労務コラム

管理職に残業代を支払わなくてよいか   2014.02.05

「管理職には残業代を支払わなくてもよい」と巷で言われていますが、本当にそうなのでしょうか。

この残業代支払いの必要性は、管理職の方が、労働基準法上の「管理監督者」に当たるかどうかによってことなります。

 

管理監督者は、経営の管理的立場にある者又はこれと一体をなす者をいい、労働時間や休憩、休日について適用除外が認められています。

しかし、実態としての権限がない「名ばかり管理職」には賃金の支払いが必要になります。また、法律で定められている管理監督者に該当する場合でも、深夜労働(午後10時から翌朝5時)には割増賃金の支払いが必要となります。

 

管理監督者として認められるか否かについては、次の4点から判断されます。

①    重要な職務内容を有しているか

②    重要な責任と権限を有しているか

③    現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないものか

④    賃金について、その地位にふさわしい待遇がなされているか

 

①②については、人事考課を行う、業務の指示をする等も判断の要素になります。具体的な内容としては、労務管理を行う立場にある者であって「部下がいない課長」などは管理監督者に該当しないことが多いでしょう。

③については、遅刻や欠勤などで賃金を控除されたりしている場合には、同管理監督者に当たらないことが多いです。ただし、出退勤の時刻記載を義務付けていたことをもってすぐに管理監督者ではないというわけではありません。会社には安全配慮義務がありますので、管理者の健康に配慮して出退勤時刻の把握及び管理は必要だからです。

④については、一般社員と管理職の間で明確な賃金差が必要とされます。管理職昇格したら、残業手当が出なくなり、一般社員の時よりも給与が下がってしまったというような逆転現象がある場合はまず管理監督者として認められないでしょう。

 

 

現在の基準で管理監督者として認められる社員は。きわめて少ないと言えます。中でも、労働時間について出退勤の制約がないのは、役員クラスの一部だけです。

そのため、管理監督者として認められなかった場合を見越した対応が必要となります。一つの案としては、管理職には、残業代相当の管理職手当を支給することです。こうすることによって、管理監督者として認められなかった場合に未払い賃金を請求されたとしても、一定の残業代は支給していることになります。

 

 

 

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