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不正を働いている可能性のある従業員の身辺調査はどの程度許されるか?   2014.05.14

解雇に対するハードルの高さ

労働基準法および労働契約法では、解雇には客観的合理性と社会通念上の相当性が必要であり、それらがない解雇は解雇権濫用として無効とされます。わかりやすく例えると、10人に聞いて9人程度が『これは解雇止む無しだ、解雇する以外にない』というほどの理由がなければ、解雇は難しいということだと考えたほうがよいでしょう。

 

金銭的不正に対しては厳罰傾向がある

そんななか、判例上は「従業員の着服、横領など金銭的な不正」については、金額の多少にかかわらず厳格な判断をする傾向があります。会社の備品を横領したり、不正経理などにより自己の便宜を図るような行為については、懲戒解雇有効とされた判例がいくつもあります。

 

証拠をつかむための身辺調査はどの程度許される?

もちろん、懲戒解雇をするためにはその証拠がなければなりません。そこで、不正現場を抑えるために探偵を雇って身辺調査をしたり、ビデオカメラを設置することは問題ないのでしょうか。

このような身辺調査や監視については、なんでも許されるものではなく、慎重に行う必要があります。

裁判では、会社側の対応に信義の点で問題がなかったかも考慮されます。例えば、個人のプライバシーを著しく害するような方法、高圧的な方法等での調査は「不正調査としてもやりすぎだ」という判断をされる恐れがあります。

 

例えばロッカールームで盗難が相次いだ場合に監視カメラを設置するならば、その設置を周知し、さらにロッカールームが女性のものであれば、映像確認も女性がするなどの配慮をしつつ慎重に行うべきでしょう。

 

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