労務コラム

他の店舗へ転勤させるときの注意点   2013.08.10

転勤を命令するときには、本人の同意が必要なのでしょうか。

一般に、就業規則に転勤の旨の記載があり、社員に周知されていれば、個別の同意は不要です。そのため、会社は一方的に転勤を命じたとしても問題ありません。なお、入社時の労働条件明示(契約書などの取り交わし)の際に転勤の可能性を明示すると、トラブル防止になるでしょう。書面交付の際には、「絶対に転勤がない」という場合以外は、原則として「転勤の可能性あり」と明示したほうが無難ではないでしょうか。

 

上記のように、転勤命令は、原則として一方的に命じることが出来ます。しかし、例外として次にあげるケースでは同意が必要とされます。同意なく行った場合は、権利濫用として無効になる場合があります。

①  業務上の必要性が存在しない場合

②  業務上の必要性以外の不当な動機、目的をもってなされた場合

③  社員に対し、限度を超える著しい不利益を負わせる場合

④  労働契約において勤務場所を特定して採用された社員に対し行う場合

 

例えば、勤務地限定の社員に行う場合、業務上の必要性があったとしても本人の同意がなければ転勤はさせられません。

 

では、勤務地限定の契約書でない場合はどうでしょうか。この場合も、同意が必要となります。判断基準となるのは、就業規則に「転勤を命じる旨の規定があるかどうか」だからです。転勤の可能性を明示、説明することが重要です。記載例をあげますので、参考にしてみて下さい。

 

労働契約書への具体的な記載例

・場合により他社多店舗への転勤を命じる可能性があります。

・本労働契約は、勤務地を特定した契約ではなく、場合によって転勤を命じる可能性があります。

・勤務地は入社時点のものであり、人事異動によって、全国、海外を含めた支店への転勤を命じる可能性があります。

 

転勤はその対象者の生活環境を大きく変える可能性があります。その対象者だけでなく、周りの家族などの事情も考えて慎重に対応しましょう。

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