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管理者の割増賃金について 2013.04.26
Q、管理職者には割増賃金は不要なのか。
A、実態が一般社員と変わらなければ、割増賃金を支払う必要があります。
(解説)
労働基準法第41条で次に該当するものは、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないこととされています。
① 農業・水産業に従事する者
② 監督または管理の地位にある者
③ 機密の事務を取り扱う者
④ 監視または断続的労働に従事する者(労働基準監督署長の許可が必要)
つまり、②に該当する管理職者に「割増賃金を支払わない」ということを就業規則で明記しておけば、時間外労働や休日労働を行わせても、会社は割増賃金を支払う必要はありません。
【監督者・管理者】
そこで、41条に該当する「監督または管理の地位にある者」と認められるかが問題となります。「監督または管理の地位にある者」とは次の要件を満たすものをさします。
① 労務管理について経営者と一体的な立場にあること
② 出退勤の時間が厳格な制限を受けてないこと
名称ではなく実態で判断します
名称では管理職者であっても、実態は①②に該当しなければ、労働時間等の規定は適用除外となりません。仮に、就業規則に管理職者に「割増賃金を支給しない」と規定していても、時間外労働や休日労働を行わせれば、割増賃金の支払いが必要です。
→管理職者に割増賃金を支払わない場合には、相応の手当を支給することが望ましいでしょう。昇給したら、給料が目減りしたなどという結果を招かないよう、十分な配慮が必要です。
以上、管理者の割増賃金についてでした。
減給の上限について 2013.04.26
Q、減給制裁に上限はないのか。
A、上限はあります。平均給与の1日分の範囲内で、かつ月給の10分の1以内でなければなりません。
(解説)
【ノーワーク・ノーペイの原則】
ノーワーク・ノーペイの原則とは「労働なければ賃金なし」という原則です。会社は社員に給料を支払っています。社員は給料をもらう代償として、労務を提供します。このような双務契約ですから、労務の提供がない部分については、賃金を支払う必要はありません。
しかし、減給には上限があります。なぜなら、給料は社員の生活基盤を支えるものだからです。無制限に減給をしてしまうと、社員の生活が不安定になってしまいます。
減給の上限(労働基準法91条)
① 1回の額が、平均賃金の一日分の半額を超えないこと
② 一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の合計が総額の10分の1を超えないこと
※法定の上限を超える制裁は、超えた部分につき無効とされます。なお、遅刻や早退の時間に対する賃金を支払わないことは、「制裁」とならないので、制限はありません。
【例】20分遅刻した場合に月給の3分の1を減給した。
労働基準法違反で無効な処分となります。しかし、すべて無効ではなく、法定内の部分の減給は有効です。平均賃金の1日分の半額以内で、月給の10分の1以内の減給は可能となります。
→減給は効果的な制裁方法ですが、運用は慎重に行う必要があります。就業規則等制裁規定を設ける場合は、制裁される具体的な項目の適否を事前に調べておくと良いでしょう。また、減給規定については、その額についてきちんと定めておくことも大切です。
以上、減給の上限についてでした。
裁判員制度について 2013.04.26
Q,従業員が裁判員に選出された場合、どのように取り扱えばよいか?
A,
裁判員に選出された場合、原則として拒否できないため、会社は公務に必要な休暇を与えなければなりません。但し有給にするか無給にするかは会社毎に定めることができます。
(解説)
平成21年5月21日から、裁判員制度がスタートしました。
裁判員制度とは、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪といった、一定の重大な犯罪における刑事裁判で、事件ごとに無作為に選ばれた国民が、裁判員として裁判官とともに審理に参加する、日本の司法・裁判制度をいいます。
20歳以上の国民であれば、だれしも裁判員に選出される可能性がありますが、この裁判員に選出された場合、原則としてこれを拒否することはできません。
(※ただし、義務教育を修了しない者、禁錮以上の刑に処せられた者、一定の公務員・法曹など法律関係者・警察官、くわえて被告人・被害者の関係者、事件関与者、さらに直近の裁判員従事者など、一定の者は除かれます。)
単に「仕事が忙しいから」という理由で、制度への参加を拒否することはできず、正当な理由なく拒否した者については、罰金や過料の罰則規定が適用されることがありますので注意してください。
(取扱い方)
労働基準法第7条は、労働者が「公の職務を執行するために」必要な時間を請求したときには、使用者はこれを拒んではならないとしています。
裁判員としての裁判への参加はこの「公の職務執行」に該当するため、裁判員制度参加に係る休暇を与える必要があり、またこれを理由として使用者が労働者に対して解雇その他不利益処分をすることはできません。
(賃金について)
裁判員として裁判に出席した者には、法で定められた一定の旅費や日当が支払われますので、会社が休暇を与えたその日の分まで、必ずしも有給扱いにする必要はありません。
ただし、有給休暇扱いをしない場合にはその旨就業規則上に定めておくほうがよいでしょう。
以上、裁判員制度についてでした。
内部告発について 2013.04.25
Q,インターネットの掲示板に、社内の事柄について事実と違う書き込み(内部告発)をしていた場合、内部告発をした従業員は解雇できるのか?
A,
内部告発が真実でないことだけをもって解雇できるとは限りません。
コンプライアンス遵守が社会的に求められるようになるにつれて、社員からの内部告発の有用性が認知されてきました。この内部告発をした労働者を保護する目的で「公益通報者保護法」という法律が作られ、平成18年から施行されています。
この法律では、通報者が会社でも行政でもない、第三者で被害の発生や拡大の防止のために必要であると認められるものに対する通報対象事実が生じ、または、まさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある一定の場合に、通報が認められています。公益性が重視されるので、この法律が適用されるか否かはそうした観点から個々に判断されることになります。
また、内部告発に関する判例では「仮に内部告発の事実が真実でないとしても、真実と信じることに相当な理由がある場合には、内部告発の目的の公益性、内部告発の内容の重要性、内部告発の手段・方法の相当性を総合的に考慮して、内部告発が正当性を有することがある」と判断しているものがあります。
このことから会社は、内部告発が事実でなかったというだけで、内部告発した者を、当然に解雇することはできないということになります。
(内部告発で、懲戒処分ができる場合)
内部告発の事実が真実だった場合でも、それが会社の定める秘密事項だったり、社内規定で公開を禁止している事項であった場合、その程度によって解雇など懲戒処分が有効になる可能性が高いものと考えられます。
また、労働者の行為により会社が損失を負った場合、会社はその被害の程度に応じて、労働者に対して損害賠償請求を行うことのできると解されています。
以上、内部告発についてでした。
Q、 社員が過労死したら、会社は責任を負うのか 2013.04.05
会社は社員の健康に一定の責任を負っています。社員の健康に対する注意を怠れば、損害賠償を払う義務が生じることがあります。
(解説)
【過労死とは】
過重労働などが原因で脳梗塞や、心筋梗塞などを起こして死亡することです。過労死の認定基準は平成7年に新たに設けられ、平成13年に改正がなされています。
主な認定要件は、以下の通りです。
・発症直前から前日に異常な出来事に遭遇した
・短期間に過重な業務に就労した
・長期間に著しい疲労の蓄積をもたらす過重業務についた
また、平成11年に指針が制定され、精神障害等(過労によるうつ病からの自殺等)も労災として認められるようになりました。
【会社の責任】
社員の死亡が過労死とされ業務上災害と認められた場合、会社が「過労死の防止措置」をとっていたかが問題となります。
会社は、法で定められた健康診断を行わなければなりません。異常が発見された場合は再検査を行わせたり、業務量を減らしたりなど、社員の健康に注意を払う必要があります。
もし、健康診断を適法に受診させていない場合や、異常発見の場合に何の措置も講じていなければ、遺族から損害賠償を請求された場合、拒むことが難しくなります。
健康上の異常が発見されない場合でも、過重な業務に従事している場合は注意が必要です。健康診断の徹底や業務の省力化など、できる限りの対策を講じましょう。
健康診断は重要です
健康診断により病気の早期発見をすることで、労働者は自ら予防しようと思います。また、使用者側から見ても、健康診断は労働者の過労死防止や、欠勤による損害の予防になります。
→使用者と労働者、両方の利益につながります。
以上、過労死についてでした。
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