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通勤災害の定義 2016.11.11
通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害又は死亡を言います。ある事故が通勤災害となるか否かは、次の基準により決まります。
言葉の定義:「通勤」
この場合の「通勤」とは、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。
(1)住居と就業の場所との間の往復
(2)就業の場所から他の就業の場所への移動
(3)住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
ただし、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。
言葉の定義:「就業に関し」
通勤とされるためには、移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることが必要です。したがって、被災当日に就業することとなっていたこと、又現実に就業していたことが必要です。この場合、遅刻やラッシュを避けるための早出など、通常の出勤時刻と時間的にある程度の前後があっても就業との関連性は認められます。
言葉の定義:「合理的な経路及び方法」
就業に関する移動の場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び方法をいいます。合理的な経路については、通勤のために通常利用する経路であれば、複数あったとしてもそれらの経路はいずれも合理的な経路となります。
また、当日の交通事情により迂回してとる経路、マイカー通勤者が貸切りの車庫を経由して通る経路など、通勤のためにやむを得ずとる経路も合理的な経路となります。しかし、特段の合理的な理由もなく、著しい遠回りとなる経路をとる場合などは、合理的な経路とはなりません。
次に、合理的な方法については、鉄道、バス等の公共交通機関を利用する場合、自動車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合等、通常用いられる交通方法を平常用いているかどうかにかかわらず、一般に合理的な方法となります。無免許運転の自動車などは、合理的方法とはみなされない可能性が高いでしょう。
精神疾患のため休みがちな社員 2016.11.10
最近では仕事のストレスなどからうつ病になるような事例が多く見られるようになりました。精神的疾患により、職場の人間関係が壊れたり、不定期な欠勤が繰り返されるなどの状況が見られたりする社員への対処法について解説します。
労務不能か否か:
例えば内臓の病気のため入院するのと同じように、精神的疾患も病気です。したがってその対応については、その他の病気と同じように「労務に支障があるものかどうか」を判断して対応します。主治医の診断で長期の自宅療養や入院が必要であれば、就業規則の休職制度による対応をすることとなります(休職制度がない場合は、欠勤として取り扱いながら主治医の診断書を基にして必要な対応を検討します)。
病気により労務不能であるかどうかは医学的に確認したいところですが、主治医の診断書の内容について、会社から本人を飛び終えて問い合わせることはやめたほうが良いでしょう。本人の同意を得た上で、診断書の内容について問い合わせをし、場合によっては面談(三者面談が望ましい)により確認を取った上で、今後の対応を検討することが望まれます。
本人や周囲の関係者との話し合い:
対応についてはまず、本人と状況について話し合いができるかを検討しましょう。本人との話し合いが困難な場合は、身元保証人、配偶者、両親などを交えて話し合いを行います。
社員は健全に労務を提供する義務がある:
労働契約とは、会社が賃金を支払う代わりに労働者が「健全な状態で労働力を提供する」契約ですから、私傷病により労務が提供できない労働者は債務不履行の状態にあるということができます。会社は当人が健全な労務提供ができる状態であるか否かを判断し、無理であれば「休むことに専念して回復しなさい」と休職を命ずる立場であることに注意しましょう。
育児休業給付の基本 2016.11.09
育児休業給付は、文字通り育児休業を取った人に対する給付です。この給付は雇用保険の仕組みから行われますので、当然に一定の要件を満たした雇用保険の被保険者に対して支給されます。雇用保険加入をしていない役員やパートアルバイトは対象外となります。
前提
被保険者が1歳又は1歳2か月(注意1)(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある完全月(過去に基本手当の受給資格決定を受けたことがある方については、その後のものに限ります。)が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。
つまり、実質的な雇用保険の加入期間が1年あれば、育児休業給付の対象となりえます。
月ごとの支給条件
育児休業給付金は、育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないことを条件とします。つまり、ちゃんと休んでいる実績をもとに支給されるということです。
支給額
育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています。
申請は原則として2か月に1度、所轄のハローワークに対して行います。
育児休業給付金は所定の用紙に①会社から給与が出ていないこと②休んでいることを会社が証明し、本人名義で申請します。ただし実態としては本人から委任を受けて会社がハローワーク申請をすることが多いでしょう。
会社を辞めた後の健康保険給付 2016.11.08
健康保険の保険給付は、原則として被保険者に対してのみ行われますが、退職などにより被保険者でなくなった(資格喪失)後においても、一定の条件のもとに保険給付が行われます。
1、継続給付
資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人は、資格を喪失した際に現に受けていた「傷病手当金」及び「出産手当金」を引き続き受けることができます。つまり、被保険者でいる時にもらっていた給付は、同じ事情で働けないならば辞めた後ももらえるということです。
傷病手当金は同一傷病について支給開始から1年6か月間、出産手当金は出産前後合わせて原則98日間の範囲内で、支給を受けることができることになっていますが、この期間から被保険者である間にすでに支給を受けた残りの期間について受けることができます。
具体的には、在籍中に私傷病にかかり休職し、傷病手当金を受給していたが、休職期間満了により退職となった場合などがこれに該当します。
2、資格を喪失した後に保険給付を受ける事由が生じた場合
A 死亡に関する給付
次の場合は、埋葬料か埋葬費が支給されます。
・1の継続給付を受けている人が死亡したとき
・継続給付に該当する人が継続給付を受けなくなってから3か月以内に死亡したとき
・被保険者が資格を喪失して3か月以内に死亡したとき
B 出産に関する給付
資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人が資格喪失の日後、6か月以内に出産をしたときは、被保険者として受けられる出産育児一時金が支給されます。
健康診断の費用負担とその間の賃金の取扱い 2016.08.30
会社は、常時使用する労働者に対し、健康診断を実施する義務を負っています。パートやアルバイトなどの雇用形態によらず、この条件に当てはまる場合は、受診させなくてはなりません。
健康診断には大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時と、雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。特殊健康診断とは、法定の有害業務に従事する労働者が受ける健康診断です。
労働者にとっても、健康診断を受けることは、労働者自身の権利ではなく義務といえます。
では、健康診断にかかる費用は、労使のどちらが負担すべきなのでしょうか。行政通達によれば、「健康診断の費用については法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然会社が負担すべきもの」と解釈されています。また、ここでいう費用には、労働者が健診の医療機関へ移動する交通費も含まれると考えられています。
受診する間の賃金についても、整理しておきましょう。
定期健康診断は、通常の業務とは関係なく受けるものですから、その間は労働していないと考えられます。よって、その間の賃金について払わない、あるいは有給休暇扱いとすることは違法ではありません。ただし、円滑な受診を目指すことを考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいでしょう。
一方、特殊健康診断は業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断です。特殊健康診断の受診に要した時間は、労働時間であり、賃金の支払いが必要とされています。注意しましょう。
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