労務コラム

社員の副業を禁止してよいか   2013.11.08

副業については、法律の制限はありません。つまり会社が許可すれば社員が副業を行うことはできます。しかし、社員は労働、つまり働くことの対価として給与を受け取っていますので、対価にふさわしい労働力を提供する義務があります。

その意味で、副業の疲れなどにより本来期待する労働力が提供されないような場合、会社はその副業を禁止することができます。

 

副業を禁止する場合、就業規則の服務規定にその旨の文言を明記しましょう。服務規定に入れておくべき内容は例えば以下の通りです。

・健康に留意して、良い心身状態で勤務するように努めること

・会社の許可なく他社の役員、従業員又は個人事業主となり、営利を目的とする業務を行わないこと

・会社の許可なくアルバイトなどをしないこと。ここでいうアルバイトとは、営業上の技術を使用して個人的に報酬を得る行為を含む

 

就業規則上で、許可のない副業を禁ずるよう規定し、許可を求められた場合はその副業が

 

①    疲労などにより本来業務に支障を与える程度

②    本人の家庭事情

③    副業の内容が会社になんらかの不利益を与える可能性(情報漏えい、コンプライアンス的観点など)

 

以下の視点で見て許可に問題ないかを審査検討するとよいでしょう。

 

 

 

ペナルティーについて:

副業が発覚した場合、懲戒処分を行うかについては、次のような項目を総合的に判断して行う必要があります。

 

①    副業を行うことで、本来業務にどのくらいの影響が出ているか

②    競業他社での副業かどうか

③    副業により、自社の秘密漏漏洩の危険性があるか

 

ただし、アルバイト等副業行為とあまりに釣り合わないペナルティーをしないように注意する必要があります。懲戒解雇が有効となるような副業行為は、背任的に自社のノウハウを漏えいさせている場合や、競業行為を意図的に行うような悪質なものに限られるでしょう。

 

なお、副業を許可制や禁止にしている場合でも、パートや短時間勤務者について、別段の配慮が必要となります。これらの社員は、その雇用形態上、他社との「掛け持ち」を想定しているケースもあります。正社員の副業とは違った基準で、ある程度副業を認めてあげる配慮が必要でしょう。

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