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給与支払日の変更について 2015.01.23
給与計算事務処理や資金繰りなどの便宜性の理由から給与締切日や支払日を変更したい場合、就業規則の変更をすることで変えることができますが、従業員とのトラブルを防ぐために以下の点に注意する必要があります。
1、従業員の家計に支障がないようにする
給与の支払日を変更する場合、従業員の家計に配慮する必要があります。毎月の住宅ローンなどの引き落とし時期など、給与振込日が変わることで迷惑がかかる従業員がいないか確認をしましょう。もし不都合があれば、個別に会社が貸付を行うなどのケアを検討してください。
2、毎月1回の給与支払いが確保されるようにする
労働基準法上「給与は毎月1回以上、一定時期に支払わなければならない」と決められていますので、例えば毎月25日支払いを「翌月の10日支払い」に変更する場合、変更前の月に給与が支払われなくなるなどの事態が起きないようにしなければなりません。この場合も「先に半月分計算して支給する」などの対策が必要です。
3、社会保険・雇用保険の手続き上の留意点
社会保険上、給与の支払日を基準に対応月が決まりますので、月をまたぐ給与支払日の変更をすると手続きが煩雑になります。特に4月から6月は社会保険の算定基礎月に該当し、事務処理手続きが煩雑になるため、この期間での変更はできるだけ避けた方がよいでしょう。
また、雇用保険の離職証明書(いわゆる離職票)の作成方法にも給与の締日支払日が影響します。専門家のアドバイスを受けながら正しく作成をしてください。
時間外の研修時間に給与を支払う必要があるか 2015.01.21
会社が従業員に対して時間外に研修を行った場合、たとえその時間に作業をしていなくても給与を支払わなければならない場合があります。給与支払いの必要があるかどうかついては、以下の点によって決まります。
- 強制参加の研修であれば給与支払いの必要あり
強制的に参加をさせている研修であれば、会社の「指揮命令」によるものですから、その時間は労働時間となり、給与支払いの義務が出てきます。
- 強制参加としてなくても「参加が暗黙のルール」であれば給与支払いの必要あり
任意で参加する研修であったとしても、「実質的には強制されているのと同じ」状態であれば、その研修時間はやはり労働時間となります。過去の裁判では「会社の黙示的な指示があると認められるときには、労働時間として取り扱う」と言う解釈がなされています。黙示的指示があったかどうかを判断する基準は以下のものがあります。
l 参加する従業員の仕事内容とどれだけ関連しているか
l 労働安全衛生法など法令に基づいて実施するものであるかどうか
l 参加しないことにより不利益な取り扱いがあるかどうか
研修に参加しないことが給与査定に影響したり、罰金などペナルティーがあった場合、表向きは強制でなくても実質的に参加を強制されていると見なされます。
逆に言うと、研修時間を「労働時間」としないためには、就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる出席の強制をせず、「従業員側から自発的に申し込む書類を提出してもらう」など、自由参加であることを示す状況を整えましょう。
パワハラの定義 2015.01.09
パワハラとはパワーハラスメントの略で、厚生労働省によると「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されています。「職場内の優位性」は必ずしも上司の部下への優位性だけに限らず、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれるとされています。
会社は広く「働く人の安全に配慮する義務」がありますから、パワハラ状況があることを知りながら放置できません。パワハラが原因でうつ病などのメンタルヘルス不調を引き起こした場合、会社がその責任を問われる可能性があります。
職場のパワーハラスメントは、次のような例示がされています。
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
熱血指導のあまり行き過ぎた言動が見られる場合は、会社はフォロー役の人員を配置したり、苦情窓口を設置したりなど「そのストレス(上司・部下両方のもの)を解消・軽減するための施策」を講じ、事故が起こることを未然に防ぐようにしましょう。
整理解雇の対象者の選び方は会社の自由でよいか 2015.01.07
経営状態が悪化し、整理解雇などの人員整理が必要になった場合、その整理解雇の相手を会社が任意に選ぶことはできるでしょうか。
整理解雇の正当性について争うときは、判例で確立された次の4つの要件をもとに判断されます。
1、経営上の必要性
まず、「経営上整理解雇が本当に必要なのか」という点です。必要性の程度ですが、必ずしも「整理解雇しないとすぐに会社が潰れてしまう」までの緊急度までは求められず、例えば「不採算の部門があり、残しておくとこの先ずっと赤字を垂れ流しになってしまうから」という理由であっても大丈夫な場合もあります。財務状態や市場動向などの数値で必要性を説明できることが大切です。
2、解雇回避努力の程度
解雇は従業員にとっては一大事ですから、他の部門に異動させるとか、ワークシェアを試みるとか、他のコストカットを頑張るなど「解雇をできるだけ避けるために努力した実績」が必要です。
3、対象者の選び方の合理性
ここが表題の疑問に対する部分です。対象者選びについて会社の意向があるのはもちろんですが、「ただ何となく働きが悪い」「上司に楯突くから目障りだ」などの理由では合理性は認められないでしょう。特定の従業員の働きぶりが悪いなら、その「働きぶりの悪さ」を説明できるだけの証拠を揃えなければなりません。
4、会社が説明責任を果たした程度
整理解雇に至るまでに、「なぜ整理解雇が必要なのか」などについて誠意をもって話し合うことも必要です。
整理解雇については心苦しいことですが、専門家などの意見を聞きながら十分な準備をして臨むことが大事でしょう。
インターンの学生は労働者か? 2014.12.26
昔に比べてインターンシップ制度が一般化してきました。インターンシップは学生にとって在学中にリアルな職業体験ができること、会社の社風や雰囲気が体験できることなどから、今や就職活動の一環として積極的に使われています。
また企業側も、CSR(社会的責任)の面から、またはミスマッチによる早期退職などを防ぐためなどの理由からインターン学生受け入れを積極的に行うことが多くなっているようです。ところが、中には「職業体験」とは名ばかりで、実態は労働者として作業をさせているケースもあり、社会的に問題視されています。
インターンシップにおける学生の労働者性の有無の判断基準は、厚生労働省が以下のような通達を出しています。
『一般に、インターンシップにおいての実習が見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者には該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある』(平成9・9・18 基発636号)
つまりインターン中にやっていることが「直接生産活動をしている」と見なされる場合は、もはや職業体験でなく、「労働」であるという解釈になっています。人事の担当者はインターン内容が「労働であるかどうか」を慎重に検討しなければなりません。
労働者であるか否かによって、以下の点で違いがあります。
1、賃金の支払い義務
労働者であれば労働基準法や最低賃金法による給与の制約があります。労働者であれば「無給」や「最低賃金以下」の給与で働かせることができません。
2、労災の適用
労働者の場合は、労災保険の適用となります。インターン中のケガや通勤途中でのケガなどについて労災保険の補償が受けられることになります。
インターン学生受け入れについては、専門家の意見を聞きながら適法に行ってください。
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