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有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する注意点① 2015.12.11
契約社員(期間の定めがある雇用契約により雇った社員)の入社、更新、雇止めについては多くのトラブルが発生しています。有期雇用契約に関する取扱いは十分な注意をしましょう。
原則1 契約締結時の明示事項等
(1)使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示
しなければなりません。
その契約が1回限りなのか、更新する可能性があるのかを説明してください。
具体的には「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はしない」等を説明します。
(2)使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対し
て、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。
契約更新するかしないかの判断基準の例は以下の通りです。
・ 契約期間満了時の業務量により判断する
・ 労働者の勤務成績、態度により判断する
・ 労働者の能力により判断する
・ 会社の経営状況により判断する
・ 従事している業務の進捗状況により判断する 等
これらの判断基準について、できれば入社時に客観的な尺度も合わせて説明できるとよいでしょう。つまり、勤務成績⇒勤務成績が評価基準C以下は更新しない、能力による判断⇒作業Xが概ね10分以内にできること、など具体的な基準を伝えておくとよりトラブル予防になります。
契約は最初にしっかりとした説明をすることが重要ですので、手を抜かずにきちんと説明しましょう。
住宅手当は残業計算の基礎に入れるべきか 2015.12.11
残業代単価を計算する時に、基本給だけから計算をしていることがありますが、労働基準法上は問題があります。
労働基準法では、残業単価計算に「含めなくてよい手当」が決まっており、それ以外は単価計算に含めなければなりません。
残業計算の基礎から控除できるものについては以下が例外的に除外できることとされています(このように特定の項目を指定していることを「限定列挙」といいます)。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、見舞金など)
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
この手当以外(資格手当や管理職手当など)は含めて単価を計算するように注意しましょう。
除外される手当の中で、住宅手当は特に注意が必要です。名前が住宅手当となっているだけではダメです。支給方法が「住宅に要する費用に応じて算定される手当」となっている住宅手当であれば除外できますが、住宅に要する費用に関わらず「一律に定額で支給される」手当は、ここでいう住宅手当には該当せず算定基礎賃金に含めなければいけません。
残業単価計算については、未払い残業訴訟でしばしば争点になります。特に手当の総額が基本給に比べて多く支給されている場合や、今回のように住宅手当を算入していない場合など、残業未払いが発生している可能性がありますので、給与計算方法をチェックしましょう。
雇用促進税制の活用 2015.10.28
政府方針により、雇用を積極的に行う企業に対する雇用促進税制という税制優遇措置があります。
雇用促進税制とは、適用年度中※1に、雇用者数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主が、法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除※2の適用が受けられる制度です。
対象となる事業主の要件
1、青色申告書を提出する事業主であること
2、適用年度とその前事業年度※1に、事業主都合による離職者※2 がいないこと
※1 事業年度が1年ではない場合は、適用年度開始の日前1年以内に開始した事業年度。
※2この場合の離職者とは、雇用保険被保険者資格喪失届の喪失原因において「3 事業主の都合による離職」に該当する場合を指します。
3、適用年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を5人以上(中小企業※1の場合は2人以上)、かつ 、10%以上増加させていること
4、適用年度における給与等※1の支給額が、比較給与等支給額※2以上であること
※1 給与等とは、雇用者に対する給与であって、法人の役員と役員の特殊関係者(役員の親族など)に対して支給する給与および退職給与の額を除く額をいいます。
※2 比較給与等支給額 = 前事業年度の給与等の支給額+(前事業年度の給与等の支給額 × 雇用増加割合 × 30%)
5、風俗営業等※を営む事業主ではないこと
効果
雇用者数の増加1人あたり40万円の税額控除が受けられます。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)が限度になります。
手続きの流れ
①雇用促進計画を作成・提出
適用年度開始後2か月以内に、雇用促進計画を作成し、ハローワークに提出してください。
②雇用促進計画の達成状況の確認
適用年度終了後2か月以内(個人事業主の場合は3月15日まで)に、ハローワークで雇用促進計画の達成状況の確認を求めてください。
③税務署に申告
確認を受けた雇用促進計画の写しを確定申告書等に添付して、税務署に申告してください。
年金事務所調査が来たら 2015.10.28
マイナンバー制の開始を受けて、社会保険未適用事業所に対して「社会保険新規適用に対する調査連絡」が郵送されてきています。年金事務所の調査は以下の種類があります。
1、定期調査
約4年に一度、管轄内の会社をランダムに当てて行う調査です。算定基礎届の提出時期に呼び出して調査をします。
2、新規適用後調査
社会保険新規適用手続きをした会社について、概ね適用後3~12ヶ月以内に調査をします。
3、未適用事業所への加入指導調査
社会保険未適用の会社に対する加入勧奨調査です。マイナンバーのこともあり、厳格化しています。
チェックする内容:
端的に言うと、①社会保険に入るべき人や会社が加入しているか②届出している報酬額が、実態と合っているかの二つをチェックするための調査です。
ポイント
未加入チェックのポイント
月間の労働時間が130時間を超えている場合、概ね正社員の4分の3以上の勤務実態があるため、社会保険加入対象者とみなされることになります。パート・アルバイト(フリーター)で社会保険未加入としたい場合、勤務時間を抑える必要があります。
実報酬と等級の差についてのポイント
賃金台帳との照合作業の他、源泉所得税の納付書に書かれた給与総額と、社会保険加入者の等級合計の差からチェックをされます。
法人事業所は原則としてすべて、個人事業であっても法定16業種の事業所は5人以上であれば加入義務のある会社とみなされます。
自社の社会保険加入状況を今一度チェックし、社労士の助言を聞きながら善後策をご検討ください。
役員は雇用保険に入れるか 2015.10.14
会社の役員は原則として「雇われている人」ではないので雇用保険に入れません。ただし、代表でない取締役であって、同時に会社の部長職や工場長などを兼務している場合は例外的に雇用保険加入ができる場合があります。
つまり、役員という肩書になっているが実態は「雇われている」と言える場合は、引き続き雇用保険上の保護を受けることができるということです。
手続き方法
そのためには、ハローワークに「兼務役員雇用実態証明書」を作成し届け出る必要があります。この際以下の書類を添付する必要があります。
1、取締役会議事録など、役員報酬額がわかるもの
2、過去3カ月分程度の賃金台帳、出勤簿(労働者としての実態があるかを確認するもの)
3、商業登記簿謄本など
実際に役員が雇用保険に入ることができるか否かの判断は、主に報酬額のバランスによります。
雇用保険加入のためには原則として「役員報酬」よりも「賃金」の方が多く支払われている必要があります。
ちなみに、雇用保険加入は「労働者としての賃金部分のみ」になります。
例えば、役員報酬20万円、賃金として50万円を支払っている場合、雇用保険料は50万円の部分に対してのみかかり、基本手当(いわゆる失業保険)などの各種給付も加入部分のみをもとに計算されます。言い換えると、役員に雇用保険をかけたい場合は、役員報酬よりも賃金を多く支払う必要があります。名目上役員にしているが実際には全額給与として支払っている場合は雇用保険加入ができます。
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