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賃金の定義について 2014.05.12
1、 賃金の定義について
賃金とは、正確にどういった定義がなされているかご存知でしょうか?通勤手当って賃金になるの?お客様からもらったチップはどうなの?と言った疑問をお持ちになったことはございませんか?
労働基準法11条では「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者支払うすべてのものをいう」とされています。つまり、「労働の対価」として使用者が労働者に支払うもの全てを賃金と呼びます。
また、賃金の支払い方に関しても労働基準法第24条1項および2項で取り決めがされています。これを賃金支払いの5原則とも呼び、具体的には下記のようになります。
~賃金支払いの5原則~
【1】 通貨払いの原則:賃金は通貨で支払うこと
【2】 直接払いの原則:賃金は直接本人に支払うこと
【3】 全額支払いの原則:賃金はその全額を支払うこと
【4】 毎月1回以上払いの原則:少なくとも毎月1回は賃金を支払うこと
【5】 一定期日払いの原則:賃金は「毎月25日」というように、その支払期日を特定すること
~例外~
ここでお気づきになったかたもいるでしょうが、「【1】通貨払いの原則」は、守られていませんよね?おそらく、大多数の方が銀行振り込みになっていると思います。また、旅行積立金など給与から天引きされているとしたら、「【3】全額支払いの原則」に反してしまいます。
ところが、そのことが労働基準法違反になってしまうかというとそういうわけではございません。
本人の同意を得ることを条件に賃金の銀行振り込みが認められていますし、労使協定を締結した場合に、旅行積立金などの給天引きが可能となる為です。そのほか、法令に定めのある所得税、住民税、社会保険料などの天引きも含め、これらを「賃金支払いの5原則の例外」と呼びます。
2、 使用者には給与明細の発行義務
給与を支払うという行為は、法律上「賃金債務を弁済する」ということになります。弁済である限り、「そのお金が何に支払ったものか」を明示する必要があるため、給与明細を発行する必要があるわけです。また、働いている社員からすれば、合計額を見ただけではどれが基本給で、どれが手当で、どれが残業代なのかがわかりません。就業規則や賃金規則のとおりに支払われているか社員がチェックするために、給与明細が必要になると理解しておいてください。
また、賃金規定に残業代として手当を支払う定めがあるにも関わらず、給与明細に手当を支払った記載が明示されてない場合、従業員側から手当が未払いなのではないかと主張されてしまう可能性が出てきます。残業時間に対して、いくら支払っているかを証明として残すためにも、給与明細を発行することは必ず行ってください。
仕事の受注が急に減った場合に、契約社員に辞めてもらう際の注意点 2014.03.13
社会情勢、経済事情などで仕事の受注等が急激に減った場合、契約社員の契約満了前に契約解除を申し入れるなどの方法で人件費負担軽減を行わざるを得ないことがあります。
この場合、原則としては(たとえ社会情勢など周りの環境が原因だとしても)「会社側の都合」とみなされるため、相応の補償をする必要があります。
まずは合意を得るよう努力すること
まずは真摯に会社の現状を説明し労働者の合意を得るよう努力することが先決です。
しかし、もちろん労働者の生活にも配慮をしなければ合意を得ることは簡単ではないでしょう。
そこで合意をしてもらうための条件として金銭面での補償を申し出ることになります。
金銭補償の判断基準
・休業手当
金銭補償の金額の一つの判断基準に「休業手当」があります。
会社都合で自宅待機を命じた場合などは、労働基準法上社員の保護をする意味で休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要となります。
契約残存期間分「会社都合で自宅待機を命じた」とみなし、本来の60%の給与額を補償額として提示することには一定の合理性があると言えるでしょう。
・有給休暇の残業日数
契約解除を行う社員に有給休暇が残っている場合は、この残日数の処理をどうするのかも交渉するうえでポイントになります。
有給休暇残日数分の賃金を補償額の一つとして提案することも相手方説得のためには有効でしょう。
・解雇予告手当相当分
労働基準法上の解雇予告手当(平均賃金の30日分)を補償額の判断基準として考えることができるでしょう。
上記を参考にしつつ、金銭解決に用意できる金額上限と照らし合わせながら検討をしてください。
合意を得ることができたら
会社側の提案を社員が受け入れた場合は、(合意が得られた時)トラブルにならないという証明として、「退職届」もしくは、「退職同意書」を回収しましょう。」
国民健康保険+厚生年金という組み合わせの社会保険 2014.03.11
法人事業所、および、常時5人以上の従業員を雇用する事業所は強制的に「協会けんぽ等健康保険と厚生年金保険」=いわゆる社会保険が適用されます。従って、これらの事業所に勤務する場合には、本来は厚生年金にのみ加入することはできません。しかし、例外的に健康保険の適用除外申請を提出し、認可が下りれば厚生年金にのみ加入出来るケースもあります。
健康保険の適用除外申請が出来るのは、個人事業としてすでに国民健康保険組合に加入していて、法人成りをするケースです。この場合には、所属する国民健康保険組合から証明をもらった申請書を管轄の年金事務所へ提出します。承認が得られれば、「国民健康保険+厚生年金」のセットで加入が出来ます。
国保と健保は、それぞれ特徴があります。
健康保険は保険料が高い分、手厚い給付が受けられます。一方、国保組合運営の国保は、保険料が安く、従業員の保険料を会社が折半負担しなくてよいなどのメリットがあります。
<健康保険の特徴>
・保険料は給料に応じて変動する。高い。
・毎年改定される。給与変動に伴う改定もある。
・傷病手当金、出産手当金がある
・会社を辞めた後の任意継続制度がある
・健保組合の場合、上乗給付がある場合があり、給付が手厚い
<国民健康保険の特徴>
・保険料は保険者(市町村)の財政に左右される
・国保組合は保険料が安く、市町村は高い傾向にある
・傷病手当金と出産手当金がない。健保に比べると給付が少ない
市区町村が保険者の国民健康保険に加入している場合は、「協会健保健康保険+厚生年金保険」に加入しなければなりませんが、現在国保組合に加入しているのであれば、保険料が安い傾向にあるので、適用除外申請を検討してみても良いでしょう。
また、給付内容が健保と国保では違うため、適用除外申請を行う際は、社員へ国保組合へ引き続き加入することの説明を行いましょう。
社員が勤務中に倒れた場合労災は適用されるか 2014.03.05
仕事中に脳疾患・心臓疾患などで倒れてしまった場合、会社としては、まず労働者の安全確保や救急の手配をしなければなりませんが、その病気と仕事に因果関係が認められている場合は、当該病気について労災が適用となりえます。
原則として、突然倒れてしまうような脳梗塞や心筋梗塞などの、長年の生活習慣や食生活が大きく影響する病気については、その生活習慣や既往症、ならびに直前の勤務状態等を総合的に判断することになります。
会社として注意しなければならないのは、やはり「病気と「過労」との間に相当の因果関係が認められる場合」です。長時間の残業や休日出勤が続いた結果倒れてしまった場合、労災認定をされ、さらに会社の損害賠償責任が生じる可能性もあります。
脳疾患・心臓疾患に対する労災認定基準は次の通りです。
- 発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的・場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇してこと。
- 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと。
- 発症前の長時間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと。
なかでも最も明確な判断指標が労働時間(残業時間)です。
現状、月に45時間以上の残業が発生すると、脳疾患や心臓疾患発症の「関連性が強まる」とされています。
残業時間について、2~6か月平均で80時間以上か、1か月に100時間以上となると「関連性が強い」とみなされます。
会社には「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」という安全配慮義務があり、損害賠償責任が発生しうるのはこの安全配慮義務違反が認められる場合です。
安全配慮義務違反を問われないよう、会社としては適切に労働時間を把握管理する必要があることを心がけましょう。
労災保険未加入中の労災事故 2014.03.04
労働者を1人でも雇っている事業主は労災保険の加入手続きを行わなければなりません。この労災保険手続きを行っていない場合、事故発生で思わぬ費用を払わなければならないことがあります。
労災保険の加入手続きとは、「労働保険関係成立届」を労働基準監督署に提出することですが、この手続きを行っていなかったとしても、労災事故が起きた場合は「労働者保護の観点」から保険は適用されます。つまり労働者は労災保険の給付を受けることができます。
では、事故が起きるまでは加入しなくても良いのではと思ってしまうかもしれませんが、未加入時に事故が発生した場合、会社に対してペナルティが課せられます。
パナルティは遡って保険料を徴収する他に、給付を受けた金額の40%又は100%を事業主から徴収します。
<「故意」に手続きを行わなかった場合>
労災保険の加入手続きについて行政機関から指導等を受けたにも関わらず、手続きを行わない期間中に事故が起きた場合、「故意」と判断されます。「故意」と判断された場合には、保険給付額の100%が徴収されます。
<「重大な過失」により手続きを行わなかった場合>
労災保険の加入手続きについて行政機関から指導等は受けていないものの、労災保険の適用事業となってから1年を経過し、手続きを行わずに事故が起きた場合、「重大な過失」と判断されます。この場合には、保険給付額の40%が徴収されます。
例:行政機関から加入の指導は受けていなかったが、労災加入手続きを行っていなかった会社で、賃金日額1万円の従業員が労災事故で死亡し、遺族に労災保険から遺族補償一時金が支給された場合。
遺族補償一時金(1万円(賃金日額)×1000日分)×40%=400万円
ペナルティの額が想像以上に高額になることもあるので、未加入の場合は早急に手続きを行いましょう。また、労災保険は場所ごとに適用になるので、支店を開設した場合の手続きも忘れずに行いましょう。
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