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2015年9月

労基署の調査の種類について   2015.09.29

 

税務署の調査があるように、労働基準監督署も労働関係の実態調査(臨検監督)を行います。調査は以下の通り4種類に分類されます。

 

1) 定期監督

最も一般的な調査で、労基署がランダムに調査対象を選択し、法令全般に渡って調査をします。原則としては予告なしで調査に来ますが、事前に調査日程を連絡してから行う場合もあります。主に労働時間や規程、届け出書類等の整備状況の確認を受けます。

 

2) 災害時監督

大きな労働災害が発生した際に、原因究明や再発防止の指導を行うために行う調査です。

 

3) 申告監督

労働者からの申告(いわゆるタレコミ)があった場合に、その申告内容について確認するための調査です。この申告監督の場合、労働者を保護するために労働者からの申告であることを明らかにせず、定期監督のように行うケースと、労働者からの申告であることを明かして呼出状を出して呼出す場合があります。

 

4) 再監督

定期調査などの結果、是正勧告を受けた場合に、その違反が是正されたかを確認するために行われます。

 

労働基準監督官は司法警察官としての権限を持っていますので、監督署調査を断ることはできません(ただし日程の変更などは可能)。法令違反状態を隠そうとして調査を無視したり逃げたりしないようにしましょう。

 

調査については専門的な知識も必要になるため、なるべく社労士など専門家に関わってもらい、事前に是正できる部分は是正して臨んだほうがよいでしょう。

 

社員が入社したときの手続きや受け取る書類   2015.09.29

社員が入社したときには、まず以下の項目を社員に説明をしなければなりません。

 

1) 就業の場所、従事すべき業務に関する事項

2) 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関する事項

3) 賃金の決定、計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項

4) 退職に関する事項

5) 労働契約の期間に関する事項

6) 所定労働時間を超える労働の有無

 

これら労働基準法上の「労働条件の明示義務」に対応する事項です。

この明示の際、「雇用契約書」を作成して、会社と社員が署名捺印することまでは求められておらず、「労働条件通知書」「雇入通知書」等の書面を会社から(一方的に)社員に通知することで足りるとされています。

ただし、賃金(とくに定額残業代など)については後のトラブルのもとになりますので、雇用契約書(双方の捺印がなされた書類)を取り交わしたほうが安全でしょう。

 

 

入社に関する書類の提出

 

入社後は、各種の手続きやトラブル予防のために速やかに以下の書類を提出してもらいましょう(面接時に一部もらうものもあります)。

 

1)  履歴書

2)  職務経歴書  (前職のある場合)

3)  卒業証明書・成績証明書  (新卒の場合) ※

4)  健康診断書 ※

5)  身元保証書 ※

6)  秘密保持誓約書 ※

7)  口座振込依頼書(給与振込のため)

8)  通勤手当支給申請書(通勤経路の確認および通勤手当決定のため)

9)  給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

10) 源泉徴収票  (本年中に他社からの給与所得がある場合)

11) 雇用保険被保険者証  (以前に雇用保険に加入していた場合)

12) 年金手帳  (以前に国民年金もしくは厚生年金に加入していた場合、被扶養配偶者がいるときは配 偶者の分も)

13) 健康保険被扶養者(異動)届  (健康保険の扶養に入れる親族がいる方のみ)

 

※の書類は、必ずしも提出してもらう必要はありません。

それぞれの書類の意義と会社の考え方を鑑み、提出してもらうべきかどうか判断してください。

 

高年齢雇用継続給付について   2015.09.28

 

高年齢雇用継続給付とは・・・

高年齢雇用継続給付は、60歳になって給与が下がった社員に対して、下がった分のいくらかを補填する雇用保険の給付のひとつです。その名前の通り、高年齢者が引き続き働きやすい状況を整えるためにあります。

 

具体的には、60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。

 

この給付は「高年齢雇用継続基本給付金(60歳を超えて引き続き同じ会社に勤めるが給与が低下したケースの給付)」と「高年齢再就職給付金(60歳で退職して、その後別の会社に再就職したが給与が低下したケースの給付」とに分かれます。

 

 

基本的なルール:

1、対象者

①雇用保険の加入期間が5年以上の人が対象です。

②60歳以上65歳未満の間に支給されます。

 

2、支給額

高年齢雇用継続給付の支給額は、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は、各月の賃金の15%相当額となり、60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて、各月の賃金の15%相当額未満の額となります。(各月の賃金が一定額を超える場合は支給されません。(この額は毎年8月1日に変更されます。))

例えば、高年齢雇用継続基本給付金について、60歳時点の賃金が月額30万円であった場合、60歳以後の各月の賃金が18万円に低下したときには、60%に低下したことになりますので、1か月当たりの賃金18万円の15%に相当する額の2万7千円が支給されます。

 

3、支給期間

高年齢雇用継続基本給付金の支給対象期間は、被保険者が60歳に達した月から65歳に達する月までです。ただし、60歳時点において、雇用保険に加入していた期間が5年に満たない場合は、雇用保険に加入していた期間が5年となるに至った月から、この給付金の支給対象期間となります。また、高年齢再就職給付金については、60歳以後の就職した日の属する月(就職日が月の途中の場合、その翌月)から、1年又は2年を経過する日の属する月までです。(ただし65歳に達する月が限度)

 

4、手続き

高年齢雇用継続給付の支給を受けるためには、原則として2か月に一度、支給申請書を提出します。

育児休業給付について   2015.09.24

子育て中のママに対しては、雇用保険制度から「育児休業給付金」を受けることができます。

この給付は、雇用保険の「雇用継続給付」の一種で、文字通り「子育てをしやすい環境を整えて雇用を継続してもらうこと」を目的としています。

 

基本的な条件:

1、受給の資格

①育児休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月(過去に基本手当の受給資格決定を受けたことがある方については、その後のものに限ります。)が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。わかりやすく言うと、普通に1年出勤した雇用保険加入者が対象となります(1年未満の雇用期間しかなくても、前職の雇用保険加入期間を合算できることがあります)。

 

②実際に育児休業を取得しており、給与が8割以上支払われていないことが必要です。つまり、育児休業を取っていたとしても会社から給与が保障されている場合は給付を受けられないことがあります。

 

③就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間)ごとに10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であることが必要です。(休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること。)

つまり、月に11日以上働いている場合等は、「もはや育児休業をしていないとみなされる」ということです。

 

2、支給額

育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています。

 

3、支給期間

原則として子が1歳になるまで支給されます。保育園に入園できないなどの事情によって延長されることがあります。

退職後、同業他社へ転職した社員に対しては退職金を支払わないことができるか   2015.09.24

退職後、同業他社へ転職した社員に対して、会社側の心情としては退職金の減額や不支給をしたいと考えても仕方のない部分はあります。ただし、退職金を減額または不支給とすることは簡単ではありません。

 

原則:

退職金の支払い基準は会社が自由に定めることができますが、通常退職金は「勤続年数」等を基準として計算されますので、その意味で「在籍中の賃金を後払いする」という性格があると考えられます。そのため、「○○の場合には退職金の減額・不支給とする」と定めたとしても、その程度は合理的範囲に制限されます。

 

同業他社への転職の制限:

では、同業他社へ転職する者への支給制限をすることは合理的でしょうか。

退職後、同業他社に転職した者に対する退職金の減額・不支給条項を設けることも、違法ではありません。しかし、裁判例から考えれば、禁止する競業の範囲(場所・期間等)を合理的な範囲にとどめたうえで、その代償措置を設けるか、あるいは強度に背信的な場合に全額不支給とするというのが現実的な措置でしょう。一般的には退職金の減額にとどめておくのが妥当です。

 

つまり、「○年以内は競業他社へ就職をした場合、退職金を○%減額する」「競業とは商圏(会社から半径○㎞範囲等)とする」「競業への就職を制限する社員は、○○の役職以上の職に就くものとする」などの決まりをきちんと就業規則などに定めておいた上で、競業への就職を制限する代わりに在職中に○○手当を支給するなどの状況を整えておかなければ、退職金の減額は難しくなるでしょう。

 

実際に競合会社へ転職する社員は正直にそのことを会社に言わないでしょうから、その確認も簡単ではありません。在職中から退職金規程などをしっかりと周知し、背任的な転職をしないように抑止するしかないというのが実情です。

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