2016年4月
労働時間の適正な把握のために会社がすべきこと 2016.04.05
労働時間の適正な把握のために会社がすべきこと
会社には労働者の労働時間をきちんと「管理し、把握する」必要があります。そのために何をすべきかについて、厚生労働省が基準を出しています。
その 1:始業・終業時刻の確認・記録
使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
労働時間の適正な把握を行うためには、単に 1 日何時間働いたかを把握するのではなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を使用者が確認・記録し、これを基に何時間働いたかを把握・確定する必要があるとしています。
つまり、「いつ出勤して、いつ勤務終了したか」についても記録をさせて、把握しなければならないということです。
その 2:始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によることを例示しています。
(ア) 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
(イ) タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
(ア)について
「自ら現認する」とは、使用者自ら、あるいは労働時間管理を行う者が、直接始業時刻や終業時刻を確認することです。なお、確認した始業時刻や終業時刻については、該当労働者からも確認することが望ましいものです。極端に言えば、毎朝社長のもとへ始業報告に来させるなどの確認方法を指すのでしょう。
(イ)について
タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基本情報とし、必要に応じて、例えば使用者の残業命令書及びこれに対する報告書など、使用者が労働者の労働時間を算出するために有している記録とを突き合わせることにより確認し、記録して下さい。
なお、タイムカード、ICカード等には、IDカード、パソコン入力等が含まれます。
つまり、厚労省の基準によると、基本的にはタイムカードなどの1分単位で打刻される類の管理方法を推奨しているということです。単に出勤印を押すだけの出勤表では始業就業時刻や残業時間が分からないからダメ、ということになります。
上司からの指示に従わない社員に対する対処の仕方 2016.04.05
上司からの業務指示に従わない社員がいた場合、会社はどのように対応すればよいでしょうか。
この問題については、以下の3つのポイントに注意しましょう。
1、業務指示の妥当性を確認する
まずはその業務指示の内容および方法が、社会の一般常識から考えて妥当なものであるかを確認しましょう。大声をあげたり暴力を伴ったりすると業務指示というよりパワハラとみなされてしまう可能性が高くなりますし、指示の「発信者」と「受け手」が噛み合っていない場合(割り当てられていない仕事に対する指示や、本来の命令系統と違うボスからの指示の場合など)も妥当性が問題になってくるでしょう。
2、業務指示をした記録、および業務指示を聞くように指導したという記録を残す
業務指示が妥当なものであると会社が判断した場合、その指示を「いつ、だれが、誰に対して、なんのために」行ったかをメモや日報などに記録しておきましょう。同時に、業務の指示に従わない社員からも「始末書」を書かせる等の方法で「業務指示をまもらないことについて指導をしたという実績」を記録しておきましょう。
3、段階的にペナルティを与えていくか、異動を検討する
最初は始末書などの軽いペナルティーですが、何度も業務指示を守らない場合はペナルティの度合いを強めていくことも検討しましょう。もしくは、そもそも合わない上司と部下を引き話すために異動を考えてもよいかもしれません。
指示に従わないからと言ってすぐに解雇をしたり左遷したりするのは乱暴で、後々のトラブルにつながりますから、上記のポイントを参考にしながら慎重に進めてください。
会社の都合で休ませた場合の休業手当について 2016.04.05
労働者本人の体調不良や家庭の事情で会社を休む場合、多くは「ノーワークノーペイ:働いていない部分の給与支払いはなくてよい」という原則の通り無給として処理しますが、その休みの原因が会社にある場合は、少し違う対応をする必要があります。
会社の都合による休みとは、例えば以下のようなケースがあります。
1、不景気だから工場の稼働を一時的に停める場合
2、社内の不正について調査するとき、証拠隠滅防止のため関係者に自宅待機を命じる場合
3、採用内定者について、業績の悪化のため予定通りの日付から勤務開始させられず、自宅待機をさせる場合
このような場合は、労働基準法の定めによる「休業手当」を支給しなければなりません。
休業手当の計算式は以下の通りです。
平均賃金 × 60% 以上
平均賃金は、原則として事由発生日前3カ月の給与総額を暦日数で割って計算しますが、その額の6割以上を「働いていなくても」負担しなければならないということです。
ちなみに、「伝染病にかかった社員に自宅待機させる場合」、「台風などで交通機関がストップした場合」「大きな災害があった場合」など、会社側の都合かとうかの判断に迷う場面については、有給の取得を奨励するか、社労士などの専門家に意見を求めるとよいでしょう。
労災保険はアルバイトでも加入するか 2016.04.05
労災保険は人を雇う全ての会社(個人事業含む)が加入しなければならないものです。
「保険」と言う言葉から、民間の生命保険や損害保険をイメージしますが、労災保険は「事業所単位」で加入するものであり、民間保険のように「被保険者」という考え方がありません。つまり、労働者の名前などを登録する必要はありません。その意味で、タイトルの「加入する」という表現は正確ではありません。
労災保険の対象者
労災保険は、会社で雇う全ての労働者がその補償対象となります。
例えるなら、会社全体で「労災という大きな『傘』」をさして、その傘の下にいる人は働き方に関わらず全て労災の庇護を受けます。
もちろんパートタイマーやアルバイトなどの非正規雇用者であっても労災の適用を受けますので、アルバイトが仕事中や通勤中の事故によりケガ等をした場合、労災から給付を受けることができるわけです。
労災保険料はだれが払うか
労災保険料はすべて会社が負担しなければなりません。労災保険料の原則的な計算式は
「その会社にいる全ての労働者の1年度の賃金総額×労災保険料率」
です。労災保険料率は、仕事の危険度や労災の発生率などをもとに業種ごとに定められており、また数年に一度改定が行われます。デスクワークが中心の業種は労災保険料率は0.3%程度と安く、建設業や林業などは事故が起こりやすいため高く設定してあります。
労災事故が起こったら隠さずに速やかに労働基準監督署への報告や給付の手続きを進めてください。
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