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2011年9月

エンドユーザーが社員のやる気を上げる理由 ~リーダーの言葉で社員が動かないときに~   2011.09.13


「社員の数字意識が低い」

「どれだけ叱咤激励してもモチベーションが上がらない」

「仕事にやりがいを感じていないようだ」

 これらの、ある意味で組織のリーダーが抱える普遍的な悩みを解決する方法とは何でしょうか。

この記事では、「どれだけ言葉を尽くしても社員がやる気になってくれないリーダーの歯痒さ」を解決するために『エンドユーザーの力を借りる方法』を、事例を紹介しながら述べていきます。

 

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【社員のモチベーションアップに成功した事例】

・W銀行(米)のマネージャーは、行員たちに「低金利ローンによってどれだけ深刻な借金から救われたかを語る人々を映したビデオを見せる」ことで、融資業績を向上させた。


・某大学の奨学金事業における寄付の勧誘をする電話事業部において、電話営業担当者と奨学生を会わせ、奨学金がどのように自分に役に立っているかを語ってもらった。一か月後、電話営業担当者の電話をかける時間が142%増え、獲得した寄付金も171%増えた。


・レストランを営むA社(米)において、顧客が大切な出来事を祝うために同社を選んだ理由について書かれた手紙をリーダーがスタッフに見せることで、その接客態度が向上した。


・リッツカールトンにおいては、自分たちのサービスが顧客の人生に影響を与えたエピソードを「WOW!(ワオ!)ストーリー」として社員間で共有することで、サービスレベルの維持向上を図っている。

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これらの事例に共通していることは、

リーダーがエンドユーザー(自社の商品やサービスの最終的な受益者)とスタッフを引き合わせる手段を講じていることです。

これらは、場合によっては昇給昇進などのインセンティブ以上に、社員のモチベーションを上げることがあるようです。

古典的な「現場・顧客に学べ」という理論に通じる施策とも言えます。

そもそも顧客の反応を収集する作業は、元より商品開発や業務改善にも通じる経営上の重要課題であることは異論のないところであると思います。

 

上記のような成果が見込め、同時に経営上も合理性がある以上、これを単に「心理的洗脳」と見て毛嫌いせず、実際に試してみることは無意味ではなさそうです。

つまり、

① 自社の製品・サービスが誰にどんなふうに影響を与えているかの情報を収集・調査し、

② その事実を(場合によっては適切な演出をしたうえで)部下に伝えてあげることで

③ 業績あるいは社員のモチベーションにどのような変化があったかを測る

という作業が、ひょっとしたらリーダーが抱えがちな冒頭の悩みを解決できるかもしれません。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。


参考文献:ハーバード・ビジネス・レビュー2011年10月号

責任の組織化~ドラッカー読む会レポート~   2011.09.06

こんにちは。カウンター&パートナーの柳原です。

9月上旬です。台風や大雨もあり、あわただしく過ぎつつある毎日です。

異常気象をすなわち地球の異変と結びつけるというのも短絡的に思いますが、実際のところはよくわかりませんね。

東京は結局台風の影響もそう多くはなかったですが、みなさんの地域はいかがてしたか。

 

さて、恒例となっている「ドラッカーを読む会for美容室」のレポートです。

今回は新しくご参加いただいた方もお迎えして、6人で話し合いました。ご参加いただいた皆様、いつもありがとうございます。

 

今回のテーマは「仕事への責任」について。

「責任感を持って仕事をしてくれない」「数字に対する責任意識が低く、会社の業績に協力的でない」「給料や有休などの権利ばかり主張して、責任を果たそうとしない」

社長さん、店長さん、マネージャーさんからよくお聞きする、ある意味で古典的な悩みです。

日々ぎりぎりに体をすり減らして業務に臨む経営者からすれば、部下の責任意識の低さはやたらと目につく。その温度差に着目した議論が盛り上がりました。

 

問い:数字意識の低く、協力的でないスタッフ。その原因が自分にあるとしたら、何だと思いますか?

 

このような問いに対しては、

「売上などの数字を公開していないから」「根拠のある目標数字をスタッフに落とし込んでいないから」「感情的に経営サイドと対立しているから」

そんなご意見を頂きました。なるほど。

この回答からは新たな問いを生むことができますね。

 

では、数字意識を高めるために公開すべき数字は何か?また公開すべきでない数字は何か?

では、最も根拠のある目標数字とは何か?

では、感情的な対立は何を原因としているか?報酬なのか、労働環境なのかそれとも他の何かなのか。


ドラッカーの本では、とかくこのように「問いの発展」の論法が用いられていて、それが読んでいてわくわくする要因である、僕はそう感じています。

「これらの問いのどこかに、責任感を持たせるためのヒントが隠されてはいないか」、そのように考えながら、問い自体を深めていくこと、それがマネジメントに求められていることなのだと思っています。

 

私の中では、参加者のお一人が仰った次の意見に合点がいきました。

 

「ウチの店では全体の売上数字目標ないしは実績を公開し共有することに重きを置いています。スタッフには楽しく働いてほしいが、彼らの多くは自分個人に課せられている数字の根拠がわからない。個人の指名売上に固執させるよりも、店全体の売上に重点を置かせるようにするほうが協力意識を育てるには有効です。』

 

別の経営者から聞いたお話ですが、震災の影響で売り上げが激減したときに、次のように話したそうです。

「ボクたちみんなで作った貯金が今これだけある。今の状況だと〇ヶ月でその貯金がなくなってしまう。でも給与は下げない。だからみんなで解決策を練ろう」

この言葉かけの結果、売り上げはV字回復し、スタッフの数字意識とその数字に対する責任感も高まったと言います。

美容室のサービスの最高点が「全体接客の達成」にあるとすれば、上記2つのご意見はそれと矛盾しないものですね。勉強になります。

いや、勉強になるのは実際に自分たちで決めて「数字を公開する」という行動を起こしてからですね。話を聞いただけ、文章を読んだだけでは、世界はちっとも動いていませんから。

 

 

問い2:スタッフが給与に対して不満を言ってきました。あなたはどのように対応しますか?

 

次の問いはこれです。こちらも盛り上がりました。

「平均以下の売り上げのスタッフなら、数字的根拠を持って諭す」「ただしトップスタイリストなら給与アップも検討する」

このようなご意見で概ね統一されていました。

これも「問いの発展」論理に従って展開してみるとどうでしょうか?

 

では、その平均以下の売上のスタッフが、半年前はバリバリ売上を上げていた人ならどうしますか?

では、その平均以下の売上のスタッフが、個人的な家庭の悩みを抱えていると知っている場合はどうしますか?

では、そのトップスタイリストが、独善的で上司を軽視したり、職場の和を乱しがちな人ならどうしますか?

 

このように設定を少し変えて発展させると、自らの意見が論理的に正しくはないかもしれない、そう思わされませんか?

 

「責任感のないスタッフ」は、自分の立ち位置と仕事がわかっていないだけかもしれない。それを悪としてしまった自分は間違いではなかったか。自分自身の過去の経験を振り返ってみると恥ずかしい思いがします。

ドラッカーが繰り返し言う「責任の組織化」、組織として戦うことを決めた美容室オーナーならば、きっと真面目に取り組むべき課題だと思います。

 

以上レポートでした。最後までお読み頂きありがとうございます。

 

 

 

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