労務コラム

退職勧奨のポイント   2014.08.08

退職勧奨とは、会社側が労働者に退職の誘引をすることを指します。つまり、「退職をしてはどうかと提案する行為」をいい、相手の意思に関わらず一方的に雇用契約を解消する解雇とは異なった取り扱いをします。

日本における厳しい解雇規制とのバランスを取るために、退職勧奨は裁判などの場では比較的広く認められる傾向があります。裁判でも、退職勧奨行為自体が違法とされるケースは多くありません。例えば、退職を拒否しているにもかかわらず10数回以上に及びしつこく退職を迫る、または退職勧奨を受け入れるまでは軟禁状態で攻め続けるなどの極端な場合にのみ違法性が認められています。

 

では、退職を提案する理由としてはどのようなものがあるのかというと、極端な言い方をすれば「労働者側が条件を呑むのであればどんな理由でもいい」と言えます。つまり交渉の仕方次第でトラブルを防ぎ穏便に退職につなげることも可能です。

実際に退職勧奨をする理由としては(1)経営状況の悪化による人員整理(2)本人の能力不足(3)同僚や取引先からの苦情などが考えられますが、会社側としてはまずそれらの理由を客観的に説明できる資料を持って交渉に臨む必要があります。客観的な事実に基づいて会社が退職を提案していることを率直に伝え、相手方の立場や生活環境も考慮しつつ真摯に説得を試みてください。通常、退職の提案をするからにはいくらかの見返りや当人にとってのメリットを同時に提示して交渉するほうがうまくいくことが多いでしょうから、退職金や賞与の割り増しなどの条件提示を検討する必要もあります。

とにかく、退職勧奨は感情論による対立を出来る限り防ぎ、あくまで大人同士の交渉としてドライに行うことがトラブル予防のためには大切です。

 

 

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