労務コラム

通勤手当不正受給について   2012.11.14

Q、通勤手当不正受給についてどのような対応をしたらよいでしょうか?

 

事前に電車で通勤すると届け出た者が、会社に偽って自転車で通勤していることが判明しました。どのように対応したらいいでしょうか。

 

 

A、不正受給のため、差額返還やその他ペナルティを検討しましょう。

 

社員からすれば、比較的簡単にできる行為であり、気軽な気持ちでやってしまう場合もあるようですが、通勤手当を意図的に不正受給しているとなれば、一種の横領ですので、厳しく対応ができます。

そもそも通勤手当とは、実際に通勤にかかる費用を会社が支給する仕組みなので、使っていないならば返還を求めてもよいでしょう。

そして、本来費用としてかかっていない通勤手当を受給しているとなれば、「会社に経済的損害を与えてはならない」という労働契約上の信義則に違反するため、その点で懲戒などペナルティを検討できます。

 

 

返還と処分

会社が社員の不正な行為により過払いとなった賃金の返還請求をする場合は、民法上の不当利得返還請求権に基づいて行うことになります。

 

労基法上では賃金の支払い請求権は2年(退職金5年)で消滅しますが、民法上の時効に従うこととなり、過去10年以内の不正受給分までさかのぼって返還請求することができることになります。

加えて懲戒処分として、賃金の減給処分をすることが考えられますし、また、降格、出勤停止などの処分をすることも考えられます。

 

労災との関係

万が一、届出と違う経路での通勤途上に交通事故に遭遇した場合、労災保険上の通勤災害として認められない可能性もあります。通勤災害による給付の対象が合理的経路の途上での事故などに限定されており、届出と違う経路での通勤が、合理的経路であったとはみなされない可能性があるからです。その意味でも正しく通勤経路を申告させるよう徹底しましょう。

 

以上、通勤手当不正受給についてでした。

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