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交通費の非課税限度額について 2016.05.24
交通費として支給する金銭などについては、実費弁償的な意味合いが強いため、原則として所得税が課税されませんが、通勤距離、通勤手段によって非課税額にも限度が設けられます。なぜなら、非課税であることをいいことに、給与の多くを「交通費名目で」支払うというケースがあると困るからです。
非課税限度額は28年4月現在以下のように決まっています。
・交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当
⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)
・自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当
通勤距離が片道55キロメートル以上である場合 31,600円
通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合 28,000円
通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合 24,400円
通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合 18,700円
通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合 12,900円
通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合 7,100円
通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合 4,200円
通勤距離が片道2キロメートル未満である場合 (全額課税)
交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券
⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)
つまり、自動車で通勤している人について、片道10キロの場合は非課税限度額が7,100円となるため、その金額を超えて通勤手当を支払っても差額は課税対象となります。
ちなみに労災・雇用保険料の計算上、並びに社会保険料計算上は通勤費は算入されることにも注意が必要です。
社会保険適用事業所の定義 2016.05.20
マイナンバー制度の開始の影響もあり、社会保険未適用事業所に対する調査が多く行われています。そもそも、社会保険に入らなければならないのはどんな会社でしょうか。
適用事業所とは?
社会保険では、事業所を単位に適用されます。社会保険の適用を受ける事業所を適用事業所といい、法律によって加入が義務づけられている「強制適用事業所」と、任意で加入する「任意適用事業所」の2種類があります。
1.強制適用事業所
強制適用事業所は、次の(1)か(2)に該当する事業所(事務所を含む、以下同じ)で、法律により、事業主や従業員の意思に関係なく、健康保険・厚生年金保険への加入が定められています。会社側が選択をするものではありません。
(1)次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所
a製造業b土木建築業c鉱業d電気ガス事業e運送業f清掃業g物品販売業h金融保険業i保管賃貸業j媒介周旋業k集金案内広告業l教育研究調査業m医療保健業n通信報道業など
(2)国又は法人の事業所
常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所
法人の企業であれば人数に関わらず「強制適用」であることに注意が必要です。
2.任意適用事業所
任意適用事業所とは、強制適用事業所とならない事業所で日本年金機構(年金事務所)の認可を受け(つまり加入したいという意思表示をして)健康保険・厚生年金保険の適用となった事業所のことです。
加入には事業所で働く半数以上の人が適用事業所となることに同意してもらう必要があります。任意適用を受けた場合は、「社会保険加入に反対していた従業員も含めて」働いている人は全員〔被保険者から除外される人を除く〕が加入することになります。
労働保険の一元適用と二元適用とは何か 2016.05.16
毎年4月から3月までの1年度における労働保険(労災と雇用保険)を計算し、7/10までに申告納付します。この年1回の納付業務を「年度更新」と呼びますが、年度更新の方法が業種業態によって異なります。
労働保険の一元適用と二元適用
労働保険には一元適用と二元適用という2種類のタイプがあります。一元適用とは、「労災保険料と雇用保険料の計算方式が一緒であるタイプ」を指します。二元適用とは逆に、労災保険料の計算方式と雇用保険料の計算方式が異なるため、二元的に計算しなければならないタイプを指します。
原則的な計算方式
原則として労働保険料は次の計算式により求めます。
【賃金総額×保険料率】
つまり、その年度(4月~翌年3月)に支払った賃金総額に「労災保険料率」「雇用保険料率」をかけます。一元適用事業所は、労災・雇用保険ともにこの原則計算をするため、(労災保険対象の賃金総額×労災保険料率)+(雇用保険被保険者の賃金総額×雇用保険料率)という計算をします。
二元適用の計算方式
一方で二元適用タイプは、具体的には「建設業」「林業」などが該当し、「労災保険料」の計算が異なります。例えば建設業では、元請事業者がまとめて労災保険料を負担することになっています。また、建設業においては現場に複数の企業が関与していて、賃金総額を正しく把握するのが難しいため、元請として当該年度中に終了した工事の請負金額に労務費率をかけて賃金総額を求めるという例外が認められています。
多くの業種は一元適用ですが、二元適用に該当する事業の場合は特に計算方法に注意してください。
定年後再雇用の場合の給与その他労働条件について 2016.05.12
現在の法律では、定年は原則60歳を下回ることができません。また、労使協定により継続雇用者を選定できる一部の例外を除いて、「本人が引き続き勤務を希望した場合には」65歳まで継続して雇用しなければなりません。
この継続雇用について、継続雇用の際に給与などの勤務条件を変えることはできるでしょうか。
1、原則的には労使で合意すれば勤務条件変更は可能
定年を迎えることにより役職がから下りたり、加齢により業務遂行能力が低下したりすることが珍しくありません。その場合に、実態に合わせて給与を引き下げたり、勤務時間を短縮したりすることはむしろ適切な労務管理でしょう。再雇用の労働者の健康と安全にも配慮しながら相手にその旨伝え新しい賃金額についてしっかりと同意をえましょう。
2、勤務内容が全く変わらないのに一方的に賃金等条件を下げるとトラブルのもとになる
逆に、年齢により能力や職務遂行能力が大きく変わらない場合、またはやっている仕事が大きく変わらない場合などは、賃金をむやみに引き下げると感情的な対立臣トラブルになりかねません。
3、引き下げる場合でも根拠となる賃金規定を整備しておくと良い
賃金の引き下げの場合、あらかじめ定年前と定年後の賃金テーブルを作成しておき、60歳に達した後は定年後の賃金テーブルを用いることをしっかり周知しておけばトラブルの可能性を減らすことができるでしょう。
定年を迎えそうな社員がいる場合は、賃金額、就業規則や雇用契約書などをあらかじめ整備しておくことをお勧めします。
研修中の安全配慮について 2016.05.09
企業研修において、歩行、アウトドアなどの運動や、大声を出させるなどのいわゆる「体育会系」なものを行う場合、社員のキャラクターを見極めながら、健康と安全について注意をしたほうがよいかもしれません。
企業には労働者の安全に配慮する義務=安全配慮義務があり、受講者の体力を鑑みることなく過酷な研修を行った結果心身に不調をもたらした場合、企業側が「安全配慮義務違反」を問われる可能性があります。
会社の安全配慮義務違反に問われる条件とは、①社員が心身の健康を害することを会社が予測できた可能性(予見可能性)があり、②それを会社が回避する手段があったにもかかわらず(結果回避可能性)、何らの手段を講じなかった場合です。この場合に安全配慮義務違反となり、場合によっては損害賠償責任を負うことになります。
いわゆる体育会系の研修における安全配慮という観点で考えると、例えば「持病を持っている、体力が弱いなどの理由により過酷な研修はできないと当人から訴えられたにもかかわらず、」「別メニューを用意するなどの配慮をする余地があったのに」何も対策を打たなければ、労働安全衛生法上の問題が出てくる可能性があるでしょう。
チームビルディングのために多少は過酷な時間を共有することも大切でしょう。しかし近年はそういった体育会系の雰囲気について来れない新入社員も増えているため、何事もやり過ぎには注意が必要でしょう。
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