労務コラム

会社は賞与や退職金を必ず支払わなければならないか   2014.07.24

(会社の支払い義務)

夏・冬のボーナスや退職金は、ある程度慣行化されているという側面もあるものの、法律上は必ず支払わなければならないものではありません。賞与や退職金は、会社が支払う必要がないと判断し、かつ就業規則に具体的な計算式などの支給基準が定めていない限り、支払う必要がないものです。

 

逆に言うと、次の場合は法律上の支払い義務が発生し得ることになります。

 

1、就業規則上に支給基準が定めてある場合

2、就業規則等で特段の定めがなくても、長年にわたり実際に賞与や退職金を支払った事実があり、慣行化していた場合

 

「就業規則上に支給基準が定めてある場合」とは、例えば「賞与の支給時期は○月、査定期間は○月~○月、金額は基本給の○ヶ月分を支給する」などの定めがある場合を指します。多くの中小企業において、賞与には利益配分機能を持たせているので、会社全体の営業利益が芳しくない場合は、約束した基準で賞与支払いを出来ない場合もあります。その可能性に対応するためには、就業規則上で「ただし、会社の経営状態、社会情勢の変動その他の事由により賞与を減額し、または不支給にすることがある」などの例外規定を定めておくことが賢明でしょう。

 

(対象者の特定の重要性)

賞与や退職金について就業規則等で制定する場合、その支給対象者の定義を明確にしておくことに注意が必要です。例えば「従業員に対しては賞与を支給する」「○年以上勤務した従業員に対して別に定める支給基準に基づき退職金を支給する」という定めがある場合、パート、アルバイトや契約社員も従業員であることに変わりはないため、このままではパート等に対しても当然に賞与や退職金を支払わなければならなくなります。

「そんなつもりではなかった」「パートに退職金がないのは常識だろう」と言っても通用しませんので、就業規則上の規定についてよく確認しておくことをおすすめします。

 

 

 

 

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