労務コラム

研修中の安全配慮について   2016.05.09

企業研修において、歩行、アウトドアなどの運動や、大声を出させるなどのいわゆる「体育会系」なものを行う場合、社員のキャラクターを見極めながら、健康と安全について注意をしたほうがよいかもしれません。

 

企業には労働者の安全に配慮する義務=安全配慮義務があり、受講者の体力を鑑みることなく過酷な研修を行った結果心身に不調をもたらした場合、企業側が「安全配慮義務違反」を問われる可能性があります。

 

会社の安全配慮義務違反に問われる条件とは、①社員が心身の健康を害することを会社が予測できた可能性(予見可能性)があり、②それを会社が回避する手段があったにもかかわらず(結果回避可能性)、何らの手段を講じなかった場合です。この場合に安全配慮義務違反となり、場合によっては損害賠償責任を負うことになります。

 

いわゆる体育会系の研修における安全配慮という観点で考えると、例えば「持病を持っている、体力が弱いなどの理由により過酷な研修はできないと当人から訴えられたにもかかわらず、」「別メニューを用意するなどの配慮をする余地があったのに」何も対策を打たなければ、労働安全衛生法上の問題が出てくる可能性があるでしょう。

 

チームビルディングのために多少は過酷な時間を共有することも大切でしょう。しかし近年はそういった体育会系の雰囲気について来れない新入社員も増えているため、何事もやり過ぎには注意が必要でしょう。

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