労務コラム

産前産後休業保険料免除制度について   2017.12.20

産前産後休業保険料免除制度とは、出産前後の休業期間の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除される制度を言います。

今までも育児休業中の保険料免除はありましたが、それに加えて出産前後の期間についても会社、本人共に社会保険料が免除される制度が始まりました。以下制度について詳しく解説します。

 

産前産後休業期間

法律上、産前産後休業期間は以下の通りとなります。

 

・単胎妊娠の場合は、出産日以前42日(実際に出産した日が予定日を過ぎていた場合は、出産予定日以前42日)から、出産日後56日
・多胎妊娠の場合は出産日以前98日(実際の出産日が予定日を過ぎていた場合は、出産予定日以前98日)から、出産日後56日

 

育児休業期間

ちなみに、育児休業期間はこの「産後休業」が終わる日の翌日からスタートし、原則として子供が1歳まで(保育園には入れない、またはその他の事情により延長する事が可能)です。

 

免除期間・申し出期間

産前産後休業保険料免除は「産前休業が始まった日の属する月」から「産後休業の最終日の翌日が属する月の前月」までとなります。その期間中、申請により「会社負担分」「本人天引き分」がいずれも免除となります。なお、この申出は、産前産後休業をしている間に行わなければなりません。



免除の効果

免除された期間については、従前の標準報酬月額で保険料を納めたことと同じように取り扱われます。具体的にいうと、免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。



産前産後休業保険料免除制度は自動的に免除処理が行われるわけではありません。免除を受けるためには被保険者自身が事業所へ免除のを受けるための申し出を行う必要があります。

会社から、免除制度がということを産休前の被保険者に伝え、手続きをリードしてあげましょう。

出張の移動時間は労働時間か   2017.12.20

会社の出張となると、長時間の移動が発生してくることが多くなりますが、出張の際の移動時間は、労働時間とされるのでしょうか?

 

1 労働時間の定義

労働時間とは、「使用者または監督者の下で労務に服しなければならない時間」のことを指します。

キーワードは「指揮命令下」です。

労働者が使用者の下で労働するにあたり、使用者の指揮命令下にあって、行動が制限される時間であるかがポイントになります。直接「働け」と言葉で命令されているかということではなく、実態で指揮命令下にあるかを確認し労働時間であるかどうかを判断します。



2 出張の場合

出張の移動時間について、原則的としては労働時間としてカウントされないことが多いでしょう。

出張の目的は、あくまでも「出張先で業務を行うこと」であり、そのための移動は例え音楽を聴く、ゲームをする、食事をするなど私的な行動を制限されない時間なので、業務を行なうための「日常の出勤」と同じ性質のものと考えられ、基本労働時間とはならないのです。

 

3 労働時間になる場合

ただし、物品の運搬自体や物品の監視等について特別の指示がなされている出張などは、移動中においても物品の管理義務が生じるため、「業務中」(=労働時間)と考えられる事があります。重要な機密文書を運んでいる時も、緊張を強いることになるため、場合によって労働時間となる事があります。

出張だから一様に労働時間出ないと判断するのでなく、指揮命令下にある状態であるかを検討した上で、適宜賃金を支払うなど対処をしてください。

通勤手当の不正受給への対応   2017.12.20

通勤手当の不正受給とは、電車やバスで通勤すると申告しておきながら、実際には自転車や徒歩で通勤して、交通費を浮かしたり、 転居して会社までの距離が近くなった(交通費が安くなった)にもかかわらず、従前の遠い距離のままの交通費をもらうなどの労働者の行為を指します。給与総額が低い場合にこのような不正申告がおこる可能性が高まると言われています。この不正に対してどのように会社は対応すべきでしょうか。

 

通勤手当は義務か

そもそも、法律上、会社は必ず従業員に通勤手当を支払う必要はありません。通勤手当はゼロであっても問題ありません。ただし実際は、「通勤手当は当然払うもの」という慣習に従っている会社が多く、就業規則や給与規定などで通勤手当を支払う旨を規定しているから、通勤手当を支給する義務が生じているのです。

 

不正への対応

1 実費を超える金銭を返還させる

会社の規則で「実費を支給」といっている場合、実際には電車を利用せずに費用がかかっていないなら、電車代を支給する必要はありません。すでに支給してしまったものは、民法703条の「不当利得の返還義務」により、返還させることができ、民法167条「債権等の消滅時効」により、時効は10年ですから会社は、10年前までさかのぼって返還させることができます。

 

2 懲戒処分

徒歩や自転車で通勤していながら、会社には電車通勤と申請して電車代をもらうのは、故意に会社に金銭的損害を与えることになりますから、就業規則などに明確に記入してあれば、規定に従って懲戒処分(ペナルティーを与えること)できます。不正な通勤手当受給を「なあなあ」にして懲戒をしないでいると、いざ悪質な不正があった時に「過去には懲戒をしなかった事」が会社にとって不利になる事があります。しっかりと懲戒し、戒める方が良いでしょう。

年金受給資格期間の短縮について   2017.12.20

平成29年8月1日より、「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律(年金機能強化法)」が開始され、老齢年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されました。この法改正により、今まで「加入期間が足りないから」という理由で年金の受給を諦めていた人の中から、新たに受給資格を得る者が出ることになります。

 

受給資格期間とは

年金の受給資格期間とは「保険料納付済期間」「保険料免除期間」「合算対象期間」の合計期間を指します。簡単な言葉で言い換えると「①保険料を納めた期間、そして②保険料を経済的理由などから納められないことを届出して免除された期間、そして③年金が任意加入任意加入でよかった人が加入しなかった期間などを足した合計の期間」ということになります。

 


25年から10年への短縮がもたらすもの

受給資格期間が25年だとすると、極端な話保険料の納付期間が24年と11か月以下の人は、受給年齢に達していても年金を原則1円たりとも受け取れず、今まで支払ってきた保険料は全て掛け捨てになっていました。

 

年金受給資格者期間が短縮されることで、今までより年金を受け取れる国民が増え、貧困から逃れることができると言われています。月に使えるお金の量が増えると、何かしら経済活動が行われるため、その分経済効果も期待することができます。

 

滞納防止の意味もある

期間が25年であった時は、「払ってもどうせ25年に足りないから無駄」と保険料を滞納する方がいたのに対して、10年に短縮することによってより多くの方が保険料を支払うようになることも期待されています。

対象になりそうな労働者を雇用している場合は、会社側としても保険料納付を促すことがオススメです。

深夜の割増賃金とは   2017.12.20

割増賃金には、いわゆる「残業代」のほかに深夜労働に対して支払われる「深夜手当」というものがあります。

夜中に働くことは労働者の健康を害するため、労働基準法に置いて深夜労働の割り増しを事業主に義務づけることにより、深夜の労働を抑制しています。

 

深夜とはいつからいつまで?

労働基準法では、午後10時から翌午前5時までを指します。

 

割増率

この深夜労働に対する割増賃金(深夜手当)の割増率は、労働基準法上、基礎賃金 の25%増以上とされています。

 

基礎賃金の考え方

基礎賃金の考え方は、残業の基礎賃金と同じです。つまり、「限定列挙」により基礎賃金から除く事ができる手当が決まっており、それ以外は全て基礎賃金に含めなければなりません。

 

限定列挙されている手当は、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時の手当、1ヶ月を超える期間ごとに払われる手当です。

月給者の場合、基礎賃金を時給単価に換算して、その単価に割増率をかけて計算をします。

 

法定時間外の深夜労働

昼間の法定労働時間を超えた場合には時間外労働手当(いわゆる残業代)を払う必要がありますが、残業が午後10時~翌午前5時までの間(深夜)にまでおよんだ場合、通常の残業代25%割増に加えてさらに深夜割増率手当を加算しなければなりません。

法定休日+残業+深夜の場合

法定休日に出勤し、その法定休日に午後10時から翌午前5時までの間に深夜 労働をしたという場合、休日労働であると同時に、深夜労働も行っているとい うことになります。この場合、休日については「所定労働時間」という考えがないため、8時間を超えたからといって25%割り増しは必要ありませんが、全ての時間について35%割り増しをする必要があります。

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