労務コラム

正社員とパートで賃金格差を設けることは法律違反になるのか   2014.05.17

平成20年4月1日からパート労働法が改正され、パート社員の差別的取り扱いが禁止されましたので、パートタイム労働者の差別的な取扱いをすると労働基準監督署から是正指導を受ける可能性があります。

 

ただ、ここで差別的取扱いを禁止されているのはすべてのパートではなく、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に該当するものだけです。その「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に該当するかどうかは、以下の3点から判断されます。

 

①    職務内容が同じであるか

仕事の内容、責任の程度、期待される業務等から判断されます。

 

②    転勤やその他人事異動の取り扱いが同じであるか

正社員には転勤範囲に制限がなく、パートには制限が設けられていたとしても、実質的に差がない場合には同一と判断されます。

 

③    契約期間に期間の定めがないか

有期契約であったとしても、何度も更新された場合には、期間の定めがない契約と判断されます。

 

3点ともすべて正社員と同じ場合は、パートであることを理由としての差別的取扱いが禁止されます。別の言い方をすれば、1点でも正社員と異なっていれば、差別的取扱いとはみなされないことになります。職務内容が同一であるパートがいたとしても、「人事異動の有無や範囲」までも正社員と同一ということはほとんど考えられません。そのため、パートと正社員に賃金格差があったとしてもただちに是正指導を受けることは少ないでしょう。

 

ただし会社は、処遇を公正にしようとするなら、仕事の能力に合わせて賃金設定をすべきでしょう。その意味では、「パートだから」という理由での賃金格差が本当にふさわしいことかを確認してみることは労務管理上必要であると言えます。

 

 

 

 

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