2015年12月
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する注意点② 2015.12.11
契約社員(期間の定めがある雇用契約により雇った社員)の雇止めをすると、社員としては生活が脅かされるため、多くのトラブルが発生しています。雇用の打ち切りについての取扱いは十分な注意が必要です。
雇止めの予告:
使用者は、有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。
予告の対象となる有期労働契約は、
① 有期労働契約が3回以上更新されている場合
② 1 年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、 最初に労働契約を締結してから継続して通算 1 年を超える場合
③ 1 年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
です。
雇止めの理由の明示:
使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。明示すべき 「雇止めの理由」 は、 単に「契約期間の満了」ではなく、具体的な説明を求められます。
例:
・ 前回の契約更新時に、 本契約を更新しないことが合意されていたため
・ 契約締結当初から、 更新回数の上限を設けており、 本契約は当該上限に係るものであるため
・ 担当していた業務が終了・中止したため
・ 事業縮小のため
・ 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
・ 職務命令に対する違反行為を行ったこと、 無断欠勤をしたこと等勤務不良のため
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する注意点① 2015.12.11
契約社員(期間の定めがある雇用契約により雇った社員)の入社、更新、雇止めについては多くのトラブルが発生しています。有期雇用契約に関する取扱いは十分な注意をしましょう。
原則1 契約締結時の明示事項等
(1)使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示
しなければなりません。
その契約が1回限りなのか、更新する可能性があるのかを説明してください。
具体的には「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はしない」等を説明します。
(2)使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対し
て、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。
契約更新するかしないかの判断基準の例は以下の通りです。
・ 契約期間満了時の業務量により判断する
・ 労働者の勤務成績、態度により判断する
・ 労働者の能力により判断する
・ 会社の経営状況により判断する
・ 従事している業務の進捗状況により判断する 等
これらの判断基準について、できれば入社時に客観的な尺度も合わせて説明できるとよいでしょう。つまり、勤務成績⇒勤務成績が評価基準C以下は更新しない、能力による判断⇒作業Xが概ね10分以内にできること、など具体的な基準を伝えておくとよりトラブル予防になります。
契約は最初にしっかりとした説明をすることが重要ですので、手を抜かずにきちんと説明しましょう。
住宅手当は残業計算の基礎に入れるべきか 2015.12.11
残業代単価を計算する時に、基本給だけから計算をしていることがありますが、労働基準法上は問題があります。
労働基準法では、残業単価計算に「含めなくてよい手当」が決まっており、それ以外は単価計算に含めなければなりません。
残業計算の基礎から控除できるものについては以下が例外的に除外できることとされています(このように特定の項目を指定していることを「限定列挙」といいます)。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、見舞金など)
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
この手当以外(資格手当や管理職手当など)は含めて単価を計算するように注意しましょう。
除外される手当の中で、住宅手当は特に注意が必要です。名前が住宅手当となっているだけではダメです。支給方法が「住宅に要する費用に応じて算定される手当」となっている住宅手当であれば除外できますが、住宅に要する費用に関わらず「一律に定額で支給される」手当は、ここでいう住宅手当には該当せず算定基礎賃金に含めなければいけません。
残業単価計算については、未払い残業訴訟でしばしば争点になります。特に手当の総額が基本給に比べて多く支給されている場合や、今回のように住宅手当を算入していない場合など、残業未払いが発生している可能性がありますので、給与計算方法をチェックしましょう。
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