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賃金支払い5原則について 2016.06.28
賃金を支払う場合、労働基準法では以下5つの原則が定められています。
1、通貨で支払う
2、直接支払う
3、全額を支払う
4、毎月1回以上支払う
5、一定の期日を定めて支払う
通貨で支払うとは
賃金は通貨で支払う必要があり、現物給与は禁じられています(ただし、労働協約等に定めている場合は可)。なお、金融機関の預金口座への振込については、①労働者の同意があること、②労働者の指定する本人名義の預金口座に振り込むことを要件として許容されています。
直接支払うとは
使用者が労働者に直接賃金を渡すということで、いわゆるピンハネ行為を防止することも一つの目的です。
全額を支払うとは
その時期に支払うべき義務のある賃金は、全額労働者に支払わなくてはなりません。
毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うとは
賃金は労働者の生活の基本となるため、毎月1回以上支払わなければなりません。また、「毎月25日支払」・「月末払い」のように、支払う日を決めなければなりません。なお、賃金支払日が休日に当たる場合は、繰下げても繰り上げて支払っても、一定期日払いの原則には違反しません。
ただし、「毎月末日」払いで、その日が休日に該当した場合には必ず繰り上げて支払わなければなりません。もし繰下げて支払うとなると、翌月1日の支払いとなってしまい毎月1回以上の支払いの原則に違反してしまうためです。
賃金は、数ある労働条件の中で労働者が最も重視し、同時に最も労使でのトラブルが発生しやすいといえるでしょう。労働トラブルを未然に防ぐためにも、賃金支払いの5原則が守られているか自社の支払い方を見直してみましょう。
給与からの天引きについて 2016.06.20
従業員に支払う給与を計算する際、税金などを“天引き”して、金額を決定します。その天引きには、どのような法的根拠やルールがあるか、きちんと押さえておくと、トラブルの防止に役立ちます。
法定控除について
まず、法によって納付が義務付けられているために、会社が労働者の了解を得ることなく天引き(控除)することが認められている費用があります。「法定控除」と呼ばれるものです。具体的には、以下の3項目があげられます。
・税金(所得税、住民税)
・社会保険料
・雇用保険料
これらは公的な制度であることが知られていますから、特に問題視している方はいないでしょう。
法定外控除について
注意したいのが、法定控除以外の名目で給料からの天引きを行う場合です。これについては、その内容を労使協定で定めておかなくてはいけません。労使の合意なしにレクリエーションのための親睦会費などを、勝手に天引きすれば違法行為となります。天引きする内容も、従業員の福利厚生に資するものに限られます。
親睦を深めることを目的とした社員旅行を計画し、その準備の一環として、積立金を控除する場合などは、問題ないでしょう。その一方で、業務上必要な備品や研修にかかる費用などは、原則として会社が負担するものと考えられているので、注意が必要です。
労使協定を結んでおくことは大前提ですが、新入社員や中途入社をする社員に向けて、入社手続きなどの折に、きちんと周知しておくことも重要です。天引きされている費用の内容・性質を、労使とも理解しているよう努めたいものです。
最低賃金制度について 2016.06.08
最低賃金制度とは最低賃金法に基づき、最低賃金(時給)額 を国が定めており、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払う義務がある制度です。最低賃金額は、毎年10月頃に見直しがされ賃金額の改定がされるのが通例となっています。
適用される労働者最低賃金は、パートやアルバイト等の雇用形態に関わらず、全ての労働者に対して適用されます。
算出方法最低賃金は時給額のため、月給や日給で支払っている場合は時給に換算します。①月給制の場合:月給÷1か月の所定労働時間②日給制の場合:日給÷1日の所定労働時間
例えば、東京の事業場で働く月給者で、月の所定労働時間が173時間の場合907円(東京最低賃金)×173時間=156,911円以上の賃金が支払われてなければなりません。ただ、諸手当含め総支給で超えていれば良いわけでなく、最低賃金を算出するうえでは除かなければならない賃金があります。
最低賃金の算出に含まれないもの以下の賃金は、最低賃金を算出する際には除かれ、そのうえで算出した時給額が最低賃金額を上回ってなければなりません。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当等)②1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)③時間外、休日・深夜労働の割増賃金④精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
最低賃金額以上の給与になっているかどうかは、労働基準監督署の臨検調査や、ハローワーク求人を提出する際にチェックを受ける場合が多いです。毎年、最低賃金額ギリギリの給与を支給している場合には、10月頃の最低賃金見直しや改定の動向には注意してください。
アルバイトやパートにも雇用契約書が必要か 2016.06.07
週に数日しか働かないアルバイトや時間の短いパートタイマーに対しても雇用契約書を取り交わすことが必要です。
根拠は、まず労働基準法第15条に、「労働条件の明示義務」が定めてあるからです。雇用契約期間や業務内容、勤務場所、賃金や退職に関する事項は、書面によりどのような従業員に対しても交付しなければなりません。逆に言うと、その書類を交付していないことで労働基準法違反になるということです。
また、その法律のあるなしに関わらず、雇用契約書は働く条件を記した書類ですから、トラブル防止のために取り交わすことをお勧めします。近年では、パートやアルバイトであっても残業代や休日休憩、解雇についてトラブルが多くなっています。
非正規雇用の割合が増えている今にあっては、パートやアルバイトでも労基法をはじめとした権利関係を知っており、その権利主張を強くするタイプの従業員と感情的な対立をしてしまうと、退職時に思わぬトラブルに発展してしまうかもしれません。
パートやアルバイトに対しては、とくに「契約期間及び更新の有無」「更新の判断基準」「職務内容」についてトラブルとなることが多いでしょう。専門家の力を借りながらしっかりとした書面を取り交わしてください。
ちなみに、労働条件の明示は会社側が一方的に行っても問題ありませんが、お互いが内容に合意したことを証拠として残すためにも、双方の署名や記名押印がなされた「雇用契約書」の様式になっていたほうがベターでしょう。
出張や社員旅行などで泥酔してけがをした場合の対応策 2016.05.27
労働者の仕事中のケガや病気については労災保険でカバーされますが、出張や社員旅行などの際に酒に酔ってケガなどをした場合は注意が必要です。
出張中の場合:
出張中は、その用務の成否や遂行方法などについて包括的に事業主が責任を負っているため、よほどの事情がない限り、出張過程の「全般について」事業主の支配下にあるとみなされます。そのため、出張中のケガや病気については労災補償の対象となることが多いでしょう。
ただし、労災には「業務起因性:業務が原因で被災した」ならびに「業務遂行性:業務を行っている最中だった」の二つの要件が必要ですので、どんなケガや病気でも出張中だからOKというわけではありません。
例えば過去の判例では、出張中の懇親会で酔っぱらって階段から落ちた事件について、「懇親会は仕事に付随したものだった」と認められて、労災事故となった例があります。他方で、同じく酔っぱらって二回の窓から用を足していて足を滑らせて転落したケースでは、労災として認められなかったこともあるようです。
社員旅行中の場合:
社員旅行の場合、「業務上」の負傷等であるか否かは、主催の目的、内容、参加の強制の有無、費用負担、運営方法から総合的に判断されることになります。一般的には、参加の強制がない場合には、特別な事情がない限り、社員旅行=労災とはならないでしょう。
飲酒については社会的な監視の目も強まっています。ハメを外し過ぎて事故にならないように気を付けましょう。
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