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傷病手当金と出産手当金のルールの変更について 2016.02.10
傷病手当金と出産手当金は、私傷病や出産によって働けない場合に出る休業保障の給付ですが、その支給のもとになる標準報酬月額の決定方法について見直しが検討されていました。これについて、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が改正され、変更されることが決定しました。
新しいルールは以下の通りです。
1、給付の日額計算の変更
今までは、休業開始時点での標準報酬月額÷30×3分の2という式で給付の日額を決定していましたが、平成28年4月からは「支給を始める日(以下「支給開始日」という)の属する月以前の直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額」に変わります。
2、改正の年月日
平成28年4月1日以降の支給金額が対象
これは、手当の額を大きくするために、意図的に一時給与を引き上げるという不正が一部で見られたためです。
つまり、本来は20万円くらいの給与をもらっていた人が、妊娠を機に一時的に30万円まで給与を上げて、30万円をもとにした出産手当金をもらうなどといったことができないようにするための改正であるということです。
標準報酬月額が定められている月が12ヶ月に満たない場合は、支給開始日以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額または支給開始日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の標準報酬月額を平均した30分の1に相当する額のいずれか少ない額の3分の2に相当する額になります。
いままでより実態に近い支給額になりますが、「いくら支給されるか」ということが休業してみるまでわかりにくくもなります。休む被保険者への説明は手間のかかるものになりそうです。
始末書のポイント 2016.01.12
社員がミスをして会社に何らかの損害を与えた場合、ペナルティー(懲戒)の一環として始末書を提出させることがあります。
この始末書の意義と、作成のポイントについて考えてみましょう。
始末書の意義
始末書は、本人に自らの態度を振り返り「勤務態度を改善して欲しい」がために書いてもらうものですが、「正当な懲戒処分であるという証拠」という意味も持ちます。
遅刻や欠勤など度重なる事実があったとしても、それがどの程度あったのか?本人はどのように反省しているのか?会社としては改善のために手を尽しているのか?そうした客観的な証拠、記録をする点で意義があります。
作成のポイント
前述の意義から考えると、作成を促す際には以下のポイントに注意しましょう。
・ミスの具体的事実が書かれてあること(5W1H=誰が、いつ、どこで、何を、どんなふうに、なぜ起きたかが明らかになっていること)
・改善策、再発防止のアイデアが具体的に書かれていること(例えば遅刻が多いというミスの場合、通勤電車の乗車時間を15分早めるなど)
・再発防止のアイデアについて、直属の上司のアドバイスを受けること(再発防止の方法について、上司とも話し合ったという状態を作り、改善に巻き込む)
始末書の保管方法
始末書は人事関連の書類、特に当人の履歴書や労働者名簿などの属人情報と一緒に、あるいは人事考課関係の書類と一緒に保管しておくとよいでしょう。
始末書はあくまでも同じミスを繰り返させないために書かせるものですから、会社はその意義をしっかり伝えていくことが肝心です。
最低賃金のあらまし 2016.01.12
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。最低賃金は、政府方針により毎年10月~11月に見直しがなされることが通例になっています。
最低賃金額より低い賃金で契約した場合
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
例えば、「著名な漫画家のもとでアシスタントとして働けるなら時給100円でもいいです」とアシスタントのアルバイトが同意していたとしても、雇い主は最低賃金未満で雇用することはできず、最低賃金でのアシスタント契約を結んだことになります。
使用者が最低賃金を支払っていない場合
使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。
最低賃金額を守っているかどうかは、①労働基準監督署の臨検調査、②政府の統計調査。③ハローワーク求人を提出する際などでチェックをうけることになります。
最低賃金ギリギリで雇用をしている場合、毎年10月ごろの最低賃金見直しはよく注意しておく必要があります。
罰則
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰金)が定められています。なお、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
最近の最低賃金の傾向
最低賃金は平成17年~平成27年の間で全国平均100円以上上がっています。生活保護など他のセーフティネットによる施策とのバランスを取るため、今後も最低賃金は高くなっていくことが予想されます。
高額療養費 2016.01.06
重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、健康保険の精度には一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。
自己負担限度額とは
自己負担限度額は、所得区分によって段階的に以下のように設定されています。所得区分の他、年齢によっても自己負担限度額が細かく設定されています。
①所得区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
②所得区分イ
(標準報酬月額53万~79万円の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
③所得区分ウ
(標準報酬月額28万~50万円の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
④所得区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)
57,600円
⑤所得区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円
自己負担額に算入するものとしないもの
保険外併用療養費の差額部分(高度医療にかかる差額金など)や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。
多数該当
同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が低くなります。
健康保険限度額適用認定証
あらかじめ長期入院などにより医療費がたくさんかかることが分かっている場合、高額療養費を「現物給付化」し、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができます。この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会の各都道府県支部に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に認定証と被保険者証を提出する必要があります。
健康保険の任意継続について
会社を退職したとき、健康保険については、1.任意継続健康保険、2.国民健康保険、3.ご家族の健康保険(被扶養者)のいずれかに加入する手続きをする必要があります。任意継続とは、もともと加入していた健康保険制度に退職後も加入することを指します。
任意継続健康保険の要件
任意継続をするためには以下の要件があります。
(1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
(2)資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
特に期限については十分に注意が必要です。
保険料
任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。また、扶養家族がいたとしても扶養家族の方の保険料はかかりません。
国民健康保険の保険料(税)は、前年の所得、世帯人数などに応じて決定されますので、前年の所得が多い、世帯人数が多いなどの場合には任意継続を選択したほうが保険料を抑えることができる可能性があります。
なお、任意継続の保険料は全額を自分が負担します(在職時には半額会社負担)が、標準報酬月額に上限が定められています(平成27年度は28万円となります)。例えば標準報酬が98万円の方が退職した場合でも、任意継続の保険料は28万円を基準に決められます。
給付の効果
在職中の保険証と同じように使用することができます。なお、傷病手当金および出産手当金は、任意継続の加入とは関係なく、在職中からの継続給付の要件を満たす場合に限り対象となります。
すぐ辞めた社員について、離職証明書(いわゆる離職票)を作らなければならないか 2015.12.11
雇用保険法上の手続きである「離職証明書」は、在職中の賃金額や退職理由などをいちいち記載しなければならず、手続きが多少面倒です。入社してすぐ辞めてしまった社員についても「離職証明書」を作成し、届出をしなければならないのでしょうか。
失業保険のルール:
自己都合で会社を辞める場合、基本手当(いわゆる失業保険)を受給するためには要件があります。被保険者期間が離職日以前2年間に12ヵ月以上なければ基本手当の受給要件に該当しません。つまり概ね1年以上勤めていない場合、せっかく離職票を作っても失業保険はもらえないように見えます。
離職証明書作成届出の基準:
原則論からすれば、資格喪失届に離職証明書を添付することになっており、基本手当を受給できるかどうか?は関係ありません。ですから、例えば被保険者期間が1ヵ月未満であっても交付義務はあります。
ただし、本人が離職票の交付を希望しないときは省略することが可能です。
(離職時の年齢が59歳以上のときは高年齢雇用継続給付との関連があるので、交付する必要があります。)
つまり、退職社員に作成希望の有無を確認し、必要ないと言われれば省略、ただし59歳以上だった場合は希望に関わらず作成するようにしてください。
基本手当がもらえないとは限らない:
ちなみに、1つの会社での在籍期間が1年未満でも、その前の雇用保険期間と合算できることがあります。直近の会社を1ヶ月で辞め、その前の会社を11か月で辞めた場合などは、二つの社歴を合算して基本手当がもらえることがあります。
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