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2013年8月

休職制度についての解説と注意点   2013.08.21

従業員が私傷病(つまり仕事以外の理由)で長期の欠勤しなければならないとき、会社の休職制度を利用することになります。

ところが、休職制度は、法律上必ず制度化しなくてはいけないものではありません。

解雇規制が厳しい日本においては、従業員が長期の休養が必要となったとき、復職できるまで安心して休んでもらえるように会社が「恩恵的に定める制度」として機能しています。

 

休職制度が法律上の義務でないため、休職期間や休職中の賃金についてどのように決めても会社の自由ですが、多くは就業規則にてその条件を定めることになります。いざ私傷病事案が発生したときに対応に困らないよう、事前に取り決めを行うことをお勧めします。

 

一般的な休職期間:

中小企業で概ね1~3ヶ月程度、大手企業だと勤続年数によっては数年に及ぶ休職期間を定めることもあります。中小企業の現場の場合、例外的に休職期間の延長を認める可能性を残しつつ、1~3ヶ月程度の休職期間を定めているところが多いでしょう。従業員を休職させるとなった場合、トラブル防止のため、休職期間、休職満了時の取り扱い、そのほかの約束ごとを書面にて交わしておくとよいでしょう。

 

休職中の社会保険料・住民税等

従業員が休職して、給与の支払いがゼロになったとしても、健康保険料と厚生年金保険料の会社負担分、従業員負担分はともに発生します。

休職期間中は従業員負担分を会社が立て替えておき、復職したら従業員負担分を請求するか、それとも社会保険料の納付時期にあわせて毎月決まった日にひと月ごと従業員に請求するか事前に決めましょう。

 

また、住民税を毎月の給与から控除している場合も社会保険料と同じく、どのように徴収するかを決めましょう。

 

休職の決定権はどこにあるか:

休職とは「療養が必要な状況だから、休みなさい」と会社が「命令」して初めて機能するように定めておくほうがよいでしょう。なぜなら、無理をして勤務する従業員に対しても、会社の安全配慮義務から休職を命ずる必要があるからです。また逆に、本人が休職の申し出をしても、その症状から会社側が休職を認められない軽微なケースもあり、休職するか否かのコントロールを会社ができたほうが柔軟な対応が出来ます。

 

休職期間中の従業員への接し方:

休職期間中は、従業員からの病状報告を受けるだけではなく、社内報を送付したり、会社の状況をお知らせしてあげると、本人は会社からの疎外感を感じずに復帰しやすくなるでしょう。

 

時間単位の有給休暇   2013.08.20

有給休暇は1日単位でしか与えられないかというと、そうではありません。

時間単位の有給休暇は、労使協定を結べば導入することが可能です。労使協定には、以下の内容を取り決める必要があります。

 

①    対象者の範囲

②    時間単位の有給を取得できる日数

③    時間単位の有給休暇の1日分の時間数

④    1時間以外を単位にする場合は、その時間数

 

注意点:

時間単位での有給休暇には、いくつか制限があります。

まず、②の取得日数は5日分が限度となっています。なぜなら、有給休暇はリフレッシュするために1日で消化することが原則だからです。前年の繰り越し分があったとしても、繰り越し分を含めて5日以内となります。

また、最小単位は1時間となっており、分単位の支給は認められません。

さらに、時間単位の計画的付与はできません。従業員からの「支障があるため時間を変更してほしい」という時季変更権は行使できます。しかし、会社からの「○日の○時から3時間支給します」という計画的付与は認められません。

 

 

時間単位にする場合、1時間分の給与は下記のいずれかを所定労働時間で割った額となります。標準報酬日額とする場合は、労使協定が必要となります。

①    平均賃金

②    所定労働時間に働いた場合に支払う通常の給与

③    標準報酬日額

 

 

時間単位の有給休暇は、有給をなかなか消化できない従業員には良い方法です。しかし、会社はそれを無理に導入しなければいけないわけではありません。

労働者の便宜を図る意味で導入するのはよいですが、その分管理が煩雑になるので、よく検討してから導入すると良いでしょう。

 

 

他の店舗へ転勤させるときの注意点   2013.08.10

転勤を命令するときには、本人の同意が必要なのでしょうか。

一般に、就業規則に転勤の旨の記載があり、社員に周知されていれば、個別の同意は不要です。そのため、会社は一方的に転勤を命じたとしても問題ありません。なお、入社時の労働条件明示(契約書などの取り交わし)の際に転勤の可能性を明示すると、トラブル防止になるでしょう。書面交付の際には、「絶対に転勤がない」という場合以外は、原則として「転勤の可能性あり」と明示したほうが無難ではないでしょうか。

 

上記のように、転勤命令は、原則として一方的に命じることが出来ます。しかし、例外として次にあげるケースでは同意が必要とされます。同意なく行った場合は、権利濫用として無効になる場合があります。

①  業務上の必要性が存在しない場合

②  業務上の必要性以外の不当な動機、目的をもってなされた場合

③  社員に対し、限度を超える著しい不利益を負わせる場合

④  労働契約において勤務場所を特定して採用された社員に対し行う場合

 

例えば、勤務地限定の社員に行う場合、業務上の必要性があったとしても本人の同意がなければ転勤はさせられません。

 

では、勤務地限定の契約書でない場合はどうでしょうか。この場合も、同意が必要となります。判断基準となるのは、就業規則に「転勤を命じる旨の規定があるかどうか」だからです。転勤の可能性を明示、説明することが重要です。記載例をあげますので、参考にしてみて下さい。

 

労働契約書への具体的な記載例

・場合により他社多店舗への転勤を命じる可能性があります。

・本労働契約は、勤務地を特定した契約ではなく、場合によって転勤を命じる可能性があります。

・勤務地は入社時点のものであり、人事異動によって、全国、海外を含めた支店への転勤を命じる可能性があります。

 

転勤はその対象者の生活環境を大きく変える可能性があります。その対象者だけでなく、周りの家族などの事情も考えて慎重に対応しましょう。

親の介護で休みたいとの申し出があったときの対処法   2013.08.09

育児介護休業法により、一定の労働者には介護休業を取得する権利があります。

会社へ介護休業の申し出が出来るのは、育児休業と同じく日雇い労働者を除く男女すべての従業員です。

正社員だけではなく、下記の要件を満たしていれば期間契約社員、パート、アルバイトも介護休業の申し出が出来ます。

 

1、 勤続年数1年以上

2、 介護休業開始予定日から93日を超えて引き続き雇用が見込まれること

 

つまり、上記に該当するパート、アルバイトにも介護休業を取る権利があることになります。

 

介護休業の期間:

介護休業ができる期間は、対象家族1人につき、「要介護状態」になるごとに1回、通算93日までの介護休業をすることができます。

 

要介護状態とは:

介護休業を取れる「要介護状態」とは、病気や身体・精神上の障害により、2週間以上常時介護を必要とする状態をいいます。

 

休業中の給与は支払うべきか:

育児休業中と同じく、介護休業中もやはり「ノーワーク ノーペイの原則」で、休んだ分について給与を支払う必要はありません。

 

雇用保険から介護休業基本給付金について:

従業員に給与が支払われない期間の補償として、雇用保険から給与の約40%をカバーする介護休業給付金が支給されます。

 

介護休業期間中の社会保険料について:

育児休業とは違い、介護休業期間中は社会保険料の免除はありません。

介護休業にかぎったことではありませんが、病気やケガなどで長い欠勤が続く場合も含め、休んでいる期間の社会保険料をどのように徴収するか、会社で約束ごとをつくっておくとよいでしょう。

休業が明けた後の給与から控除するか、毎月期日を決めて会社に振り込みかなど会社独自で決めておきましょう。

 

・介護休暇制度について

長期の休業は必要はないけれど、直接の介護だけでなく、対象家族の通院の付き添いのためなどに休みがに必要な場合で従業員が「この日に介護休暇をほしい」と会社に申し出た場合は、対象家族が1人であれば年5日まで、2人以上であれば年10日まで、1日単位で介護休暇を取得させなければなりません。

 

介護休暇の申し出か出来るのは、日雇い労働者を除く、男女全ての従業員です。

また、労使協定がある場合は「子の介護休暇」と同じく次の従業員からの申し出は断ることができます。

 

1、 勤続年数6ヶ月未満の従業員

2、 週の所定労働日数が2日以下の従業員

 

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