以上の社員を使用する会社は、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を管轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。

 

健康診断を受けさせないからといって、直ちに罰則を受けるわけではありません。しかし、会社にとって特に欠けては困る社員が、診断が遅れたことで病気にかかり、長期の離脱を余儀なくされる可能性もゼロではありません。働きやすい職場環境を整える意味でも健康診断は実施する方がよいでしょう。

月間60時間以上の時間外労働の割増賃金率について   2015.08.11

長時間労働を少なくし、労働者の健康確保や、ライフワークバランスをとることを目的とする法律が平成22年にできました。これにより以下の通り改正されました。

 

残業代について、割増率が一部で25%上昇した

1日のうちで8時間を超えた分の労働時間は残業代として、時間給の25%を割増して給与を支払わなければなりません。しかし法改正により、現在では1か月に60時間を超えた時間外労働を行う場合は、それを超えた時間数分は50%以上を割増して支給せねばならなくなっています。ただし、中小企業については、当分の間、割増賃金率の引上げをしなくてもよくなっています。

 

この猶予の対象となる中小企業は以下の通りです。

①    資本金または出資の総額が

小売業→5,000万円以下

サービス業→5,000万円以下

卸売業→1億円以下

それ以外の業種→3億円以下

 

もしくは

 

②    常時雇っている労働者数が

小売業→50人以下

サービス業→100人以下

卸売業→100人以下

それ以外の業種→300人以下

 

とされています。

 

 

割増賃金を支払う代わりに有給休暇を与えることができる

労使協定で定めることにより、1か月間に残業時間が60時間を超えた労働者に対して、引上げ分(50%-25%分)の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができます。

 

例えば、月の残業時間が76時間の人だと、

76時間-60時間=16時間が50%の割増賃金の対象になります。

この16時間を有給の休暇に換算すると16時間×0.25=4時間となり、この労働者に対して4時間分の有給休暇を与えることができるというわけです。

 

また、労働者がこの有給の休暇を取得した場合でも、残りの25%の割増賃金の支払いが必要になってきますので注意が必要です。

 

無断欠勤している社員を解雇することはできますか?   2015.08.10

無断欠勤を続けており連絡も取れない社員について、会社としてはすぐにその人を解雇したいところではありますが、それは可能なのでしょうか。

 

解雇とは、法律では「合理性のない解雇は、権利の濫用になるので無効になる」とされ、就業規則に解雇に該当する例を定めている場合でも、すぐに解雇が認められるわけではありません。また会社が社員を解雇する場合、少なくとも30日以上前に解雇の予告をするか30日分以上の平均賃金である解雇予告手当を支払う必要があります。

 

では、無断欠勤が「解雇するのに合理性があるか」というと、「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」は、解雇予告除外認定を受ける基準の一つとされています。この「解雇予告除外認定」とは、「労働者側が悪いから、解雇予告をしなくてもよい」という認定のことです。つまり、2週間以上の無断欠勤は解雇にそれなりの合理性があるとみられます。

 

しかし、2週間以上無断欠勤が続いているからといって、いきなり解雇をすると、手続きとして不当であると相手に主張される可能性もあります。揉め事を避けるため、「一定期日までに連絡が取れない場合には、就業規則の定めに基づいて解雇手続きを行う」という旨の通知をした上で、解雇の手続きを進めるべきでしょう。電話などで連絡がとれない場合には内容証明郵便等で上記内容を送付しておくとよいでしょう。

 

入社時に実家など他の連絡先が分かる場合、そちらにも連絡を試みて、あとから「解雇の連絡を受け取っていない」など主張されないように用意してください。

 

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