労務コラム

高額療養費   2016.01.06

 

 

重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、健康保険の精度には一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。

 

自己負担限度額とは

自己負担限度額は、所得区分によって段階的に以下のように設定されています。所得区分の他、年齢によっても自己負担限度額が細かく設定されています。

 

①所得区分ア

(標準報酬月額83万円以上の方) 

 252,600円+(総医療費-842,000)×1

②所得区分イ

(標準報酬月額53万~79万円の方)          

 167,400円+(総医療費-558,000)×1

③所得区分ウ

(標準報酬月額28万~50万円の方)          

80,100円+(総医療費-267,000)×1

④所得区分エ

(標準報酬月額26万円以下の方) 

 57,600

⑤所得区分オ(低所得者)

(被保険者が市区町村民税の非課税者等)   

 35,400

 

自己負担額に算入するものとしないもの

 保険外併用療養費の差額部分(高度医療にかかる差額金など)や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。

 

多数該当

同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が低くなります。

 

健康保険限度額適用認定証

あらかじめ長期入院などにより医療費がたくさんかかることが分かっている場合、高額療養費を「現物給付化」し、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができます。この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会の各都道府県支部に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に認定証と被保険者証を提出する必要があります。

 

健康保険の任意継続について

 

会社を退職したとき、健康保険については、1.任意継続健康保険、2.国民健康保険、3.ご家族の健康保険(被扶養者)のいずれかに加入する手続きをする必要があります。任意継続とは、もともと加入していた健康保険制度に退職後も加入することを指します。

 

任意継続健康保険の要件

任意継続をするためには以下の要件があります。

1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。

2)資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)

特に期限については十分に注意が必要です。

 

保険料

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。また、扶養家族がいたとしても扶養家族の方の保険料はかかりません。

国民健康保険の保険料(税)は、前年の所得、世帯人数などに応じて決定されますので、前年の所得が多い、世帯人数が多いなどの場合には任意継続を選択したほうが保険料を抑えることができる可能性があります。

なお、任意継続の保険料は全額を自分が負担します(在職時には半額会社負担)が、標準報酬月額に上限が定められています(平成27年度は28万円となります)。例えば標準報酬が98万円の方が退職した場合でも、任意継続の保険料は28万円を基準に決められます。

 

給付の効果 

在職中の保険証と同じように使用することができます。なお、傷病手当金および出産手当金は、任意継続の加入とは関係なく、在職中からの継続給付の要件を満たす場合に限り対象となります。

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