労務コラム

パートの残業代計算の注意点   2014.02.21

パートタイマーの給与支給について、1日8時間、週40時間までは、通常の時給支払で問題ありませんが、越えた場合は割増賃金の支払いが必要となります。

正社員の残業管理を行っていても、パートやアルバイトの残業は見落としがちです。パートの給与計算を行う際に「月の総労働時間×時給」と計算していないでしょうか。総労働時間のみで単純に計算してしまうと、1日8時間以上、週40時間以上働いた場合には未払い賃金が発生してしまいます。

 

<計算例1>

時給1000円、通常6時間労働、1日10時間労働した場合。

1000円×8時間=8000円

1000円×2時間(8時間を超えた分)×1.25(割増賃金)=2500円

計:10500円

 

通常労働時間は6時間ですが、法定労働時間の8時間までは通常の時給で問題ありません。

8時間を超えた2時間分が割増賃金の対象になります。

 

<計算例2>

時給1000円、月曜日から土曜日まで毎日7時間労働した場合。

6日×7時間=週42時間

1000円×40時間=40000円

1000円×2時間(40時間を超えた分)×1.25(割増賃金)=2500円

計:42500円

 

1日8時間を超えていないため日の割増賃金は必要ないと思われがちですが、週42時間となる為、2時間分の割増賃金が発生します。

 

掛け持ちでパートをしていた場合、法律上は各労働時間を合算しなければなりません。A事業所で4時間労働した後、B事業所で5時間労働した場合には、B事業所は1時間分の割増賃金の支払いが必要となります。

高校生、大学生をアルバイトとして雇う時の注意点   2014.02.20

20歳未満では、未成年ということで両親や行政が関係する部分もあり、年齢区分ごとに(高校生と大学生の年齢による区分)特別の規制がありあす。

高校生ですと18歳未満で年少者となり、大学生は、20歳未満者で未成年者となります。

 

高校生のアルバイトについての制限:

高校生のアルバイトでは、

1、年少者の「年齢証明」の備付義務があります。

2、残業(時間外・休日労働)、深夜業(午後10時~翌朝5時)をさせることが原則としてできません。

3、一定の危険有害業務(重量物や安全・衛生上危険な業務)をさせることができません。

 

労働社会保険について:

また、学生の雇用保険と社会保険についてですが、「学生で、親の扶養に入っているのだからいずれも入らなくてよい」という訳ではありません。

学生アルバイトでも下記の条件を満たしていたら保険加入となります。

 

・雇用保険

夜間学生で、週20時間以上、31日以上の雇用見込みがある場合は加入します。

※ただし、昼間学生は、原則対象外となります。

 

・社会保険

通常勤務する正社員の労働時間、労働日数の4分の3を超えていること。

扶養家族の認定基準は収130万円未満なので、その金額を超えていること。

以上の場合は社会保険に加入しなければなりません。

 

・労災保険

また、学生アルバイトでも労災保険の対象になります。労災保険は保険料の個人負担はありませんが、労働保険年同更新時の労災賃金総額に学生アルバイトの賃金も加える必要があります。

退職社員に守秘義務のことを徹底させるにはどのようにしたらよいか。   2014.02.18

守秘義務(しゅひぎむ)とは、

一定の職業や職務に従事する者・従事した者に対して、法律の規定に基づいて特別に課せられた、「職務上知った秘密を守る」べき法律上の義務のことです。

 

まず、対策として、考えられるのが「退職時に守秘義務誓約書」を結ぶことです。

ですが、守秘義務誓約書だけでは、情報漏洩による損害賠償を請求することは不十分です。

 

不正競争防止法において、情報漏洩による損害賠償請求は、

「守秘義務の対象となる秘密情報が特定され管理されていること」が要件と定めてあります。

 

そのため、秘密情報が適切に管理されていなければ、保護の対象ともなりません。

誓約書を結んだ社員もどこまでが秘密情報なのかわからないことになります。

 

会社は守秘義務の内容を定めた秘密管理規定を整備し管理をすることが必要になります。

 

 

「秘密管理規定」に下記の事項を最低限として定めるべきものとされています。

 

  1. 秘密の対象となる情報の特定
  2. 秘密情報の管理、表示方法
  3. 秘密情報の管理者、取扱権限者

 

 

以上、秘密義務についてでした。

管理職に残業代を支払わなくてよいか   2014.02.05

「管理職には残業代を支払わなくてもよい」と巷で言われていますが、本当にそうなのでしょうか。

この残業代支払いの必要性は、管理職の方が、労働基準法上の「管理監督者」に当たるかどうかによってことなります。

 

管理監督者は、経営の管理的立場にある者又はこれと一体をなす者をいい、労働時間や休憩、休日について適用除外が認められています。

しかし、実態としての権限がない「名ばかり管理職」には賃金の支払いが必要になります。また、法律で定められている管理監督者に該当する場合でも、深夜労働(午後10時から翌朝5時)には割増賃金の支払いが必要となります。

 

管理監督者として認められるか否かについては、次の4点から判断されます。

①    重要な職務内容を有しているか

②    重要な責任と権限を有しているか

③    現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないものか

④    賃金について、その地位にふさわしい待遇がなされているか

 

①②については、人事考課を行う、業務の指示をする等も判断の要素になります。具体的な内容としては、労務管理を行う立場にある者であって「部下がいない課長」などは管理監督者に該当しないことが多いでしょう。

③については、遅刻や欠勤などで賃金を控除されたりしている場合には、同管理監督者に当たらないことが多いです。ただし、出退勤の時刻記載を義務付けていたことをもってすぐに管理監督者ではないというわけではありません。会社には安全配慮義務がありますので、管理者の健康に配慮して出退勤時刻の把握及び管理は必要だからです。

④については、一般社員と管理職の間で明確な賃金差が必要とされます。管理職昇格したら、残業手当が出なくなり、一般社員の時よりも給与が下がってしまったというような逆転現象がある場合はまず管理監督者として認められないでしょう。

 

 

現在の基準で管理監督者として認められる社員は。きわめて少ないと言えます。中でも、労働時間について出退勤の制約がないのは、役員クラスの一部だけです。

そのため、管理監督者として認められなかった場合を見越した対応が必要となります。一つの案としては、管理職には、残業代相当の管理職手当を支給することです。こうすることによって、管理監督者として認められなかった場合に未払い賃金を請求されたとしても、一定の残業代は支給していることになります。

 

 

 

社員が受けさせなければならない健康診断   2014.02.03

会社に実施義務のある健康診断は、【一般健康診断】と【特殊健康診断】に分けられます。

 

<一般健康診断>

①雇入時の健康診断:労働者雇入れの時

②定期健康診断: 1年以内ごとに1回

③特定業務従事者の健康診断:深夜業に配置替えの際、6月以内ごとに1回

④海外派遣労働者の健康診断:海外に6ヶ月以上派遣するとき、帰国後国内業務に就かせる時

⑤給食従業員の検便:給食の業務に従事する労働者の雇入れの際、配置替えの際

 

<特殊健康診断>

石綿などの特に有害な業務に従事する労働者に実施

 

 

年1回の健康診断以外にも、会社には健康診断の実施義務があります。健康診断を実施しない場合、会社は労働安全衛生法違反によるペナルティーを科せられるほか、健康診断を受けさせなかった結果労働者が病気になった場合には損害賠償責任が生じる可能性があります。

また、たとえ健康診断を実施していても、健康に異常が見つかった社員を放置した場合は責任を問われる可能性があります。異常があった場合には、再検査や休暇などの措置を行う事が必要です。

 

【健康診断費用はだれが負担すべきか】

行政通達によると、労働安全衛生法により実施を義務付けている以上、健康診断の費用負担は当然会社がすべきとされています。

 

一般健康診断中の賃金の支払いについては、法律で定められていません。会社と労働者が協議して決めるべきとされています。しかし、実施義務が会社にある以上、給与は支給したほうが望ましいでしょう。

特殊業務従事者に対する特殊健康診断については、業務との関連性が強いため、労働時間内に行い、賃金を支払うべきとされています。

 

健康診断実施は法律上求められていることでもありますし、労働者の健康に配慮している会社の意思表示手段としても有効ですので、受診をしていない場合は今後の受診をしましょう。

 

 

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