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2014年11月

パート、アルバイトの社会保険   2014.11.23

パートやアルバイトであっても、必ずしも社会保険(健康保険・厚生年金)の対象外ではありません。労働の実態によっては、社会保険に加入させなければなりません。

 

加入基準:

具体的には、以下の2つの基準を満たす場合は、社会保険への加入義務があります。

  1. 1日または1週の所定労働時間が、同じ仕事をする正社員の所定労働時間の4分の3以上であること
  2. 1ヶ月の所定労働日数が、同じ仕事をする正社員の所定労働日数の4分の3以上であること

 

例えば、正社員が「週40時間、1ヶ月20日」働く職場の場合、パート・アルバイトが「週30時間以上かつ1ヶ月15日」以上働く場合は、社会保険に加入させなければなりません。

 

逆に言うと、この基準未満であれば社会保険加入は原則として必要ないため、社会保険に加入したくない場合は、労働時間や日数を基準未満に抑えるという方法がありました。

 

 

社会保険適用の拡大:

ところが法改正により、平成28年10月より、従業員501人以上の企業におけるパート・アルバイトの社会保険への加入対象範囲が広がり、以下に該当する場合は、社会保険へ加入させなければならなくなる予定です。

 

・週20時間以上の勤務

・月額賃金8.8万円(年収106万円)以上

・勤務期間1年以上

 

従業員300人以下の中小零細企業への適用は当面予定されていませんが、年金事情などを考えると適用がさらに拡大される可能性はあります。

法改正情報に注意しつつ、法令に合わせた適切な社会保険手続きをしましょう。

 

定期健康診断について   2014.11.22

労働安全衛生法には、会社は定期健康診断を従業員に受けさせなければならない旨が定められており、労働者にも受診義務があります。

 

対象労働者:

「常時使用する労働者」が定期健康診断を受けさせる対象となります。なお、短時間労働者(パート勤務者等)に関しては、以下の2つの要件のいずれかを満たす場合に「常時使用する労働者」に該当します。

 

1、雇用期間の定めのない短時間労働者。なお、雇用期間の定めのある場合、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。

2、1週間の労働時間数が、事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

 

頻度:

定期健康診断を行う時期は、原則として1年に1回以上(交代制で深夜業務を行う人は6ヶ月に1回以上)、そして入社時です。ただし、労働者が、入社3ヶ月前に健康診断を受けた結果を証明する書面を提出した場合は、その健診項目に相当する項目は省略する事ができます。

 

定期健康診断を怠ることによるリスク:

健康診断を受けずに元々の病気が悪化して死亡等に至った場合、遺族や家族に会社の責任を問われる可能性があり、損害賠償を請求されることも考えられます。また、労働安全衛生法に違反している為、労働基準監督署からの是正勧告の実施や、労働者の会社に対する信頼低下にもつながる恐れがあります。

 

健康診断を受けさせない事は、法律に違反するだけでなく、余計なリスクも抱えてしまいます。そうならないためにも、対象者には健康診断を受けさせる事を忘れないようにしてください。

 

 

退職後の社会保険と雇用保険の手続きについて   2014.11.13

退職後すぐに再就職先が決まっていない場合、会社で加入していた社会保険(健康保険と厚生年金保険)、雇用保険で必要な手続きは以下の通りです。

 

健康保険について:

①国民健康保険に加入する

②加入していた健康保険の任意継続被保険者となる。(一定の要件を満たせば、退職後も継続して健康保険に加入する事ができます。)

③家族又は親族の健康保険の被扶養者になる

 

厚生年金保険について:

①国民年金の第1号被保険者となる

②国民年金の第3号被保険者となる(扶養してくれる配偶者が、厚生年金や共済年金に加入している場合に、なることができます。)

 

また、退職後に国民年金の保険料を支払うのが困難な場合は、一定の要件を満たせば、支払いを免除してくれる制度を利用する事ができます。

 

雇用保険について:

①離職票を持って求職の申し込みをする

 

退職後に次の仕事を探す場合、失業期間中の生活保障として雇用保険から「基本手当」(いわゆる失業保険)を受給することができます。その為には、ハローワークに離職票を持って行き求職の申し込みをする必要があります。

ただし、基本手当を受給する為には一定の要件を満たさなければなりませんのでご注意ください。

 

従業員が退職した場合、その後の手続きについて、どんな事をやっておかなければならないのか、自分で調べるのは大変です。退職後の労使トラブルに繋げないためにも、会社側で必要な手続きを案内してあげられることが望ましいでしょう。

 

定年後に再雇用・再就職する際の雇用保険給付   2014.11.11

会社が、定年を迎えた従業員を再雇用する際や、定年で退職した人の再就職を受け入れる際、定年前より賃金額を下げて雇用契約を結ぶ場合があります。そのような時、雇用保険制度から、下がった賃金額に応じた給付を受けられることがあります。これを「高年齢雇用継続給付」と言います。

 

基本的な要件:

1、雇用保険の被保険者期間が5年以上あること(つまり雇用保険を最低でも5年はかけていること)。

2、60歳以上65歳未満で、なおかつ雇用保険の一般被保険者であること

3、60歳以後の賃金が60歳時点の賃金の75%未満であること

4、育児休業給付金や介護休業給付の支給対象となっていないこと。

 

給付の種類:

高年齢雇用継続給付には、①高年齢雇用継続基本給付金と②高年齢再就職給付金の2種類あります。

 

①  高年齢雇用継続基本給付金

60歳到達後も引き続き嘱託や再雇用などで継続して雇用され、かつ賃金が以前より低下している場合に支給されます。

②  高年齢再就職給付金

いったん定年などにより退職し、基本手当(いわゆる失業保険)をもらっている最中に再就職し、かつ賃金が60歳以前より低下している場合に支給されます。

 

給付額:

給付額は①②とも、定年後に支給された賃金額が60歳時点の賃金と比較して61%未満まで下がった場合、その賃金額の15%が上限となり、賃金額の減り具合に応じて給付額も変動します。

 

定年後の従業員を再雇用する場合、仕事の能力等を考慮すると、賃金が下がるのはやむをえないでしょう。そのような際に、賃金を下げすぎる事で従業員との対立が起きないよう、もらえる給付を有効活用してください。

 

就業規則を変更することで給与を下げることができるか   2014.11.02

不利益変更の禁止

就業規則の変更は時代や会社の状況に合わせて適宜行うべきですが、その変更が給与の引き下げである場合は、簡単ではありません。労働契約法では次のように定められています。

 

第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。

 

ベースとなる基本給を減額したり、手当を廃止したりすることはこの「不利益な変更」にあたりますので、労働者との合意を原則として必要とします。

 

変更の手順

1、説明会の開催

給与を下げたい場合、まず社員全員を集めて給与減額について経緯や必要性を説明してください。次に「個別に面談」して同意文書にサインをしてもらいましょう。

この時、労働者代表にだけサインしてもらえば全員の同意が得られたという誤解が多いところですが、誤りです。労働者代表は労働基準法の手続き上選出されているにすぎないため、個別の社員との同意とは別モノです。

 

2、同意が得られない場合

同意が得られそうにない場合、無理に同意文書を書かせる必要はありません。高圧的に同意を迫ると、あとで会社側に不利な証拠となります。同意が得られない場合は、給与の引き下げが合理的であるという理由を集めましょう。

例えばこ裁判などで争うことになったとき、

・労働者が受ける不利益の程度

・労働条件の変更の必要性

・変更後の就業規則の内容の相当性

・労働組合等との交渉の状況

などを総合的に判断して合理的な給与引き下げであれば、変更は有効となります。

 

いずれにせよ給与を下げることは高いハードルであることを心得て、きちんとその理由を社員に説明し、粘り強く同意を得るようにしてください。

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