労務コラム

遅刻に対して時間相当分以上の賃金をカットしてもよいか?   2015.06.10

遅刻をした社員に対し、ペナルティとしてその分の賃金を給料からカットすることは多くの企業で行われていますが、実際どの程度までの給与カットなら法的に認められているのでしょうか。

 

1.ノーワーク・ノーペイの原則

賃金請求権については、民法に「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」という定めがあり、労務の提供がない(不就労の)場合には賃金請求権も発生しないこととしています。これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。

遅刻や早退だけでなく、「働かない時間」のパターンは多岐にわたるため、控除をする場合には、控除する賃金の範囲や時間、回数の単位などを就業規則等において詳細に定めておく必要があります。

いずれにせよ、まず「働かない時間について給与を支払わないこと」は問題ありません。

それ以上の給与カットをする上では、以下の法的制限があります。

 

2.労基法91条「制裁規定の制限」

「減給の制裁」とは、遅刻等の服務規律に違反したことへの制裁として、ペナルティとして本来支給すべき賃金の一部を控除することを指します。このペナルティについて、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。

つまり、働かない時間分の給与カットを超えてカットを行うのであれば、その部分については減給の制裁に該当し、制裁の制限に抵触しない範囲で就業規則等に規定化し、その規定に基づいて控除を行うことが必要となります。

 

なお、遅刻、早退が目立つ会社では、精皆勤手当等を設け、勤怠と給与との関連性を持たせたり、賞与の考課項目の一つとして勤怠評価を取り入れるなどの管理方法も有効かもしれません。

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