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会社が行うべき一般健康診断の種類について 2016.08.12
会社は労働安全衛生法に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施させなければなりません。また、労働者は健康診断を受けなければならない義務があります。ここでは一般健康診断について紹介します。
一般健康診断は主に5種類あります。
法律上規定されている一般健康診断は以下の通りです。
1、雇入れ時の健康診断
2、定期健康診断
3、特定業務従事者の健康診断
4、海外派遣労働者の健康診断
5、給食従業員の検便
1、雇入れ時の健康診断
いわゆる新入社員が受診対象となるものです。労働安全衛生規則43条「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならない。」に基づき、雇入時の健康診断の実施を義務付けています。
2、定期健康診断
毎年定期的に行っている診断です。労働安全衛生規則43条「事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、医師による健康診断を行わなければならない。」に基づき、雇入時の健康診断の実施を義務付けています。
※パートやアルバイトであっても、継続1年以上雇用する場合は定期健康診断を行なう必要があります。
3、特定業務従事者の健康診断
深夜業務などの特定業務に従事する労働者に対して、当該業務への配置替えの際及び6ヶ月以内ごとに1回、定期的に、定期健康診断と同じ項目の健康診断を行わなければなりません。
4、海外派遣労働者の健康診断
労働者を日本国外の地域に、6か月以上派遣しようとするとき、ならびに6か月以上派遣した労働者を日本国内における業務に就かせるときは、その労働者に対して、医師による健康診断を行わなければなりません。
5、給食従業員の検便
事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければなりませn。
健康診断を実施しない場合、会社は労働安全衛生法違反によるペナルティーを科せられるほか、健診を受けさせなかった労働者が病気になった場合、損害賠償責任が生じる可能性があります。
そのようなリスクを避けるため、また従業員に健康上の不安なく働いてもらうためにも、実施を忘れないようにしましょう。
雇入れ時の健康診断とは 2016.08.09
新しく人を雇い入れる場合、健康診断を実施することが労働安全衛生法上義務付けられています。どのような人にどんな健診を受けさせなければならないか確認していきましょう。
対象者
常時使用する労働者を対象としており、正社員のみでなくパートやアルバイトであっても以下要件のいずれにも該当する場合は実施する必要があります。
①期間の定めのない者や、契約期間が1年以上である者、契約の更新により1年以上使用されることが予定されている者、既に1年以上引き続き使用されている者
②1週間の労働時間数が、その事業場の通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上である者
雇い入れ時とは、雇い入れの直前または直後を指していますので、入社前に受診させることのほか、入社直後に受診させることも可能です。
健診項目
健康診断の実施項目については定期健康診断の項目とほぼ同じで、以下のとおりとされています。
①既往歴及び業務歴の調査
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④胸部エックス線検査
⑤血圧の測定
⑥貧血検査
⑦肝機能検査
⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
⑨血糖検査
⑩尿検査
⑪心電図検査
雇い入れ時の健康診断については上記すべての項目を実施する必要があります。ただし、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者がその健康診断の結果を証明する書類を提出したときは、その項目については省略することが可能です
健診費用について
行政通達によると、「法で事業者に健康診断の実施義務を課している以上、当然事業主が負担すべきものである」とされています。事業主が支払うのが無難でしょう。
心身の健康状態が仕事に影響を与えることは言うまでもありません。健康状態が悪い時は仕事も捗らないことがほとんどですので、会社にとっては痛手でしょう。そのような観点からも健康状態の管理を個人の責任とせず、会社も負うべきです。その第一歩として入社時の健康診断は実施するようにしましょう。
募集時に性別等を限定することは可能か 2016.07.31
美容室などでは、男性美容師を嫌がるお客様のために女性のみを募集したいというところもあるでしょう。
現在、男女雇用機会均等法は,「法の下の平等を保障する日本国憲法 の理念にのっとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図る」こと等を趣旨とし(1条),第5条(性別を理由とする差別の禁止)で,「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。 」と規定しています。これは,採用について男性のみに限定する場合にのみならず,女性に限定することをも禁止しているものです。
募集または採用に当たって,男女のいずれかを表す職種の名称を用い,または「男性歓迎」,「女性向きの職種」等の表示を行うことも禁止されています(平成18年10月11日厚生労働省告示614号)。ただし,芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要な職務等(俳優など)については,その募集または採用に当たって性別により異なる措置を講じたとしても,男女雇用機会均等法違反にはならないケースもあるようです(上記告示)。また,防犯のための守衛・警備員を男性に限定して募集するのは差し支えないとされています(上記告示)。
上記の観点で言うと「男性美容師が嫌な人のために」女性のみを募集するというのは,男女雇用機会均等法の趣旨からは合理的な理由があるとはされないでしょう。ただ、男女雇用機会均等法では法5条に違反しても罰則はありません。
どうしても女性に多く応募してもらいたいのであれば、応募条件に性別を入れず、店のPRで「女性スタッフのみのお店です」としてみていかがでしょうか。
経歴詐称を防ぐには 2016.07.20
中途採用において、採用されたい一心で応募者が経歴を詐称していた、というケースは少なからずあるようです。早めの段階で見抜くことができればよいですが、採用してしばらく経ってから発覚した場合のダメージは少なくありません。
応募者に求められる姿勢
労働契約は、入社してから退職するまでの長い期間にわたり継続しますから、会社と社員との間には信頼関係があることが前提です。このことから、応募する側は、労働契約を結ぶ際には信義則上真実を伝える義務を負っていると考えられます。
採用する側ができる予防策
各種資料や面接での質問を組み合わせながら、応募書類だけに頼らない選考を行いましょう。例えば、学歴が給与の査定において重要視されるのであれば、卒業証明書等を事前に用意するよう応募者へ伝えることができます。職務上の地位(管理職経験の有無等)については、前職の退職証明書を用意させたうえで、業務上の経験を詳しく質問することで、自ずとその人物について判断できるでしょう。
賞罰欄については、詐称があると会社にも大きな影響が出かねません。面接の際、「賞罰欄には何も書いてありませんが、前科等は特にありませんか」等の質問により、相手の発言を促す、自社の応募フォームで、「賞罰等」がない場合は「ない」と記入させる等も有効な方法です。
経歴詐称に対する対応策
入社前に発覚したのであれば、経歴詐称があっても採用を断れば事足ります。
内定後、入社後に経歴詐称が発覚した場合には解雇できるとは限りません。業務や給与体系との関連性で重大な経歴詐称(もし真実の経歴を伝えていたら、会社側としては採用しなかったといえるくらい重大な詐称)に当たるかどうか、個別に判断されます。
内定前、入社前の段階で、経歴詐称を見抜き、採用を防止するのが最善な手段といえるでしょう。
採用面接時に健康状態や病歴を聞いても良いか 2016.07.11
会社が従業員に健康で長く勤めてもらいたいと考えるのは当然であり、応募者の健康状態は採用時に確認しておきたいことの1つです。近年では、うつ病等のメンタル不調による長期休職や頻繁に欠勤を繰り返す等、思うように勤務できないケースも増えてきていますので、ますます関心が高まるところでしょう。
健康状態や病歴は聞いても良い
結論から述べると、応募者に健康状態や病歴について聞くことは、違法ではありません。職業安定法第5条4では「社員を募集するにあたって、業務の目的の達成に必要な範囲内で個人情報を収集することができる」と定めてあり、健康状態も必要な情報の一部とされます。
個人情報保護法との関係
応募者に健康状態を聞く事は個人情報保護法という法律に抵触しそうでが、これは収集した個人情報を「どのように管理するか」を制限する法律で、情報を収集する行為に制約をつけるものではありません。ただし、「プライバシーだから答えたくない」という回答や書面に記入してもらえなかった場合、「記入しないと不採用にするぞ」といった回答を強制する発言や行為はトラブル防止の観点から避けた方が賢明です。
メンタル面での病歴について
メンタル面での病歴は、慎重な聞き方をする必要があります。通常の健康診断結果だけではメンタル面の不調を読み取ることは難しいので、過去数年の間に通院したことがあるか、ある場合には疾病名を記入してもらう等、補助的な確認書類の提出を求めて把握しましょう。
応募者の健康状態を聞く事は心理的に抵抗があるかもしれませんが、聞くことそのものは違法でないので、その結果も踏まえたうえで会社にとって求める人材を採用しましょう。
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