2017年2月
過労死と会社の責任について 2017.02.13
過労死に限ったことではありませんが、労働者の健康に対する注意を怠った場合、損害賠償の支払い義務が生じることがあります。なぜなら、会社は労働者の生命や体を危険から保護するよう配慮する義務を負っているためです。
過労死とは
過重労働などが原因で脳梗塞や、心筋梗塞などを起こして死亡に至ることを言います。過労死の認定基準は平成7年に設けられ、平成13年に改正がなされています。
具体的な認定基準は、以下の通りです。
(1)発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的および場所的に明確にしうる異常な出来事に遭遇したこと
(2)発症前おおむね1週間で特に過重な業務に就労したこと
(3)発症前おおむね6ヵ月にわたり著しい疲労蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと
また、(3)については
・発症前1ヵ月ないし6ヵ月にわたり概ね45時間を超える時間外労働がある場合は業務と発症との関連性が強まる
・発症前1ヵ月間に概ね100時間を超える時間外労働が認められる場合、発症前2ヵ月ないし6ヵ月間にわたり1ヵ月あたり概ね80時間を超える時間外労働が認められる場合は業務と発症との関連性が強い
等の目安が示されています。
会社の責任
社員の死亡が過労死とされ業務上災害と認められた場合、会社が「過労死の防止措置」をとっていたかが問題となります。 会社は、法で定められた健康診断を行わなければなりません。異常が発見された場合は再検査を行わせたり、業務量を減らしたりなど、社員の健康状態に注意を払う必要があります。
もし、健康診断を適法に受診させていない場合や異常発見の場合に何の措置も講じていなければ、遺族から損害賠償を請求された場合、拒むことが難しくなります。
健康上の異常が発見されない場合でも、長時間労働が慢性化している場合は注意が必要です。業務の省力化など、できる限りの対策を講じましょう。
年次有給休暇の比例付与について 2017.02.13
年次有給休暇(以下:有給)の比例付与とは
所定労働日数が通常の労働者に比べて少ないパートタイム労働者などについて、通常の労働者との均衝を図るため、その所定労働日数に応じて別の有給付与に関する基準があります。これを有給の比例付与と言います。
対象労働者
週所定労働者が30時間未満であり、かつ、下記①、②のいずれかに該当する者。
① 週所定労働日数4日以下の者
② 週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合には、年間所定労働日数が216日以下である者
付与要件
通常の労働者と同じく、労働者から請求があった場合
付与日数
所定労働日数に応じて、最低1日から最高15日までの日数が以下のように定められております。
週所定労働 日数 |
1年間の所定労働日数 |
6箇月 |
1年 6箇月 |
2年 6箇月 |
3年 6箇月 |
4年 6箇月 |
5年 6箇月 |
6年 6箇月以上 |
4日 |
169~216日 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3日 |
121~168日 |
5日 |
6日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
2日 |
73~120日 |
3日 |
4日 |
4日 |
5日 |
6日 |
6日 |
7日 |
1日 |
48~72日 |
1日 |
2日 |
2日 |
2日 |
3日 |
3日 |
3日 |
「パートやアルバイトならば有給を与えなくて良い」と言う誤解をなさっている方も多いと思いますが、上記表に当てはまる働き方をしている労働者がいた場合は有給を与えなければなりません。
また、1日の勤務時間数が短い労働者であっても週5日以上働くようなら通常の有給規程が適用されますので注意が必要です。
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