労務コラム

労災保険はどこまで適用されるか   2016.12.13

休憩時間、外で過ごす従業員もたくさんいると思います。そんな時に怪我をしてしまったら労災保険の適用されるのでしょうか。

 

休憩中の外出時について

休憩時間については労働基準法第34条第3項により、労働者が自由に行動することが許されており、その間の個々の行為自体は労働者の私的行為といえます。

そのため、休憩時間中に外出して怪我をしたとしても業務との因果関係が認められず、労災保険給付は受けられないと考えられます。

 

退勤後について

では、退勤後についてはどうでしょうか。退勤後はそれが通勤中とみなされるかがポイントです。

終業後直ちに住居へ向かう場合は問題ありませんが、逸脱・中断の場合、労災保険(通勤災害)の対象とならない可能性があります。

また、通勤と関連のない私的行為については、誰もが行うような「ささいな行為」を除き、一般には「逸脱・中断」とみなされ、逸脱・中断の時点から通勤として取り扱わないことになります。

ささいな行為とは、経路の近くにある公衆便所を利用する、経路上の店でタバコ、新聞等を購入する等をいい、スーパーで日用品を購入する行為は、「ささいな行為」とはいえず、通勤行為の中断と判断され、中断後は一切通勤災害とは認められません。

 

ただし、労災保険法第7条第3項ただし書きにおいて、(通勤の経路の)「逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りではない」と規定されており、日用品の購入その他これに準ずる行為はこれに該当することとされていますので、その後通常の通勤経路に戻った場合には、通勤として取り扱われます。

 

従業員が事業所の外で怪我をし、労災が適用されるかの判断に迷った場合は、労働基準監督署や社労士に相談するようにしましょう。

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