労務コラム

ドラッカーを読む会for美容室レポート   2011.07.21

こんにちは。カウンター&パートナーの柳原です。

今日は雨の影響もあり肌寒いです。久しぶりにホットコーヒーを淹れました(インスタントですが。)

皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

先日、恒例の「ドラッカーを読む会for美容室」を開催いたしました。

ご参加者は6名。いつもご参加下さっている美容室オーナー様の他に、美容業界のコンサルタントの方もお招きし、いつもとはまた違う議論が行われたと思います。

今回読んだのは「マネジメント」の「働く人と働くことのマネジメント」という章。古典的理論「マグレガーのX理論Y理論」「マズローの欲求5段階説」を皮切りに、報酬とやる気の関係や、スタッフ評価の方法についての意見交換がなされました。

 

今回の問いは「美容室にとって歩合制が最も正しいことを説明できるか?」

ほとんどの美容室において、多かれ少なかれ歩合制が取られていますが、そこを疑ってみようという試みです。出して頂いた意見は例えば以下のようなことでした。

 

【歩合制のいいところ】

売上を上げるスタッフとそうでないスタッフの公平性がある

人件費が全体の売上に対して柔軟である

 

【歩合制の悪いところ】

売上を上げられないスタッフの給与水準が低くなり、待遇不満から辞めてしまう

売上の高いスタイリストはアシスタントのサポート比率が高く、その売り上げに関与するスタッフ数を考えると、実質的な働き以上の評価をすることになる

スタイリスト同士でお客様の取り合いをする現象が起こる

売上成果に現れない貢献をしてくれているスタッフ(人間関係調整など)の評価ができない

 

私が「歩合制の悪いところを挙げてください」と尋ねたわけでもないのに、結果として歩合制の弊害に対する意見のほうが多かったように思います。

これはどういうことか。つまり『いまの歩合制にはオーナーご自身も納得していないが、変更に踏み切れない』ということだと想像しました。

 

さらに話題は、「歩合制に変わる給与体系の代案があるとすれば何か?」に移ります。

・完全固定給で、指名制を採用しない(実際にあるそうです。サロンのシステムとして毎回スタイリストが変わることをお客様にご説明するそうです)

・リピート時に歩合給が付くようにする

 

ここで改めて考えてみると、『全体接客』という理想と『個人売上歩合制』という現実的対処はそもそも矛盾しているということに気づかされます。

「オール面貸し形式」という極端な例ばかりでなく、基本給を下げて歩合比率を上げるという報酬体系の元で、全体接客なんて出来っこないというのは、果たして現場を知らない外部の意見でしょうか。

 

先日あるサロンにお邪魔したときに、スタッフさんの一人が印象的なことをおっしゃっていました。

「職場の仲間は家族より長い時間を共にするのだから、コミュニケーションがうまく取れない職場だと嫌だ」

 

もしオーナー様が「利己主義・個人業績至上主義」を嫌悪し、「チームで働くこと」を推奨するならば、「チームで動くことで個人主義サロンに勝つ理由」をひとつ真面目に考えなければなりません。

 

オール面貸し!?そんなので本当にいいのか!?

事務所で一人、モヤモヤしながら勝手に憤っています。以上ドラッカーの会レポートでした。

ご参加いただいたオーナー様、いつもありがとうございます。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。9月から大阪でも「ドラッカーを読む会for美容室」開催予定です。委細またご連絡します。

 

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